【第二話】野宿
「決めた!ここらへんで野宿しよう。」
問題はどこで一晩を過ごすかだな。川の近くか森の中かどっちがいいかな。
川は寝てる間に増水なんかしたら大変だし、かといって森の中は生き物がいっぱいいる。そうなると洞窟とかかな?
でも今まで歩いてきたけど傾斜がきつかったりした所は無かった。洞窟ってなんとなく山にあるイメージだしなぁ。
うーん木の上はどうだろう。比較的木の上の方が地上よりも危険は無いかな?
「よし、そうなったらひとまず森の中に戻ろう。」
やっぱり高い木がベストかな?ほら地球でも木に登る肉食動物って少ないし。でもこの森はなんとなく安全みたいだし、そんなに警戒しなくてもいいか?もう茂みの中で身を隠せればそれでいいかな?いやでも警戒するに越したことはないか。飲み水は必要だし川沿いがいいかな?
そんなことを考えていると目の前には周りよりも太い一本の木が見えてきた。なんだかジブリに出てきそう。周りにも同じ種類であろう木は生えているけど見たところこの木が一番大きい。木にはツタが巻き付いていて頑張れば上の方まで登れそうだ。
「よし、ツタから上の方に登ってみるか。」
少し苦労しながらもツタを登るてみると枝がしっかりしていて意外となんとかなりそう。ツタがいい具合にスペースを作っている。
「ふう、なかなか疲れるな。お、この木の上からさっきの川も見えるな。俺も寝相が悪い方ではないし、ここなら慎重に寝れば落ちることもないだろ。よし、ここを寝床できるな。」
それなら一度、木から降りて辺りを見回ろう。
「木の実とか食べれそうなものは無いかな?意外とこんな世界ならありそうだけどな。」
周りを探してみるがあまりめぼしいものはない。歩いてるキノコとか歩いてる草とか今までに見たことない奴はいたけどこう、果物みたいなものは無いのかな?山菜なんてよくわからないしな。それに一番怖いのは毒だな。だからキノコとかには手が出せない。食べ物以外だとジャングルにありそうなデカい葉っぱとかたき火に使えそうな木の枝とかは拾ってきたけど肝心の食べ物がない。
「しょうがない、まずはたき火を作ろう。煙が上がっていれば誰かが気づくだろ。」
そういえば異世界なんだし魔法が使えたりするんだろうか?試してみよう。
「ハァァァ!いでよ炎!、、ダメか・・こうなるとこの世界には魔法がないとかなのかな?じゃなかったらMPが足りない?あと考えられるのは精霊との契約とか?」
っていうか今のをを誰かに見られてたら相当恥ずかしいな。もうやめよう。
「どちらにしても今、魔法が使えないなら手で起こすしかないか。」
よく聞くのは木と木をこすって摩擦熱で火を起こすやつだけどどうだろう
しかし転移してきてからずっとはしゃいで考えてなかったけどそういえば俺、着の身着のままで転移してきちゃったな。部屋のベッドで少し横になってそのまま寝ちゃったんだっけ。っていうかなんで家で寝てたのにスニーカー履いてんだろう?まあ裸足よりましだし助かったけど。あとはポケットの中だけど・・あっライター入ってた。こんなの入れてたっけ。まあ誰かに貰ったのかな。全く記憶にないや。
とりあえずこのライターで集めてきた枝に火をつけよう。
やっと火が付いたな。だけど食べ物はいまだ無しだ。今からまた探しにに行ってもいいけど少し暗くなってきた。まだこの森の夜を経験していないし夜に森を歩くのは危険かな?
火はそのままにして今日は早めに寝ることにしよう。
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・・・・真夜中
「うーん、なかなか眠れない。」
せめて寝る場所は柔らかい方がいいな。朝になったら何か探してみるか。
、、、?なにやら下の方から物音が聞こえる。下をのぞくと昼間見た尻尾が燃えてるトカゲが数匹、火に集まってきている。
「しまったな、たき火は消しておくべきだったか。」
それよりも周りの木に燃え移らないか心配になってきたな。下手に刺激しないように息をひそめておこう。
ウォーン、、バサバサバサ、、
さっきまで気付かなかったけど、いろんな音が聞こえてくる。なにかの唸り声や、何かが羽ばたく音。本当にこの森は夜は危険なのかもな。
バキバキバキ
木が倒されるような音も聞こえてきた。うん、夜は森を歩かないようにしよう。鳥の飛ぶような音も聞こえてきたし木の上も安全じゃないかもな。明日は洞穴とかを探してみようかな。
改めてこの森の生き物はどのくらい怖いんだろう。さっき木が倒れる音がしたけど。もし生き物の仕業なら像みたいにでかいやつ奴が居ても可笑しくないよな。こんなところで出会いたくはないけど「竜」だとか「怪鳥」だとかはこの森には居るのかな?今の状態で倒せるわけないしなぁいやだなぁ
だんだん下のたき火も小さくなってきた。さっきよりも下にいるトカゲも少ない。
改めて明日の予定をまとめよう。
1、食料の調達-これは最優先だな。腹が減ってはなんとやらだ。
2、人を探す-早く人に会いたいけどまずこの世界に人が居るのかも分からないからな。
3、寝場所を他に探す-もっと安全な場所があればそこに行きたい。優先度は低めだな。人に会えないならこの森で生きていかなきゃいけないもんな。
他にもいろいろやりたいことはあるけどまずはこの三つだな。それじゃあ今日はちゃんと寝て明日頑張ろう。
夕士は眠りについた。
三谷夕士はまだ知らない本人が考えているよりもこの森がはるかに危険だということを、そしてこの世界は本人が思っているほど甘くはないと・・・
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