第19話 彼女と彼女の部屋(その2)(改)

 あ、あれはっ!?


 黒くて……

 

 薄くて……


 神秘的な……

 

 女性が身に着けるとてもエッチな布がベットの上に置いてあった。


 こ、これは、わ、わざとなのか、なんか今日のねねは様子がおかしかったし、もしや俺のことを本当に誘っているのか……

 いやいやそんなはずない。

 ねねは中3だぞ。

 俺が突然家に来たもんだから、気づいていないだけだ。

 あーなんか胸がもやもやしてきた。

 きっと初めて女の子の部屋に入ったものだから、ちょっと意識し過ぎてるのかな……

 しかし、だ、あれってパソコン教室で穿いていたものだろうか、な、俺は何考えてるんだ。

 俺は首をブンブンふり、邪念を振り払うのだが、俺の意思とは裏腹に顔がどんどん熱くなってくる。

 それに気づいたのか、ねねは、


「おにーさん、急に顔が赤くなってますけど、どうかしましたか?」


「へ? なんでもないよっ」


 変な声をだしてしまった。

 やばいっ顔にでるほど、俺は動揺しているのか。

 俺があんな布切れごときに興奮するなんて、そんなことねねに知られたらどう思われるか。

 冷静になれっ、冷静になれ俺。


「そ、そうですか。それならいいんですが。それではおにーさん、そこに座ってもらえますか」


 俺はねねに促されるまま、カーペットの上に腰を下ろす。


 現在の状況を軽く説明すると、ベット前に置かれているローテーブルをはさbで、ベット側にねね、その前に俺が座っている構図だ。

 その為、依然として俺の視界の先にはあれが見えている。

 この家に二人っきりというシチュだけでもまずいのに、あのエッチな布切れのせいで、俺は興奮させられてしまっている。

 早くあれをなんとかしなくては、精神衛生上よくない。


「おにーさん。それじゃあまずはお茶にしましょう。ちょっと待っていてくださいね」


 そう言うと、ねねは部屋を出て行った。

 ふぅーと俺は息を吐く。

 ねねが戻ってくるまでに、黒いあれをなんとかする方法を思案しなくては。

 時間があればヤ○ー知恵袋で相談するところだが、今はそんな時間はない。

 俺はねねがいつ戻ってくるのかドキドキしながら考え、無い頭を振り絞り、3つの選択肢を考えた。


 1.「パンツが置いてあるぜ」と優しく教える。

 2. 下着入れにそっとしまっておく。

 3.自然に気づかせる。


 まず1だが、直球すぎる。

 女の子に「パンツが置いてあるよ」なんて言ったら恥ずかしいおもいをさせてしまう可能性が高い。

 如月さんに「女の子にそんなエッチなこと言っちゃだめ。恭介君デリカシーなさすぎっ」って怒られそうである。


 続いて2は、この3案の中で本人に気づかれず、お互いWin-Winなベストチョイスのように思われるが。

 しかし問題は下着入れがどこにあるのかわからないということだ。

 もし、探している間にねねが部屋に戻ってきた場合、なんて言い訳をすればいいんだ。

 駄目だ、これも却下だな。

 そうなると、消去法的に残る選択肢は3なのだが、

 うーむ。

 俺には女の子を誘導するスキルなんて無いから、とてもハードルが高いのだが。

 でもやるしかないか……

 と考えている矢先、ねねが部屋に戻ってきた。


「お待たせしましたー」


 そう言って、ねねは俺の前に麦茶と茶菓子を置いた。


「ありがとう。気を使わせてしまって悪いな」


「いえいえ、そんなことありませんよ。おにーさんに態々わざわざ来て頂いているんですから」


 ねねってこういうところきちんとしていて好感触だ。

 俺はパソコン本体を指差し、


「ねねのパソコンはデスクトップなんだな」


「デスクトップ?」


「ああ。パソコンには種類があって、デスクトップ、ノート、ラントップ、タブレットがあるんだけど、ねねが買ったのはデスクトップで、特徴としては大きいけど、いろいろカスタマイズや拡張できるんだよ」


「カスタマイズ? 拡張ですか? おにーさんの言っていることよくわかりませんが、あたしのしたいことはデスクトップでできますか?」


「ああ、問題なくできるよ」


 俺がそう言うと、ねねは嬉しそうに「よかった」と答えた。


 早くパンツをなんとかしたい。

 俺はお茶を啜った後、さりげなくねねに、


「ベットの上に置いてあるぬいぐるみって、クラフ〇ホリっ〇だよな。俺の知り合いも持ってるよ」


 俺がそう言うと、ねねはベットのほうへ向く。

 よし、気づけ、パンツに気づけ。

 しかし、残念なことにパンツは死角に入ってしまい、ねねは気づかず。

 ねねは並べてあるぬいぐるみの一つを手に取り、ぎゅっと抱きしめる。

 そして、ねねは、


「このなんともいえない無表情感がいいですよね、手足が長いのも可愛いです」


 ねねはぬいぐるみの手足をちょこちょこ動かし遊んでいる。

 その姿はとても可愛く、ドキっとしてしまう程だ。

 しかし、可愛さに見とれている場合ではない、早くパンツのことを気づかせねば。

 俺は次の手にでる。


「ねねの部屋ってすごく綺麗だよな。正直びっくりしたよ」


「えへへー。おにーさんに褒められちゃいましたね。普段から綺麗にするようにしてるんですよー」


 本当、きちんとしていて関心したよ。

 パンツが出ていること以外はな。


「実はさ。俺の男友達の話なんだけど、女友達を家に呼んだ時にエロ本が出しっ放しで、恥ずかしいおもいをしたやつがいるんだよ」


「それは恥ずかしいですね」


 お前もだけどなっ。俺は続けて、


「その点に至って、ねねは心配ないな」


 そう言うと、ねねは不安に思ったのかそわそわと部屋を見渡し始める。


「…………………………………………」


 しかし、なんという確立か、またもやパンツが死角に入り、気づいてもらえない。


「ふぅ、大丈夫みたいですね」


「ふぅ、じゃねえよ」


「えっ?」


「へ?」


 やばい思わず声に出してしまった。

 だって、全然パンツに気づいてくれないんだもん。

 パンツ一枚気づかせることがこんなに難しかったのか。

 俺が懊悩しているとねねが。


「おにーさん、先ほどから様子がおかしいですが何かありましたか?」


 大ありだよ。

 パンツが視界に入って、現在進行形でドキドキ中だよ!

 全く、このもやもや感をどうしてくれるんだよ。

 続けてねねは、


「ベットのほうを気にしていますよね?」


「そんなことないよ」


「もしかしてベットを見て、あたしでエッチなことを考えていたんじゃ……」


 かぁーっと顔を赤くし恥ずかしがるねね。


「そんなわけない」


「もうー。照れちゃって。おにーさんも男の子だってことですよね」


「だから、断じてエッチなことなんて考えてないからっ」


「そこまできっぱりと否定されると、女の子として自身を失ってしまいますが、じゃあ、一体何があるっていうんですか?」


 と言うと、ねねはベット見渡す。


「あっ」


 ねねはしばし硬直し、続けて。


「な、なんで、こんなところに……」


 俯き黙り込んでしまう。顔は赤くなっている。

 俺はねねが絶対勘違いしていると思い、


「ねね、ねねさん?」


「ちゃんとしまっておいたはずなのに、どうして?」


 ねねはさらに顔を赤くし、


「もしかして、おにーさんが?」


 ねねはドキドキと胸を押さえている。


「そんなことあるかー!!! 俺が部屋に入った時にすでに置いてあったぞ」


「もっと早く言ってくださいよー」


 ねねは顔を><にして、俺に訴えかけてくる。


「”パンツ置いてあるよ”なんて言えるわけないじゃん」


「どうしてですか?」


 首を傾げるねね。


「ねねは女の子だし、男の人に言われたら恥ずかしいかなって、だから自然に気づいてもらおうと思ったんだけど……」


 女の子に面と向かって”パンツ落ちてるよ”と言うのが恥ずかしいというのもあったが。


「おにーさん、あたしの為に頑張ってくれたんですね。ありがとうございます」


 俺は別に感謝されることをしたつもりはないが、”ありがとう”と言ってもらえてるのは普通に嬉しいな。

 ねねは如月さんの一件でも協力してくれたし、本当にいいやつだよな。

 妹がいたらこんな感じなのだろうか、いやこんなエロい妹はいらん。


「ところで、おにーさん」


 そう言うとねねは立ち上がり、パンツを手に取り、


「おにーさんはどんなパンツがお好きですか?」


 いきなり何言っちゃってるのこいつ。

 そんなことを聞いてどうする。

 ねねは顔を赤らめ、そして持っているパンツを広げる。


「黒ですか、それとも……」


 ねねは俺から視線を外し、スカートに手をかけ、ゆっくりとめくり上げる。


「ちょ、ちょっと待て、ねね。まじで待て。一体何をしようとしているんだ?」


「見てわからないんですか? もうっエッチなんですから。おにーさんが見たいって言ったんじゃないですか」


「今までの会話で俺そんなこと絶対言ってないぞ」


「えっ、言ってるようなもんじゃないですか。ねねのパンツ見て、ドキドキしてくれていたんですよね?」


「まぁ、ドキドキはしたが」


「それってねねが穿くパンツのことが気になるってことですよね」


「それとこれとは話が別だっ」


「おにーさん♡」


「なんだよ」


 本当こいつ俺をからかって遊んでるよ絶対。

 パソコンをセッティングしにきただけのはずが、あらぬ方向へ話が進むのであった。

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