第21話 『Unhappy Birthday』
グランディアマンダ国が誇る最大の建築物、ディアマンド城。約八百年前、初代グランディアマンダ国国王の為に建設された。当時の技術水準からすると非常に困難な建築作業だったことは想像に難くなく、それでも完成させたその職人達の意地と、魔人族の長、魔王アークへの国民の崇拝心は凄まじかったことが予想される。
今でこそ現国王の居住区にして制令と国全体の運営を行う場所と指定されているが、国を覆う外壁が完成するまでは
「お帰りなさいませ、リオ様」
「うぃ~」
「お帰りなさいませ、リオスクンドゥム様」
「うぃ~」
「お誕生日、おめでとうございます。リオスクンドゥム王子」
「うぃ~」
「リオ、返事がいい加減過ぎない?」
「いいんだよ、上っ面だけだから。毎日毎日こんなんだから面倒くさくてしょうがねえ」
トンテンカンテンとお袋が溶かした城壁の復旧作業の音が響く横、庭師や城を出入りする役人達に軽く挨拶しながら、大門を通り城へと続く広い庭を横切る。ベルベットブルー芝生が絨毯のように広がる庭園でスコールとアリンとティアが追いかけっこするのを横目に、ヴァンと二人で噴水の淵へ腰かけ、城のことについてざっと説明した。
「城の高さは大体百五十メーダー。城も含めた敷地面積がざっと五百万平方メーダー。グランディアマンダ国内の約九分の一を占めている。高さが基地の塔の八倍で、広さが庭の五万倍だ。んでここで働いてる連中が外にいんのも含めて事務職員五千人以上。兵総数五万人。その他一万二、三千人ってとこだ」
「魔人族はみんなここで働いてるの?」
「大体はな。俺達の人口は約千五百人の少数種族。これでも頑張って増やした方らしい。昔は二百にも満たなかったそうだ」
今一番若い連中で六、七世代目。俺は王族の四世代目。平均寿命が五百年なので俺ぐらいの入れ替わりが普通なんだが、寿命を迎える前に病で死ぬ方が多い。三百年以上生きてるのは王族に
庭師のおっちゃんから星蜜柑を貰ってちまちま食いながら戻って来た三人。再び歩き出し、やがて正門前に着く。真下からみる城の高さにティア以外がおお~と驚嘆した。アタシの住む国より低いわねと勝ち誇った顔をするティア。大自然の天然岩山になんか勝てる訳ないだろ。
正門は高さ二十メーダー、幅十五メーダーの巨大な門。だがそこからは入らず、左右にある勝手口から入城する。勝手口と言っても高さ三メーダー程ある大きな扉ではあるが。
「ねえ、あのおっきな扉から入らないの? 開くとこが見てみたいわ」
「ありゃ曽爺ちゃんが帰ってきた時とか、他の国のお偉いさんが来た時に開けたりする門だ。開閉に時間かかるし仕事してる人達に迷惑だから開けん」
アタシはお姫様よと駄々をこねるティアにこんな時だけお姫面すんなとチョップをかます。門兵が苦笑いしながらもお帰りなさいませと門を開けた。こいつらの事はもう連絡が行ってたみたいだな。
城の玄関とでも言うべき場所で四人は立ち止まり、その荘厳さにあっけにとられた。端から端までを美術館のように硝子の箱に入れられ立ち並ぶ数々の芸術品や宝飾品絵画その他。これらは全て王に捧げられた作品だ。玄関はその国の顔、これだけ多くの種族から信頼を得ているというアピール目的で飾られている。……本当は納められ過ぎて置き場所に困った連中が、それっぽい理由を付けて入口に飾ったのが始まりらしい。
「おにいさまーーーー!!」
「おにいさま、おかえりーーーー!!」
奥の大階段からパタパタと駆け下りて来たのは、俺の双子の弟妹、アストとルーナ。両手を広げ、純粋無垢な笑顔を振りまきながら、俺目掛けて走り寄る。さあ、我が愛しき弟妹よ、どんと飛び込んでくるがいい。
「「【
二人は走りながら魔法陣を展開し、俺に小さな火球を放ってきた。ルーナの火球、威力はそこそこだが不安定だ。手刀で縦に割って避ける。アストのはずれて右前脚辺りに飛んできた。蹴り飛ばして明後日の方向へ飛ばす。そのまま一気に接近し、二人を抱き上げた。
「あはははは! おにいさま、ルーナのまほうはどう? いっぱい魔力つかったの」
「うう、しっぱいしちゃった。おにいさま、ぼくの魔法陣みてください」
「ルーナ、魔力を沢山使うのは逆効果だ。さっきみたいに簡単に割れちゃうぞ。アストの魔法陣は……ここだ。座標指定が間違ってる」
俺があーだこーだと教えている間に、使用人達が着火したカーペットの消火活動に当たる。蹴った火の玉の方は跳躍したフィロメナが厚手の毛布で素早くくるみ、窒息消火させていた。
アストもルーナも、魔力の無い俺なんかとは正反対の、とても優秀な魔法使いだ。特にルーナは親父や爺ちゃんに匹敵するほどの魔力を持っているとのこと。お袋への悪口は消えたし、将来王位を継ぐのも二人のどちらかに確定している。俺は二人のおかげで堂々と外に出られるようになった。
「あの子達がリオが言ってた双子の弟と妹なんだ」
「ぁぅ……ワタシよりちっちゃいのに、魔法使えてる……」
「すごい魔力」
「魔法の才能と栄養は全部あの双子が吸っちゃったのね」
アストとルーナの才能に驚くヴァン達の前にアローネが近づき、深々と頭を下げる。
「リンドヴァーン様、スコラウト様、アリネイア様、ティア様、ようこそお越し下さいました。本日は大変めでたき日、我らがグランディアマンダ国第一王子、リオスクンドゥム・メルフェイエ・グランディアマンド様の十歳の誕生日会で御座います。リオ様のご意向故ささやかな会ではありますが、どうぞごゆるりとお楽しみくださいませ」
ティアはよくってよとふんぞり返り、ヴァンがおたおたと頭を下げ、スコールはぽけっと突っ立ちと各々予想できる反応をしているが……アリンの様子が変だ。
「か……かっこ、いい……」
目を輝かせて憧れ光線を放っている。アローネだけでなく、集まってきた全員の使用人達にその眼差を向けている。背筋を伸ばし凛とした表情で直立し、視線も姿勢も微動だにさせず堂々ながらも静かに佇むその姿は、言われてみれば確かにカッコいい。しかも彼女達は王族専務の超エリート。どうやら超内気なアリンの理想の女性像はアローネ達のような人らしい。
「まずは皆様のお召し替えを。案内しますので、どうぞこちらへ」
第21話 『Unhappy Birthday』
俺も着替えてくると双子の弟妹を伴い、別の場所へ向かったリオ。四人はアローネの案内の元、ヴァンとスコールは紳士服の選定をしに別の部屋へ。アリンとティアは二階の化粧室へ連れていかれた。
「ティア様にはどの服がいいかしら? どの色の服でも映えるから迷うわ~」
「アリン様だって負けてないわ。この可愛らしさは反則級でしょ。抱き締めたくなっちゃう」
服を脱がされた二人が品評会のように彼是と服を宛てがわれる。もみくちゃにされて戸惑うアリンに対し、ティアは慣れもあり当然でしょと余裕を見せていた。
「あら。この髪留めはリオ様の物ね?」
おずおずと頷くアリンに『いいなぁ』『羨ましいわぁ』『私もリオ様に髪触って欲しーい』と使用人達が黄色い声をあげる。その様子に気になったティアは、城でのリオの様子について聞いてみた。
「何をしてても絵になって素敵なのよ! そこらの男共なんかと比べるのもおこがましいわ」
「リオ様のお蔭でお仕事はかなり楽になったし、気になったことは全部リオ様が直してくださるの。この城で一番頭が良くて仕事が出来る人って言ったら、誰だってリオ様のことを言うわ」
「グラウィス様のように強い意志を感じさせる、力強く妖艶に輝く紫の瞳。それでいてレティシア様のようにお美しい、どんな宝石にも負けない艶美なお顔」
「心無い大馬鹿共が魔力が無い事を揶揄し罵っても、怒ることも悲しむこともなく笑って受け入れる不屈で海より大きいお心」
「でもなかなかお世話させてくれないのよ~。私達が用意致しますって言っても全部一人でやってしまわれるし、実際リオ様の方がお上手だし。大きくなられてからはほぼ毎日外出してらっしゃるし。ミランダとフィロメナが羨ましいわ~」
きゃいきゃいと騒ぐ使用人達に、なんだか随分慕われているのねとティアは思った。アリンに化粧を施していた一人が首飾りに気付いて質問をし、アリンがそれを手にした経緯を語り喚声が上がる。ティアはリオに対する印象を大きく改めた。
髪にヘアコロンを付けるために髪紐を解かれたアリンは長すぎる前髪によって顔を覆われ、見かねた一人が髪を切ることを提案すると、アリンの頭にはとある女性の姿が浮かんだ。
「ぁぅ、じゃあ……」
「……え? それだとかなりばっさり切ることにけど、いいの?」
「お、お願い、します……」
「髪、短くなってる」
「随分短くしたんだね。なんか別人みたいだ」
「もう、二人とも可愛くなったぐらい言いなさいよ。ねえアリン?」
「ぁぅ……似合ってない?」
「そんなことないよ。良く似合ってる。とってもいいと思うよ」
着替え終わった四人は会は別の場所で行うので、準備が整うまではこちらでお待ちくださいと一階の応接室まで案内された。そこにはエイスクレピア夫妻、ファンレロ夫妻、リヴァノヴァ老夫妻が若干緊張の面持ちで椅子に座っており、ヴァン、スコールは両親の元へ駆け寄った。唯一両親のいないティアはつまらなそうに家族らを見つめながら、一人静かに皆から離れた席へ座る。それを見たアリンは老夫妻の元ではなくティアへ近寄り、心配するような目でティアを見つめた。
「……なによアリン。アリンのお爺様とお婆様の所にいればいいじゃない」
「ぁぅぁぅ……ティア、は?」
「アタシはいいのよ。お爺様はまだ店で寝てるだろうし。……お母様は絶対に来ないし。お父様は……とにかくっ、アタシは一人でいいからっ」
一瞬悲しむような表情を見せたティアだったが、目尻を上げ、語気を少しだけ荒げてアリンを遠ざけようとした。だがアリンはもじもじとしたままティアから離れようとしない。家族がいるならばそこに行けばいいじゃないかと、ティアは湧きたつ苛立ちを吐き出すかのように怒鳴ろうとしたとき、アリンは首飾りを握りしめながら、小さく呟いた。
「ぁぅ……お爺ちゃんも、お婆ちゃんも、“血、繋がってない”……お父さんと、お母さんは、知らない……会ったこと、無い……ぁぅ」
アリンの言葉に、ティアの苛立ちは急速に冷める。自分だけこの場に家族がおらず、その事に寂しいと思ってしまったこと。それが悟られたようでティアは不愉快だったのだが、目の前の年下の子は自分よりもはるかに辛い思いをしているとその胸の内を見たような気がし、小さな手に握り締められた首飾りの話を思い出した。離れていても繋がるようにとリオが渡した、仲間との絆の証。アリンにとって、自分たちは掛け甲斐の無い存在だった。ティアは自分の情けなさに腹を立てた。友達なのだから、仲間なのだから、心配して当然じゃないか。ましてやこの子は、誰よりも一人ぼっちだったのだ。
「もう! しょうがないわね。一緒に座ってあげるわ」
ティアはアリンの手を引き、リヴァノヴァ老夫妻の席へ向かう。少し意地を張ってしまうような言い方になってしまったのは、仲間がいるという喜びと、仲間の抱える悲しさに、涙が零れてしまいそうだったから。
大広間でケーキのデコレーションの仕方を巡り、対峙する獣人族の料理長と、角人族の副料理長。
『お前の飾りつけには、リオ様への感謝と畏敬の念が全然籠ってない』、『これはリオ様が考案なされたお菓子。余計な手を加えることこそリオ様への冒涜だ』、『これだから角人は頭が固く独創性の無いつまらん種族なのだ。固いのは角だけにしてろ』『豚ッ面で自分が料理される側のような獣人のくせして何を言ってやがる』、『お前の角は出涸らし以上に出汁が無さそうだがなぁ!』、『アンタは脂ばっかで旨味なんか全然無さそうだなぁ!』
「お前の母ちゃんデベソとか言っちゃう前に二人を止めろ。料理が台無しになる」
「何で二人ともリオ様の料理のことになるといつも喧嘩になっちゃうんすか……」
暴れる厨房責任者二人を弟子達が抑え込み、残った弟子がこうしようああしようと飾り付けを始める。俺が以前暇つぶしに作ったケーキを再現したものが今日出されると聞いたので先に開催広間に来たのだが、さすが一流のシェフ達と言うべきか、見事なバースデーケーキを作ってくれた。喧嘩してるとは思わなかったが。
「リオ様~、お願いですからこっちの服を着て下さい~」
「やだ」
「ふええ~アローネ様に怒られちゃいます~」
ミランダが俺の礼装を持って泣きながら嘆願するが、断固として拒否する。それ動き辛えし宝石がなんか趣味悪ぃし嫌いなんだよ。家着はノースリーブにジャージズボン、サンダルが俺のポリシーだ。ホントに大事な時以外は絶対に譲らん。フィロメナは諦めて部下と一緒に俺の髪を整えている。両手にぶら下がりおにいさまおにいさまと連呼するルーナとアストも使用人達がせっせと着替えさせている。
「ノート竜王、ティア王女、エイスクレピア家、ファンレロ家、リヴァノヴァ家がお見えになりました」
丁度準備が整った所で仲間達他血縁者が広間へ入ってきた。全員はキチンと正装。別に気にしないでいいんだが主催が親父だからしょうがない。……おっと、こりゃ驚いた。
「一瞬見違えたぞ。前より凛々しくなったじゃないか」
「ぁぅぁぅ、ありがとう……」
腰まであった長い髪は肩口まで短くなり、前髪は眉辺りで綺麗に切り揃えられている。俺のやった髪留めは二の腕に結んでいる。あのお姉ちゃんのようになりたかったのかとアローネを指さしながら聞くと、恥ずかし気に頷いた。
「両手を前に揃えるんだ。脇を占めて、背中を張って……顎はもう少し引け……そうだ。つま先をくっ付けろ。肩の力を抜いて……抜けてないな。深呼吸だ……そうそう。カッコいいぞ。これでアリンも立派な女性の仲間入りだ」
ぱっと花が咲いたように笑うアリンの頭を撫でてやる。こりゃ将来いい女になりそうだ。私も僕も撫でて撫でてと騒ぐルーナとアストもついでに撫でる。
「ねえリオ? アリンばっかり構ってないで、アタシにも何か言ったらどう?」
「褒めようと思ったが催促する女性ははしたないぞ。減点」
何よそれぇっと頬を膨らませて怒るティア。竜化したあの美しい姿が印象に残ってて褒めようがないと適当に言うと頬を赤らめて静かになった。
その後、何故かヴァンまでどう? と感想を求めてきたので一応良いと思うぞと言っておいた。正直、可愛さ仕草で言ったらヴァンが一番。と思ったのは、きっと気のせいに違いない。スコールは動きづらいリオが羨ましいと正装が嫌そうだった。脱がせてやりたいが、我慢してもらう。
やがて親父とお袋と爺ちゃん、
「しかし、何と言いますか。リオく……リオスクンドゥム王子様の誕生会にしては、随分と規模が小さいですな」
その言葉に親父とお袋、他多数が頭を抱え、爺ちゃんとプエレルアさんだけが腹を抱え笑い声を抑えている。何か変な事を言ってしまったのだろうかとヴェンツェルさんがオロオロしていると、アローネが“あれ”について説明を始めた。
「元々、大人しいリオ様は騒がしいのを好まれないだろうという理由で、誕生日会は身内だけで行っていたのです」
え? 大人しい? リオが? 想像できないんだけどと口々にする俺の愉快な仲間達。いてこましたろかコンニャロウ。元々は静かな性格だったしそっちが好みなんだよ。それじゃ落ち着けなくなったから行動的になっただけだ。
「実際は行動力もある好奇心旺盛なお方なのだというのは、既に皆さんは承知かと思いますが。ともかく、表に出ることが殆ど無いリオ様を各国は訝しんでいる事と、ぜひ拝見させて戴きたいと催促する声が以前よりありましたので、二年前、リオ様が八歳を迎えた日は各国から大勢の人々を呼び寄せ、盛大に祝ったのですが……。祝いの場は、グランディアマンダ国内の不祥事を告発する場となりました」
何ですかそれはと驚くのは一般市民の両親ズ。一応箝口令敷いたから表沙汰にはなってないが、各国の政治陣営界隈では半ば伝説と化している。
「宴もたけなわなころ。壇上に上がったリオ様から皆様への感謝として述べられる筈だった言葉。それは密輸入、関税操作、不正取引と隠蔽工作。関わった者達の名を裏どりも含め全て読み上げられたのです。関係各所にも事前に通達していたようで、その場にいた者共はすぐ取り押さえられ、外でも逮捕者が幾人も出ました。出席していたアクアヴェンツィア国の宰相も一枚噛んでいることが後に分かり、それはもう大変な騒ぎになったのです」
当時、塩の価格が高騰していたころ。旬の時期にも関わらず黒三日月の収穫量がやたら少ない事。ミリヤムさんからの報酬が多かった事。岩塩海塩が市場になかなか並ばない事にきな臭さを感じ、ヴィアンさんを通じて他
「それからはリオ様の誕生日会は粛々と、静かに行われるようになりました。逆に言えば、お誘いをしても参加する国はありません。リオ様を怒らせると、国の運営に大きなひびが入る程の目に合うと恐れ、リオ様と関係を持とうとするのを控えているからです。私共としても、身内の恥を晒すのは国の信用と威信に関わるので、リオ様のお望み通りにすることを決めたのです。政治や会談、恒例行事といった堅苦しい事を嫌うリオ様の反対を押し切った私共の、自業自得とも言えますでしょう」
「だぁからあれ程止めておけと言ったのだ。リオを不機嫌にさせるようなことをすれば、絶対に痛い目をみると何度も言ったではないか」
「だからと言って誕生日会で不祥事を暴露するとは夢にも思わないだろう父上。水面下で数ヶ月にかけて調べていたとなれば、怪しむことも出来ない」
「……一番悲しいのは、リオがそれほどまでに誕生日会を嫌がっていた事です。とてもめでたい日なのに、どうして……」
言い合う爺ちゃんと親父に、泣き上戸になったお袋。
その後、泣き続けるお袋を宥め改めて仕切り直し、俺の誕生日会はひっそりと終わった。こんなにつまらない誕生日会は初めてとティアから顰蹙をかった以外に、目ぼしい出来事も無かった。だから誕生日は嫌いなんだよ。気分はどうやったって乗んねえし。俺みたいなろくでなし祭り上げた所で身内以外に誰が喜ぶんだっての。
死んだ父さんと母さんが頭ん中ちらつくから、いっそ無くして欲しいぐらいだぜ。
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