第8話 質問
「はあ、、、、。」
私は頼りない返事で答える。
向かいの男は尚も愉快そうに笑っているので、顔が着ているシャツ同様に皺だらけになっている。
子供のように笑う人だな。
内心で感想を述べた。
「君はあれかね?胃が強い方なのかい?」
なんだその質問は。
「はい、大学の飲み会でいった居酒屋で集団食中毒が発生したんですけど、私は平気でした」
去年の夏を思い出す。
大学のゼミ飲みでの話だ。
出てきた焼き鳥のレバーが原因だと思われ、当日から翌日にかけ、皆がばったんばったんと体調不良で寝込むので、お見舞い巡りで1日奔走した記憶がある。
ちなみに私はレバーが好きだ。
向かいの男はまた吹き出し、笑いだした。手のひらで自分の膝をバンバンと叩いている。
そこまで面白い話だったのか?と、こちら側が若干不安になる。簡潔にいうと、ひいた。
「それで君はなんともなかったわけだ」
「はい」
胃が強いという理由だけで、内定が貰えるのだろうか。しかし、さっき言われた「合格」と言うのはなんなのだろうか?
お茶飲んで話したら内定って、正直この会社ヤバいでしょ。
「大学では何かサークルとかやってた?」
少し、ほんの少しだけ面接っぽい話題がきた。
「サークルではバドミントンをやってました。小学校から続けていて、高校の時は部長を務めました」
「へー、バドミントン好きなんだね」
「はい、好きです。部活で鍛えた体力が唯一の取り柄です」
体力測定のシャトルランでは誰にも負けない。バドミントンと聞くと、ふわふわしたものを思い描きがちだが、本当のバドミントンは違う。壮絶な体力の削り合いと瞬発力による技術のぶつかり合いだ。
「体力に自信があるのは良いね」
感心感心といった様子で半笑いのまま頭を上下に頷いている。
「ところで、魔法って信じる?」
「はい?」
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