7.ステップ!

当日を迎えた。

そう、今日は櫻井さんたちと水族館へ行く日だ。

朝、俺は緊張とともに目覚め朝食をとり巧と買いに行った服に着替える。支度を終えた俺は家を出て待ち合わせの駅は向かった。道中楽しさと緊張でいっぱいだった。

緊張のあまり1時間も早く駅に着いてしまった。俺はスマホを取り出し他のメンバーからの連絡がないかをチェックしながらゲームをして時間を潰す。

集合時間10分前になり櫻井さんがやってきた。

「おはよう櫻井さん」

「おはよう、佐久間くん。早いんだね」

「まぁ、言い出しっぺの俺が遅刻はまずいかなと思って」

「佐久間くん真面目なんだね。私は楽しみで早く起きちゃった」

そういいながら笑う櫻井さんがかわいくて愛おしかった。さらに、初めて見る櫻井さんの私服姿が俺には眩しかった。白色のふわっとしワンピースに淡い水色のカーディガン姿はまるで俺の目には天使のように見えた。


櫻井さんと2人きりになったら会話できるか心配だったけど櫻井さんは楽しみでテンションが上がっているのかなんだか会話しやすかった。

「そうだ、櫻井さん立ちっぱなしもなんだしあそこのベンチに座ろうか」

「うん」

俺たちは近くのベンチに腰を下ろす。

「ねえ、櫻井さん聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「いいよ」

「その、話したくないことだったら別に話さなくていいんだけど。櫻井さんあまり体が強くないって言ってたけどどれくらいなのかなって思って。」

「その話かー。今は別に病気してないんだけどね、小さい頃にある病気で長いこと入院しててね、それの後遺症で激しい運動とか疲労がたまると発作が出ちゃうんだ。でも、なんでそんなことが気になったの?」

「いや、今回もそうだけど、櫻井さんと遊ぶ時、何に気をつければいいのかなと思って。」

「佐久間くんは優しいよね。私遊びに誘われるとね途中で体調崩して、みんなの楽しみを台無しにしちゃうことがあるからこれまでは断ってたんだ。真希と沙羅はそこを理解して私に合わせてくれるから2人とばっかり遊んじゃて。でも、佐久間くんは私のことを考えて遊びに誘ってくれた。」

「そんなの、たまたまだよ。少し前、体育の時間に話しかけた時に体が弱いって言ってたから。」

「そんなこと覚えててくれたんだ。ありがとう。でもね、今はだいぶ良くなって体力もついてきたから結構いろんなところに行けるんだよ。真紀とは中学の卒業旅行で1泊2日でお泊まりもできたし。」

「そうなんだ、じゃあ、これからはそんなに深く考えずにプラン立てるけどもし無理そうな時はすぐに言ってね。もちろん、遊んでる途中も体調が少しでも悪くなったらすぐに言言って欲しい。」

「ありがとう、やっぱり優しいね。それに、佐久間くんはまた私を誘ってくれるんだ。」

そういいながらハニカム櫻井さんがやっぱり眩しい。

(俺は何お口走って、まだ今日も終わってないのに、櫻井さんに気持ち悪いとか思われてないかな?)


楽しく、いい感じに会話をしていると集合時間から15分過ぎていることに気づく。

「みんな、まだ来ないね」

そう言ってスマホに目を落とすと巧からメッセージが来ていた。

〈道中で真希ちゃんと沙羅ちゃんに会って、お前らを2人っきりにしてやろうって話になったから少し遅れていくな、遊んでる途中にも3人でアシストするからな〉

あいつ何を勝手に、でも、ありがとうな。櫻井さんと少し近づけた気がする。

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