第12話 五色の属性と七志のステータス

『魔法塾『魔育園』は無茶苦茶だった』


動画がアップされると同時に相変わらずアクセスは凄まじく、某巨大掲示板では自称考古学者な人が様々な意見を交わし合う事となっていた。

また毎日短いとは言え、これだけのクオリティの動画を提供できるCGクリエイターが居るのなら是非スカウトしたいと言う話も上がり大盛り上がりとなっていた。





「それじゃあまずはあんたの属性を調べないとね」


ルルに魔法を学ぶ上で七志がどの属性を持っているのかとステータスを確認すると言うことであった。

まだ受講前だがこれは無料で受けられる、と言うのもここで学べない属性の場合は断る場合があったからだ。


「大きく分けて魔法には5色の魔法がある、まず回復を司る白魔法、次に攻撃を司る黒魔法、そして時間を操る紫魔法、更に魔物のみが使える魔法が使える青魔法、最後に無属性の黄色魔法じゃ」


5つの色魔法、それがこの世界の魔法であった。


「まずはこれでお前さんの属性を調べんとな」


そう言ってルルさんが出したのは五芒星の描かれた一枚の紙であった。

真上から時計回りに先程の説明順に白、黒、紫、青、無色の色が星の先端に塗られていた。


「この中央にお前さんの血を一滴垂らせばお前さんの属性の方向の三角の部分が光出す。やってみるのじゃ」


机の上に置かれたその紙の上に七志は先程雑貨屋で購入していた短剣の先端で指先に傷を付けて血を垂らす。

すると五芒星は全てが輝き出しルルも驚きに目を見開く!


「な、なんじゃと?!全属性に適正あり…まさか伝説のオールマイティーなのか?!」

「これって凄いことなのですか?」

「お前さん知らんのか?普通の人なら一色、100人に一人で2色、1万人に1人で3色を持つと言われているが、4色以上は属性同士の相性であり得ないんじゃ!」


そう、例えば青魔法は白と黒と同時にはあり得ず、無色は他の色と混ざらない。

なので実質的に黒、白、紫の3色持ちが理論上の最高複数色の持ち主なのである。


「お、お前さん是非うちに通いなさい!お前が居れば魔道選手権に勝てるかもしれん!是非入ってくれ!」


ルルがあまりにも豹変して迫るので弱冠引き気味の七志であったが目的は魔法を学ぶことであった為、通う事にこの場で即決した。


「とりあえず魔道選手権ってのは分からないですが通って学ばせてもらえるのでしたら…」

「あぁ、教えてやるとも!」


こうして七志はこの魔育園に通う事がこの場で確定し誓約書を交わす。

これは魔法で互いの契約を遵守させる呪いみたいなもので、簡単に言うと七志の方からここを出るまでここに在籍を許可すると記載されていた。


「よし、やったぞ!こいつは掘り出し物だ!ワシにも運が向いてきたぞ!」


凄くウキウキのルルである、とても老婆の動きには見えないスキップなんかしている…

そして、何かを思い出したかのように両手で交わし手を打ち声を出す。


「ををっそうじゃ!お主、ナナシと言ったな?ナナシのステータスを見てみないとな」


そう言って今度は小さなスマホサイズの板を手渡してくる。


「これがステータスプレートじゃ、額に押し付けるとその者のステータスが表示される、やってみろ」


凄く嬉しそうなルルに言われ、自身の属性がオールマイティーで全色使用可能なチートだと理解した七志はそれを額に当てる。

そして、浮かび上がったそれを見てルルは真っ青になって唖然とするのであった…




ナナシ


Lv.1

HP 15

MP 1

魔力1




この世界では魔力によって体が強化される、そのため魔力を使って戦闘時に力を強くしたり出来るのだが七志はそれすら行うことが出来ない程魔力が無かった。

最低限生きているのに必要な魔力1しかなかったのである。

そして、それを見たルルは絶望していた。属性は全色使えても魔力が足りず魔法が使えないのである。

更に先程誓約書を交わしてしまった為に断る事も出来なくなっていた。

その誓約書内にルルは七志を逃がさない為に記載してしまっていたのである。


『七志は無料で魔育園に通う事を許可する』


と…

顔を真っ赤にしてルルは七志を睨み付け叫ぶのであった!


「この詐欺魔道士がぁぁぁ!!!!」

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