【第三話】食料求めて
あーたーらしーい、あーさがきたー
どうも三谷夕士です。
いやー朝だね。異世界二日目。
木の上で寝たから快眠とはいえないけどそれなりに寝れたかな。でも今夜は、なにかしらわ下に敷いて寝たい。今日探してみるか。
そうそう、昨日立てた予定があったな。
1、食料の調達
2、人を探す
3、寝場所を他に探す
この森は大きそうだし、人に会える可能性は少ないかもしれないけど探すだけ探してみよう。
「まずは食料調達だな。あの角ウサギでも捕まえてみるか。」
昨日見たトカゲは近寄り難いし、虫とかは食いたくない。そうなると倒せそうな動物ってウサギぐらいだもんな。キモザカナも弱そうだけどあいつ気持ち悪いしな。
さて狩りをするって言ってもどうしようか。そこら辺に落ちてるヒノキの棒もとい、その辺の木の棒で殴るってのが今できる精一杯なのかな。まあ、ここが最初の森っていうんだったら簡単に倒せるだろ。
そうなったら角ウサギを探そう。さっきもそこの草むらに居たしすぐに見つかるだろ。
「そうだ、狩りに行く前に火をおこしておこう。人がもし居たら火の煙に気づいてくれるだろうし、森で迷っても煙でこの場所がわかるしな。」
昨日集めてきた枝にライターで火を点けたら落ち葉集めて一緒に燃やす。
パチパチと音を立てて燃え始めた。よしよし、煙もたち始めてきた。
おっと、そんなこんなしてたら日も昇り切ってる。早く出発しよう。それよりもウサギを捕まえたらどうやって食べようかな。焼くか煮るか、でも塩とかは無いしなー。
あ、そんなこと言ってたらウサギが居たな、一匹。子供なのか今まで見た中でたぶん一番小さいな。じゃあ後ろから近づいて、あ、逃げられた。とにかく追いかけよう。とりあえず追いかけまわしてみるか。っていうか子供なのに速いなあいつ。うーん、ただ追いかけても追い付けないきゃしょうがないな。
あれ?子ウサギが切り返してこっちに走ってくる。
「あれ、戻ってきた。とにかくチャンスだ。」
棒を構えて殴ろうとしている俺に対して、
加速した子ウサギがジャンプしてきた。角をこっちに向けて。
危ない、刺さるっ
とっさに身を反らして子ウサギの突進を避けると後ろからズンッと音がした。
振り返って、その音の方を見るとウサギが木に突き刺さっていた。深々と。
「っ威力ヤバいな!今のに当たってたら間違いなく死んでたぞ!?」
ウサギは自力で刺さっている木から抜け出し茂みに消えていった。
「・・・これはウサギ狩りは無理だな。仕方ないキモザカナを捕まえよう。」
だって子ウサギ一匹で死が見えたしな。大人だったりしたら多分もっと強いだろう。
初日に行った川へ歩きながらキモザカナをさがす。キモザカナは見た目も弱そうだしウサギの角みたいな武器もないしたぶん倒せるだろ。
川の近くまで行くと何やら物音が聞こえてきた。
「見つけた。三匹か。あれ、なにかと戦ってる?少し様子を見よう。」
茂みに隠れてキモザカナ達の様子を見る。戦っているのは初日にも見た巨大ミミズ。初日よりでかい。75センチはあるな。とても気持ち悪い。
そんなミミズとキモザカナの戦いは激戦だった。
ミミズが口から液体を吐く。キモザカナ達は華麗によけるがその液体の着弾した場所はシューと音を立てている。
「なんだあのミミズ、毒吐いたのか?」
ミミズとサカナの攻防は続く。
次々にミミズから吐かれる毒液をよけながら距離を詰めたサカナ達はミミズを殴りつける。ドゴォと音がしてミミズは苦しむが、負けじと体を振り回しサカナを吹き飛ばす。サカナは受け身を取りまたミミズに向かっていく。
長い攻防は魚に軍配が上がった。最後は一匹の右ストレートが見事に入りミミズはドスンと音を立てて倒れた。キモザカナは三匹がかりでそのミミズを持ち上げ川の方に消えていった。あれ食べるのかな?
っていうかキモザカナつえー!だめだあんなの倒せる気がしない。この森危険すぎないか?本当に最初の森なのか?
・・・こうなったら肉は諦めて森で食べられる果物でも探して飢えを凌ぐしかないか。でも昨日、近くを探したけど果物らしいものは無かったけどな。 また森の中に入って探すか。食料以外にも人と今日の寝床も探さないとだしな。
長いこと森の中を彷徨っているけど食べ物も寝床も人も見つけられてない。
「早く飯だけでも見つけないとマズイな。空腹で眩暈もしてきたぞ。」
すると、食べられそうな果実が生っている木が群生しているのを発見した。木の棒でやっと届きそうなところに果実が生っている。実は手のひらサイズで色は緑だ。ツタが近くに下がっているし、それを伝って上る方が確実に取れるかな?早く食べよう
走って木の近くに行くと一匹の猿と遭遇した。
どうせあの猿も強いんだろうなー。腹は減ってるけど猿に目をつけられないように、あいつがいなくなるまで待ってるか。
そんなことを考えているうちに、猿が一つの果実の近くまで到着。猿がツタに捕まり手を伸ばした瞬間、
ツタが巻き上がり猿をぐるぐる巻きにした。猿はもがくがそのままその森の奥の方に引っ張られていく。
「どうなってるんだ?」
空腹をこらえて周りに注意しながら、猿が連れていかれた方へ進む
奥には3メートル以上はあるパックンフラワーに似た植物が猿を頭から飲み込んでいた
怖っ、この森怖っ。
っていうことはあの食肉植物から伸びてるツタに触ると、もれなく俺も丸飲みってことか?
果実の群生地帯に戻り、一つの実に狙いをつける。
ツタに気を付けながら木の実を棒でたたき落とした。
ここまで来て毒じゃないよな?
そんなことが頭に浮かんだが空腹に身をて任せ果実にかぶりつく。やっとのご飯だ!
「甘い! っていうか美味い!」
リンゴによく似たその実は皮は固いが中身はジューシーで甘酸っぱく、とてもおいしかった。っていうか、もろリンゴだ。皮の固いリンゴだな。よしこれでしばらくは餓死しないな。
「さて、リンゴをポケットに入れられるだけ入れたことだし、今日は暗くなってくる前に寝床に帰るか。煙の位置で寝床の位置は大体わかったし。」
やっぱり火を焚いておいてよかった。帰り道を急ごう。
ガサッガサッ
っと茂みが揺れた。すぐに逃げられるように身構える。
ガサッと黒い影が茂みから飛び出してきた。全身が毛におおわれていて口には牙を足には爪を持ったその生き物は俺を見上・・げて「ワンッ!」と吠えた。
「い、犬?」
体は小さく、まだ足も短い。目はクリクリしていて見てすぐに子供だと分かった。
この前見た、あの大狼の子供ではないよな?サイズも違いすぎるし。見た感じ子供だし親が近くに居るかもしれないな。尻尾振ってるし敵意はないのかな?
でも、この世界の野犬なんて悪い予感しかしない。厄介なことに巻き込まれる前にここから去ろう。
子犬を無視して歩き出す。
ハッハッ ハッハッ
少し歩いて後ろを振り向く。うわー、ついて来てるよ。めっちゃ尻尾ふってるし。初めて見た生き物に興味津々って感じだ。しかたない、採ってきたリンゴで引き付けて逃げよう。犬なら果物も食べるだろう。食料よりも命を大事に、だ。しかたない。
地面に一つ果実を置いて後ずさる。皮が固いけど犬の牙なら余裕だろ。
子犬は興味深々に果物のにおいを嗅いだあと、食べれるものと判断したのか果物を食べ始める。
よしよし、食べてるな。犬が食べ物に気を取られているうちにさっさと逃げよう。
気付かれないように足音を立てずにこの場から立ち去ろう。
無事、寝床に戻ってきた。大丈夫、犬はついてきていない。あ、たき火は消えてるな。トカゲが寄ってくるし夜に火を点けるのはやめておくか。とりあえずこの果物をどうしようか。地面に置いたら持っていかれちゃうかもな。ひとまず木の上に持っていこう。おっここがいいかな。昨日寝たところの少し下に木のうろがあった。ひとまずここに入れておくか。
うまいことリンゴを木の上に置けた。
「日も暮れるし今日はもう休むか。木の上に明かりを持ち込めたらよるでも作業できるんだけどなぁ。木が燃えるだろうしなあ。」
明日は寝床を探してみるか。夜でも火を使えるような場所がいいな。今日は食料を獲得できたけど人に会うことと、新たな寝床の発見はできなかった。っていうかこの森に人はいるんだろうか。
夕士は昨日のように木の上で眠りについた。
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