【第十七話】聖と闇と生き物と

「さて、では始めましょう。まずは前回の続き、聖と闇の属性です。」


クレアのせいで忘れかけてたが前回は無属性魔法、そして四元素魔法とやらをやったんだっけか。


「クレアさんは座学が優秀なのでこの授業は必要ないとは思いますが受けていきますか?」


そういえばキリアム先生が座学は学年トップだって言ってたな。

当のクレアは今、褒められて誇らしいというのと、でも自分が優秀だと認めたらここから去らなくてはいけないというのの間で葛藤しているようだ。


「ま、まあ復習だとでも思ってここに居ればいいんじゃないか?」


クレアは、ハッと顔を上げ、


「そうだな私は英知持つ者だし?必要は無いと思うが一応受けていくとするか、復習としてな!」


無い胸を張って俺に頭がいいアピールをしてくるクレア。


「先生早く始めましょう」


そんなクレアを放っておき授業開始を促す。


「やっと授業が出来ますね。では聖属性の魔法から話していきましょう。聖属性やこの後の闇属性の魔法は昨日お話しした四元素魔法のような「魔素を媒介に何かを操る」という魔法ではなく、魔素自体を操る魔法となっています。どちらの魔法も基本は「集める」ということがキーワードとなり、その中でも聖属性の魔法は「対象に集める」ということをする魔法です。」


俺の中の聖属性だと回復魔法であったりアンデットを浄化したり、っていうのがイメージだけどこの世界のイメージはちょっと違うのかな?


「一番メジャーな使い方は傷を癒すという事でしょうか。生き物の体の中には魔素が流れていてそれを使い生命活動をしていますが、怪我をしたときには魔素がその場所へ集まり傷を治します。聖属性魔法は傷の直りを早くするためにその傷に自分の魔素を集中させて直りを早めてしまうのです。」


じゃあ大体は俺の知っているような聖属性の魔法ってことか。


「聖属性の魔法はとても難しく、聖属性の魔法を扱う人々は魔術師とは別に療術師と呼ばれています。」


「なんで呼び方が違うんですか?」


「療術師は知識と高い技術が必要となります。例えば必要以上に魔素を流し込めば魔素中毒という状態になってしまいますしそもそも体の仕組みが分からなければ傷を治す事が出来ません。」


ああ、その療術師っていうのは医者みたいなもんなのか。もしかしたら医師免許みたいに療術師免許なんていう物があるかもな。


「なるほど、っていうことは聖属性魔法は傷を治す魔法というわけですか?」


「いえ、傷を治すのにも聖属性魔法は用いります。もちろん療術が一番多く使われている聖属性魔法ではありますが、例えば相手に魔素を急激に流し込み相手を魔素中毒にしたり内部から爆発を起こさせたり、ほかの魔法と組み合わせたり。」


中から爆発って怖いな!なんだかいきなりエグイ魔法に思えてきた。


「なんでそんな危険な魔法が「聖」属性なんでしょうね?」


「それはだな!」いきなりクレアがしゃべりだした。


「それはだな!昔この聖属性魔法を編み出したのが協会の聖職者であり、以後聖職者の魔法として伝わってきたからだ!」


ここぞとばかりに知識をひけらかしてきたクレア。


「その通りですね。なので療術師と名乗るには協会員でなくても協会の認可が必要なんですよ。」


なんだか特別な魔法なのかもな。


「残すは闇属性魔法のみだな!闇属性魔法は魔族より伝わりし魔法、魔族から伝わってきたが故に未だにそのすべてが人に伝わってはおらぬ。」


いきなりクレアが喋り始めた。うわー、滅茶苦茶鼻息が荒い。好きそうだもんな、闇属性。


「闇属性の特徴はズバリ「奪取」、対象から魔素を奪い取る事が出来るのが闇魔法の特徴だ!上級者になれば相手の魔素をすべて抜き取り瞬時に殺してしまう事さえできる!」


対象から奪う?っていうことは魔素を自分に集める、的な?


「それだけではない!奪うということはそれすなわち大気ある魔素を吸収し自分のものとすることもできるのだ!」


とりあえず満足といった風にクレアが話し終えた。


「補足として言っておきますが、先ほどクレアさんが言ったことは戦闘面であって実用として使われている闇属性魔法は例えば、自分から漏れる魔素を少し吸収して自分の魔力量をごまかしたり、あとはさっき言った魔素中毒の人を治すのにも使われているんですよ。」


「でも魔素中毒を治すなんて良い魔法なのになんで「闇」だなんて呼ばれているんですか?」


「それはですね・・昔から伝統的に協会と魔族の仲が悪く、先に名のついていた聖属性魔法に対して協会が魔族の魔法を「闇」としてしまったんですね。他にも、聖属性の魔法の素質がある人は相対的に闇属性の素質が無い傾向にあり、種族的に闇属性に素質がある魔族達が聖属性を認めていないというのもあるそうです。」


「似ている魔法なのに使う人がいがみ合ってるってことなんですね。」


「まだまだ今までの七つに含まれない魔法の話なんかもあるのですが、昨日のご要望通り今からは生物について今からお教えしましょうか。」


そういえば動物と魔物とモンスターだっけ?分けて使ってたのが気になってたんだよな。


「バルド大森林に限らず世界には三種の生物が混在しています。それが動物、魔物、モンスターの三種です。まず、動物と魔物は全く違う生き物であり、動物は産卵や出産などで生まれてくるのに対して魔物は魔素の多い所で「発生」します。そして魔物は死と同時に肉体が消滅するのに対して動物はその場に残ります。モンスターの生まれ方は発生もしますが繁殖もしますが死ぬときはその場に残ります。言ってみれば動物と魔物の間ですかね。ちなみに人族はこの中の「動物種」に分類されます。と、まあ簡単な分類はこんな感じですかね。」


ちゃんと区別の方法があるのか。今の言い方だと魔物は自ら繁殖はしないのかな?


「そう言えばユウシさんは魔晶石を持っていましたね。魔晶石は魔物やモンスターしか持っておらず動物は持っていません。それは魔物やモンスターが動物と違う方方法で魔素を保持しているからなんですね。」


「おわったか?ごしゅじん」


足元からポチが喋りかけてきた。そう言えばポチには親が居るって言ってたし動物かモンスターのどちらかに分類されるってことだな。


「まだ終わってはいませんよ。細かい分類方法もお教えしましょう。」


「ホゥ、こうなったらキリアムは止められんな。」


ピーターがそう呟きどこかへ飛んで行ってしまった。ちょっと待って、止められないってどうゆうことだ?


「例えば火属性を主に使う魔物の見分け方は・・・・・・・・」


キリアム先生の事業は何時間も続き、終わるころには日が暮れていた・・・・

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