scene 6



ールールは守らなくてはいけない。


ールールを決めたのは誰?


ールールを決めたのは私。


ーなんのためのルール?


ー〈今〉を守るためのルール。


ールールを破ったら、本当に今が守れないの?


ゲートがひとつ開くだけじゃない。


それに、満月の夜からずっと、あなたは今まで以上にパートナーに優しい。



あの日からずっと、二人の私が葛藤している。


会って、話して、大好きなあの声を心のボイスレコーダーに録音するだけ。


そしてUターンして日常に戻るだけ。


ー本当に?きっと今夜の月も美しいよ。


新幹線を選んだのは、途中下車ができるから。


ー逃げ道を作るのはなぜ?


それも罪だとわかっているから?


ー心だけなら、罪なんて言わない!


少女の頃の花占いのように、これから2時間、私は繰り返すのだろう。


「後悔する。後悔しない。後悔する。後悔しない。」


ホームに着いたとき、結果はどちらになっているのだろう。 


引き戻そうとする声が邪魔をして、車窓に流れる風景も見えない。


心だけなら〈罪〉なんて言わない。

心だけなら。



あの人のコメントが読みたい。

かすかに残っているリリックテノールの記憶にのせて。


迷いを断ち切ってください。

危険な幸せで満たして!


左手に握りしめていたスマホを開けて、SNSをひらいた。・・・



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