第17話 彼女と秘密の契約(その9)(改)

 後日談を話そう。


 次の日、学園内の如月さんに対しての最低女疑惑は嘘のように晴れた。

 というのも2つの要因があり、一つ目は学内SNSの掲示板を利用して誹謗中傷の原因をつくった首謀者が見つかったからだ――首謀者は俺のにらんだ通り加藤だった。

 加藤は如月さんに告白する前に、周囲に彼女と付き合うことを公言したが、結果振られてしまい、自分のプライドを守るために、如月さんを悪女に仕立てたと言っている。

 本当にとんでもないやつだ。

 また落書きを書いたのは加藤に遊ばれ、振られた女子達。

 彼女達は振られた原因が如月さんによるものだと思いこまされ、事に至ったそうだ。

 落書き自体は許せないことだが、彼女らもまた被害者であることは間違いない。


 そして、ここでちゃんと発表しないといけないのが、加藤を捕まえたのは、な、なんと如月詩愛ファンクラブの皆さま方であった。

 本当に頼もしい方々である(如月さんにとっては)。

 捕まった加藤がどうなったかは、皆さんのご想像にお任せする。


 二つ目は学内SNSに書かれた如月さん絡みの情報が何者かの手によって全て消去された。

 そのことによって、如月さんの嘘情報が広がることはなく。

 記事を消去できるのは記事をつくった本人か、システム管理者だけの為、第三者が不正に学校のデータベースにアクセスをして削除したとみられている。

 当然俺ではないのだが、かなりのITの技術をもった輩の仕業だ。


 またミスターXのミッションも無事完了(残り二つ)し、俺の要件定義書は守られプログラミングコンテストへ向けて前進することができる。


 そして――


「恭介君、はやくっ、はやくっ」


「もう、そんなにはしゃがなくても……」


「だって、だって恭介君との初登校だもん」


 如月さんの晴れ渡った笑顔は俺をとても安心させた。

 しかし、はしゃぐのはもちろんいいのだが、物陰から俺に対して男子達の怨念のようなものも感じる。

 いつか呪い殺されてしまうのではないだろうか。


 それはさておき。

 如月さんにとって、とてもつらい出来事はあったけれど、それを忘れてしまえるくらい楽しい思い出をつくっていこうと俺は思っている。


 そして、俺にはもう一つやらないといけないことがある。


 学園一の美少女の如月詩愛には秘密がある――彼女は極度に緊張し、ドキドキするとサキュバスにトランスし、周囲の男たちを誘惑する。

 厄介なのはトランス時の記憶が彼女にないということだ。

 他の男の前でトランスしたら、取り返しのつかないことになる可能性が高い。

 だから、決してトランスさせちゃいけないし、彼女がこの学校で平穏に学園生活を送る為にもこの秘密を絶対に守らないといけない。


 っと、もう一つ重要なことが判明した。

 トランスのことをミスターXに確認したのだが、如月詩愛の秘密は他にあるという。


 その秘密は今の俺に到底想像できるものではなかった。

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