怠惰な俺とクズな彼女
「えっとさ、滝沢さん?どこからそういう話になったのかな~?」
こいつ、いきなり何言いだしてんだよ。 ホントにいきなりすぎてびっくりしたわ! 何?私と赤崎くんの新しい学園生活って?意味わかんないでしょ。
「どこからって、そんなの私が赤崎くんの家に行った時からに決まっているじゃないですか!」
「なぜそこで決まったんだよ!なぜかが重要だろ!」
「赤崎くん基本いつも暇そうですし、私の目的をかなえるには24時間いつでもどこでも私が呼んだらすぐに駆け付けてくれて、どんな願いでも聞いてくれる。そんな、私に仕えてくれる人でないといけないのです!だから適任者は赤崎くんしかいないかなと。」
やっぱり意味わかんねー。 てか余計頭の中がこんがらがった。 何気にこいつ、俺を自分の下僕にする的なこと言ってたよね? 今日初めて会ってからまだ全然たってないけど滝沢ってこんな奴だったの?
「いや駆け付けねえよ! しかも学校もいくつもりとかないし。」
「赤崎くんは冗談が下手なんですね~。 それとも照れ隠しですか?」 滝沢はくすくす笑いながら言った。
「冗談でも照れ隠しでも何でもないから!なんで俺がお前に対してそこまでしなくちゃいけないんだよ!」
滝沢は自信に満ちた顔で言った。
「そんなの決まっているじゃないですか。私は か´わ´い´い´ からですよ。 それも少しではなくこの遠山高校一かわいい、私のおねがいならみなさん死ぬほど喜びますよ?」
ヤバイ… こいつは…
「赤崎くんも素直に喜んでいいんですよ~? それも私の目的がかなうまでの 下´僕´ 契約ですよ? 他のみなさんに言ったら死ぬほど喜びますよ? 幸せですね!赤崎くんは!」
間違えなく、クズだ! 何こいつの今の発言? 下僕ってもう言っちゃてるし。 自分にどんだけ自信もってんだよ! ま、まあ たしかに少しかわいいけど。 いや、かわいいとは思うけどさ! でも俺はこいつの下僕になって喜ばないわ。
「いやならないから、下僕とかほんと勘弁だから 24時間いつでも駆けつけるとかさ無理だから 昔の24時間働けますか? 的なやつかよ。 社畜とか勘弁だから。悪いけどお前ひとりでやってくれ。俺にもうかまうな!」
「またまた、冗談を!」
「いやいや、冗談じゃないから。 はっきり言って迷惑なんだよ。俺は他人と関わるのとかめんどくさくていやだからさ。もうほんとに俺にかまうのやめてくれない?」
滝沢は下を向いて何も言わずに聞いていた。そのままじっと動かなかったので、少し言い過ぎたかな? いや、これくらい言わないときっとあのペースで押し切られていただろう。 と俺は自分の発言を正当化する。
まあ、これを聞いて滝沢もちょっと反省したかな?と思った。
彼女は口を開き、今までのふざけた感じとは全く違う口調で言う。
「お願いします…」
「いや、お願いって言われてもさ さっき言ったとおりに…」
俺は滝沢の顔を見てそれ以上言うのをやめた。 滝沢は泣いていた。ウソ泣きか?とも思ったがそうではないことはすぐにわかった。 目の下にいっぱい涙をためて顔をぐしゃぐしゃにした彼女の顔はウソ泣きにしてはきれいすぎた。
「滝沢 すまん。ちょっと言いすぎたかもしれない。」
たとえ相手が悪かったとしても俺が女の子を泣かせてしまった。その事実は変わらない。 自分が許せなかった。
他人を傷つけた。女の子を泣かせてしまった。それらは俺にとっては罪すぎる。 なら、今、ここで俺がゆういつできる罪滅ぼしとは何だろう? 答えはもう出ていた。
「滝沢わかったよ。 俺はお前の何だか知らんが、その目的とやらにつきやってやる。 勘違いするなよ。その目的というものが達成されたら俺はもうお前との関係を切るからな。」
滝沢は目にたまった涙を服の袖でこすり、俺の目をまっすぐ見ながら言う。
「ほんとですか?」
それは今までと比べるととても弱々しい声だったが、俺の耳にはしっかりと届いた。
「ああ、約束は守るよ。それと俺がお前の下僕となるのだけは嫌だからな。あくまで対等な関係ということで。」
「はい、わかりました。ありがとうございます!」
今度は、はっきりと聞こえた。もう彼女は泣いていなかった。
「よし。それじゃあ少しの間よろしくな!」
俺は滝沢に右手を突き出す。 彼女はすこし戸惑った後、素直にその手をとり俺たちはしっかりと握手を交わした。
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