第十九話
「和葉、出かけるぞ」
という言葉に反応して寝ぼけながらも
パジャマを脱ぎ支度する
そして水筒に氷と冷たい麦茶を入れて
リュックサックを持つ
パパが急に出かけるぞと言う時は車で長時間移動するからお菓子も入れておく
玄関の脇の棚の上に置いてある家の鍵を取り
靴を履き玄関に出る
既に車を止めて待っていてくれた
鍵を閉め引っ張ってしっかりしまっているかどうかを確認する
そして車に乗り助手席に乗りシートベルトをする
「少し遠くに行こうと思っている」
顎鬚を手で触りながらパパはアクセルを踏み車は動き出す
小さな家々や畑が前から後ろへと流れていき
景色がどんどん変わっていく
数時間経つと
山に囲まれたところから太陽の光で輝く青い海が見える
海を見るのは初めてではなかったが片手で数えれるほどしか見たことがないので
目を輝かせながら海を見ていた
空を優雅に飛ぶカモメ、こちらにゆっくりと流れてくる波
それらと気持ちのいい暖かい太陽のせいでだんだん眠くなってくる
「着いたぞ、起きろ」
眠いまぶたを擦りながら辺りを見ると二階建ての白い家の前で止まっていた
車を降りパパの隣に行くとパパはインターフォンを鳴らした
ピンポーンと音がして
『はい』
若い女の人の声がする
「白崎です」
するとガチャという音とともにドアが開き中から
三十代後半だろうか茶髪で少し小皺が見えるが
優しそうな女性が出てくる
「
パパは頭を下げ希美さん?に誤っている
「大丈夫よ、でもいいの?」
「はいその方が和葉も」
僕は二人が何の話をしているのか分からなかった
「えっと和葉くん?お家に入りましょお腹空いたでしょ?」
希美さんが手招きをしている
ついて行こうとするがパパの方へ振り向く
「ああ、俺は少し用事があるからそれを終わらせてくる、だから希美さんの言うこと聞いて大人しく待っていろ」
そう言って頭を撫でてくれる
おばさんが僕の手を取り連れていこうとするが
「み、みおくり、する」
俺がそう言ったら手を話してくれた
パパが車に乗り込むと手を振る
パパは手を振り返してくれたが何故か悲しそうな顔をしていた
車が見えなくなるまで手を振っていたがずっとパパの悲しそうな顔が頭から離れなかった
そして家に入り希美さんの家でパパの事をずっと待っていた、待っていたがパパが戻ってくることはなかった。
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