第26話 アデルの人生を変えるお願い
フラつく頭に手を当てながら起き上がった七志を見詰めるアデルの瞳。
まさしく恋する乙女であったが七志も思春期の男の子、アデルを直視せずに視線をそらしながら七志はお婆さん所で買った大きめの衣類をアデルに手渡す。
「えっ…しゅ、収納魔法?!で、でもそうよね…こんな異常な魔法が使えるくらいなら…」
一人ブツブツ言いながらそれを受け取ったアデルは後ろを向いている七志とボブの近くで着替える…
別に今さら見られても気にしてないアデルであったが心遣いに感謝を持つ…
本人は知らない…
勿論モザイクが入るが嵐によって全て録画されて観測者の世界で全国公開され数百万人に見られているなんて…
その後、着替えが終わったアデルも連れてボブの家を訪れた。
親父さんの情報で大稼ぎさせて貰ったお礼と言うことで家の権利書と白金貨2枚、日本円で200万円を手渡す七志に突然土下座し出す両親…
ボブの友達としか紹介してなかったので何処かの貴族の息子だと勘違いされたのだと後から聞いた時は納得した。
その後は夕飯を御馳走にと言う話であったが家族団欒を楽しんでもらうのとやる事があるのでそれはまた今度と伝えボブの家を後にする二人。
そして…
「あの…歩きにくいんですけど…」
七志の腕に(正確には肩に)自身の胸を押し付けて抱き付きながら一緒に歩くアデル。
彼女も既に帰る場所がない。
あの家の物は全て奴隷屋マムに回収され七志が折角残した財産も押収されていた。
と言ってもバレた原因は七志の残したメモのせいでアデルが酷い目に遭ったのも媚薬の効果のせいだったりするのだか…
それを察していてもおかしくないアデルであったが気にはしていない、元々自分がやろうとした事をやり返されたのだから仕方ないだろう。
まぁ実際のところは恋は盲目が理由なのかもしれないが…
「それでアデルさんこれからどうします?」
「アデルって呼んで、もしくはハニー」
「…ではアデル」
嬉しそうに頬を染めながら七志を見詰めるアデルは正直かなり美人である、名前を呼んだ瞬間首を捻ればそこにはアデルの顔があった。
今にもキスしそうな近さでアデルは言葉にして伝える。
「今の私は買い取ってくれたアナタの奴隷よ、奴隷はご主人様に付き従う者よ」
甘い良い香りがアデルから漂う。
実はアデル、青魔法の『魅了花粉』を無詠唱で使用していたりする…
既成事実を何とかしてこの恋を成就させようとする一途な乙女の暴走であった。
だが七志は嵐によって見られ撮影されているのがあり理性で本能を押さえる。
それが逆にアデルの恋の炎を燃え上がらせる結果に繋がるのだが…
「そ、そうそう、アデルに頼みがあったんだった」
「頼み?」
「うん、仕事だよ」
そのまま二人は道を歩き人気の少ない通りで七志が書いたメモを見せられるアデル。
「これなに?」
「う~んとね…その通りにやってくれるだけでいいんだけど」
最初自分の体を使う仕事と軽く説明されていたことからエッチな仕事だと思っていたアデルであった。
だがメモに書かれていたのは意味不明な文章だけであった。
だが七志の頼みなのだ、アデルは七志の為であれば体を売る覚悟も出来ていた。
「それじゃやるね…」
まさかこの七志のお願いがアデルの人生を変えるなどと誰も想像していなかった…
「ご主人様に…この身捧げます…どうか死ぬ時まで一緒に…」
「貴方を愛する奴隷と共に世界を巡れ、ファンタジー界の新星!ワールドファンタジーオンライン…ご主人様…私を愛して下さいますか?」
そう、ユーデューバー嵐の元に来た…
企業案件であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます