6話 女装するとMになる


 デートという面目で服を買わされにやってきた財布こと俺は、普段通りカッコいい女性をイメージする服装でシズキとお店に着ていた。

 正直自分も色んな服が欲しかった所、というか女装する時の為に様々なイメージの服を買って自分に合う服を見つけたかったのだ。

 そんな服を1人家で着て鏡を見て楽しむんだ。


「これなんかどうでしょう!」


 店員さんは綺麗なお客さんが来たと思っているようで、張り切って色んな服を持ってきてくれる。

 最初はあまり自分の趣向に合わない服ばっかりだったが、自分のイメージを伝えていくと段々とそれらしい服を持ってきてくれるようになり、流石プロだなと関心する。


「マコちゃんこれ試着してきなよ」

 そういってシズキが渡してきたのは、デニムショートパンツと呼ばれる物。パンツとほとんど変わらないくらい露出範囲が広い。


「嫌だよ……」

 足の細さや綺麗に自信はあるが、こんな服は俺には似合わないと思う。


「ニーソとかも履いてさ」

「無理無理!」

「お客様なら絶対似合いますよ!」

 店員さんまでシズキと一緒になって頼んできた。


「……じゃ、じゃあ着てみてダメだったらすぐ着替えるからな」

 ショートパンツとニーソックスを手に取って試着室に入る。


 カーテンを開けられないか心配しつつ、履いていたズボンを脱いで鏡を見る。

 改めて自分の足を見るが本当に綺麗だ。そこら辺のファッションモデルと比べても劣らないくらいには綺麗だ。


「大丈夫かなぁ〜……」

 履きなれないショートパンツを履き、これを履いて本当に世の女性は外を歩いているのかと驚いてしまった。


 次にニーソを履いてみると、肌をピッチリと引き締めてくる感覚が気持ちよくて尚且つ肌を隠せているような気もするので、ショートパンツを履いててもあまり違和感を感じる事はなくなった。

 鏡を見てみると、そこには脚の長い美脚な女性がいた。


「いいな」

 ナルシストと言われても構わない。女装というのは可愛くなった自分を褒めてナンボだ。


「シズキどうかな?」

 ウキウキしながらカーテンを開ける。


「やっぱりマコちゃんなら何でも似合うよ!」

「ご購入なさいますか!?」

「ど、どうしよう……買おうかな……」

 後ろを振り返って鏡を見ると、小さく引き締まった自分の尻がエロい。全然男らしくない尻だ。


「じゃあ購入します。マコちゃんの服は着て帰ります」

 シズキは店員さんに財布を渡した。ちなみにその財布は俺のだ。いつの間にかシズキに奪われていた。




 他にも2人の色んな服を買い終わった所で、シズキは男女両方入れるトイレに俺を連れてきた。


「約束通り、これをお尻に入れてね」

 そういって振動するローターを満面の笑みで見せてきた。


「…………お前マジで……やめてくれよ……」

「マコちゃんが喧嘩しない為には弱らせる必要があるのよ。それと感じてるマコちゃんを見て興奮するから」

 何故こんな約束をしたのかというと、俺がこっそり他校の生徒と喧嘩している所を見られてブチ切れられてしまったからだ。


 次喧嘩したらSNSにも学校にも女装癖の事を広めると言ってきたのだ。

 俺が必死にシズキを落ち着かせて許してくれと頼んだら、今度は尻にローター入れたままゲーセンデートときた。


 それでも俺はシズキの事が好きだし逆らえないから仕方ないのだし……正直言うと、この状況を楽しんでいる俺もいる。

 この前親友のトモキの前でイってしまった時、何か自分の中の扉が開くような音がしたのだ。


「せめてショートパンツじゃなくてズボン履かせてくれよ」

「……まあそれくらいでやってくれるならこの前の事は許すわ。えいっ」

「っっ!?」

 いつの間にかショートパンツとパンツを降ろしていたシズキ。


「へぇ、毛とか剃ってるんだ」

「────っ!?」

 言葉にならない声を出しながら思わずシズキを押し倒す。


「痛っ……」

「あ、ご、ごめ……って違う! お前っっっ……」

 あまりの恥ずかしさ下半身を隠しながらその場に座り込み、顔を真っ赤にする。


「マコちゃんなら見られても別に大丈夫って思ったんだけど、そんなに嫌だった?」

「嫌っ……じゃないけどビックリしてっ……って嫌に決まってるだろ」

「でも結構大きいじゃん」

「っ…………」

 どうやらシズキは相当な変態らしい。


「私男は嫌いだけどマコちゃんのは好きだよ」

「えっ……?」

「……いいからさっさと入れさせなさい!!」

「やめろぉぉぉっっ!!」


 無理矢理シズキに股を開かされて、尻の穴にローターをぶち込まれてしまった。


「こっ、これっ……取れるのかっ……? っていうかずっと動いてっ……んっ……」

「はぁ最高……マコちゃん可愛いよ」

「やめっ……そんな事言うなよ……」

「女言葉使いなさい」

「っ……ごめん……」


 多分、こんな状況なのに喜んでいる俺も相当な変態なようだ。

 日頃から喧嘩ばっかりしてるからその息抜きに丁度良いんだろうな。普段人の上に立つ俺が、シズキの飼い犬のように逆らえない命令されて。

 俺は女装した時だけMになるみたいだ。あんまり認めたくない。

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