第61話 タイムカプセル
デスロシアンルーレットから数日後。
俺は平穏な学園生活を送っていた。
彩夏祭を開催する為に必要な開発も順調に進んでいるし、残すは今週末に予定しているシステム試験のみだ。
町のお祭りに使うシステムだが、大企業が絡んでいるらしく本格的な確認を行うようだ。
この試験さえ通過すれば如月さんとの約束を果たすことができる。
「恭介君。恭介君ってば聞いてる?」
隣に座っている如月さんが頬をぷくっと膨らませて怒っている。
「今日は恭介君の為にお弁当作ってきたのに、ずっと上の空なんだもんっ」
今はお昼のランチタイム。
なんと今日は如月さんが俺の為にお弁当を作ってきてくれた。
如月さん、いや如月詩愛さんは俺の高校に突然転入してきた銀髪の超異次元の可愛さを持つ女の子。
なんで俺と彼女が一緒にごはんを食べているかというと、秘密の契約を結んでいるからだ。
それは彼女を守る為で、如月さんに恋人がいるという事実をつくることで男子たちの如月さんへのアプローチを抑制している。
そんな神的美女の如月さんが俺の体調を心配してくれている。
俺が「ごめんね」と謝罪をすると、
「もうっ、何を考えていたの?」
「仕事のこと」
「そうなんだ。他の女の子のことでも考えているとかと思った」
「そんなわけないじゃん」
「気になる子できた?」
「いやいやいや、だから違うって言ってるのに。契約とはいえ、如月さんみたいな可愛い子が彼女になってくれてるわけだし、ほかの子のことを考えてるわけないじゃん」
「えーそうなんだ。そんなこと言っても許してあげないんだから」
顔を赤てそっぽを向く如月さん。
もしかして照れてるのかな?
「お仕事大変、なの?」
都合が悪くなったのか、本題に戻す如月さん。
「そうだね。でももうすぐ落ち着きそうだよ」
学生をしながら仕事をしているので決して楽ではない。
付け加えて今は比較的大きな仕事をしているので、負担も増大している。
しかし彩夏祭を開催する為とはいえ、如月さんに心配をかけたくない。
だから俺は、
「秘密のお仕事をしてるのだよ。だから内緒。でも変な仕事じゃないから安心してね」
「でもすっごく大変そうだよ? 最近恭介君すっごく疲れてるようだし」
「心配してくれてるんだね。ありがとう」
「ふぇ!? 心配なんかしてないもん」
「だって顔赤くなってるじゃん。如月さんいつもそうやって感情とは逆の態度とるよね。そう言うところがすごく可愛いんだけどね」
「もうっ、からかわないでって言ってるのに」
ぽんぽんと俺の胸を叩き怒る如月さん。
俺の心配をしてくれるのは嬉しいのだが、実は如月さんの方が心配なのである。
ここ最近如月さんが早引きすることが増えてきた。だから以前は毎日一緒にお昼を食べていたけど、ここ最近は減ってきている。
如月さんに聞くと大丈夫気にしないでって言うけど……
それから少しの時が流れ、
「あ、あのね。恭介君にお願いがあるの?」
「何? 如月さんのお願いならなんでも」
「よかった」
如月さんは真っ直ぐに俺を見つめ言った。
「私と一緒にタイムカプセルを探してください」
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