とある英雄のbackstory


 勇者が目覚めたとき、最初に覚えたのは焦燥感だった。

 戦いの最中、いや、決着がついたかついていないかという曖昧な時に、意識を失ってしまったことだけははっきりしていたからである。


 勇者はホコリ臭いベッドの上に寝かされていた。かけられたマットもどこかベタベタしていて、心地悪い。見上げた天井は木張りで、家というよりはボロ小屋といった雰囲気であった。隅には蜘蛛の巣が張っている。


 窓は木組みで、ほとんど枠と呼んでもいいほどだ。窓の外から山の緑に混じり、明るい日光が差し込んでいる。室内のカビ臭さと対象的に、外から吹き込んでくる風は清々しいものであった。その空気に混じって、小鳥のさえずりが聞こえてくる。おそらく時刻は朝頃であった。




 勇者はギャリという小さな村落で、強大な魔族の襲撃にあった。魔族の部隊ではなく、たった一人の魔族である。

 その魔族は魔王軍に組せず、単独で勇者を潰しに来たのである。魔王に従わないということは、魔族の習性、或いは呪縛からすれば考えられないほど不自然なものであり、自然とその道理は予想できた。

 要は、その魔族は魔王並みに強かったということである。


 タイミングも悪かった。勇者パーティはその直前に別の魔族と戦っていたのである。別の魔族とは、魔王軍が逐次投入してきた魔族部隊の方であり、常日頃勇者達が戦ってきた相手だ。多少の損害はあれど、さして苦にもならない相手だ。

 そんな魔族達との交戦を終え、仲間たちの負傷をシスターと共に手当している時、そいつ・・・はやってきた。


 そいつは大柄の魔族であり、寡黙。ボロ布を纏ったその姿は、勇者が今まで戦ってきたどの魔族とも一線を画した覇気を纏っていた。

 そいつは目に大きな傷があり、瞼が開かないようであった。あるいは目がないのやもしれない。どちらにせよ、その魔族は盲目であった。


 その魔族は刀を使った。目が見えていないにも関わらず、正確無比な刀を振るった。

 あまりに鋭い聴覚、それはもはや第六感ともいうべき立体把握能力であり、何か音を出そうが一切の妨害にはならない。当然閃光弾も目潰しとはならない。

 魔力の感知能力も優れているのか、音の出ないはずの光魔法ですら完全に回避してみせる。


 一切の音も出さずに忍び寄り、勇者たちだけではなく村人達まで誰一人としてその魔族の存在に気づかず、彼に侵入と接近を許した。

 その魔族はまずシスターサレスを襲った。それを庇った魔女エリザベーナが深手を負い、シスターも衝撃によって気絶する。

 賢者ダグムーンが魔動具を取り出した瞬間、魔族は瞬時にその魔動具を破壊した。

 ダグムーンは相性の不利を悟り、壊された魔動具をブラフとして、保険に用意していた退避用の魔動具をつかうことで魔女とシスターを連れて戦線から離脱した。

 この時点でその場には、勇者と刀使いの魔族だけが残された。


「我、波巌流を継ぎし者也。勇者よ、手合わせ願う」


 勇者と魔族の交戦は、三分にも満たない僅かな時間であった。

 雨あられが如く降りしきる刀の斬撃。常時光魔法で体を回復するが、着実に魔力を削られていく。

 光魔法による攻撃が何故か感知され一切通じないため、勇者は剣で対応することを余儀なくされた。


 しかし二人の剣術の習熟にはあまりに大きな開きがあった。その数瞬のやり取りの間に、何度勇者は死を覚悟したのだろうか。

 なんとか致命傷を免れ続けることができた要因は、マッカード帝国の教育した剣術ではなく、勇者本人の天性の戦闘センスに他ならない。

 だが一秒毎に勇者は劣勢に追い詰められていくのを身にしみて感じていた。


 何を捨てても逃げようと思った。それほどの恐怖であった。

 しかしそんな思いが頭を過ると、誰かが彼に話しかけてくるのである。「ここで逃げたら許さない」と。意識が朦朧とした中での幻覚か。

 妙なことであるが度々聞こえるその声により、勇者の感覚はどんどんと研ぎ澄まされていった。


 真っ白な世界の中で、自分と刀使いだけがいる。

 そんな世界になって、何もかも忘れて、不意に聞こえてきたメディリーナの声が如き幻聴に、勇者の中の何かが弾けた。


 身に溢れる全能感。止めどなく流れ込んでくる何かの力。自身が持っていた加護『光魔法』の本質の理解。そしてその加護の変容。


 それは覚醒と言うにはあまりにも恣意的で、言うなれば封印の解除に近い。しかし封印されていた真の力、と謳うにはあまりにも強大な器。


 数瞬の後、勇者は絶大な量の情報を叩き込まれた。この世界の真の姿、女神達の思惑、勇者と魔王の真実。そこに神秘的な物語はなく、単に現実を理不尽に叩きつけられただけである。そしてその現実こそが、勇者を全くの空虚に陥れる核心をついていた。


 力の変容と、情報の嵌入。そこに起きた動作の空白は、魔族にとって勇者に致命傷を与えるには、あまりに長い時間であった。結果的に勇者は、初めて致命傷を許した。

 聖剣が音を立てて壊れ、魔族の刃が勇者の体を斬る。


 しかし幾らその魔族が強いとはいえ、幾ら勇者の気が途切れていたとはいえ、魔族と今の勇者の力には歴然とした差があった。勇者は変容した加護である『光』でもって体の修復を行い、命をつなぎとめると同時に魔族の首を『光』で焼いた。


 体の修復は一時的なものであり、勇者はすぐに意識を失った。いつの間にか、魔族と勇者は戦いながら村から離れ、森の奥へと移動していたようであった。



 そして勇者が目覚めたとき、気づけばここに寝かされていたのだ。

 もう人が住まずに何年と経ったと思われる、カビ臭いボロ小屋に。


 勇者は焦った。魔族を殺しきれたのか分からなかったからだ。『光』で認識した限りでは、その魂の光を消える寸前まで追い詰めることができた。もはや戦闘はまともにできず、ともすればそこで野垂れ死ぬか、勇者の仲間に見つかり殺される運命にあるだろう。

 だが確証はない。もしあの魔族に瀕死の状態から回復するような加護があれば、もう手遅れになっていてもおかしくはない。今まさに、勇者パーティーの仲間達は危機に立たされているかもしれないのだ。

 そう、今は動かなければならない時なのだろう。


 しかし勇者は、ベッドから起き上がる気力すら湧かなかった。体は万全とは行かずとも、かなり治癒したようであった。『光』を用いれば回復することもできるだろうが、しかしそれをすればベットから起き上がってギャリの村に戻り、仲間達の元に急がなければならない。それが勇者は嫌だった。


 初めての経験であった。今は何もしたくない。過去の一切を忘れて、真っ白な頭で寝そべっていたい。そんな堕落の極みとも言える思考。

 それは逃避である。虚無への避難だ。


 勇者はもう、正義だとか、英雄だとか、魔王討伐だとか、そんなものはどうでも良くなってしまっていた。何もわからなくなった。全てが無駄だった。結局は箱庭の中のあれこれで、勇者がどう転ぼうが、世界は変わらない。びくとも動かない。何も変えられない。


 無造作に押し付けられた現実は、無慈悲に勇者の心を折っていた。



「あら、起きたの?」


 不意に聞こえた声に勇者は身構えようとして、痛みに顔を歪める。


「無理しないで。傷が開くでしょ」


 その声の主は女性だった。ボロ布のような服に身を包んだ、しかし美しい女だった。

 彼女は水を入れた桶を持っていた。へりに白い布がかかっている。


「君は」

「あなたが倒れていたのを見つけて、手当をと思って。崖から落ちちゃったの?」

「いや、そうではないが……」


 先程から勇者は何か違和感を覚えていた。服の汚れ具合に比べ、肌が綺麗すぎる。まるでこの小屋の主のように振る舞っているが、この小屋には人が住んでいる気配がない。あまりにもボロすぎるのだ。

 そして勇者は、彼女の口元に気がついた。


「牙……」

「っ!」

「君、もしや魔族か」


 彼女は慌てて口を手で隠すが、それは自ら答えを言っているようなものであった。


「君は私を殺すのか?」

「……一応、助けたつもりなんだけど」

「知っている。ありがとう」


 そうでなければ今頃勇者は死んでいるのだ。あるいはこれが彼を騙すための策略であったとしても、それで死ぬならば仕方がないとすら、今の勇者は思っていた。


「…………」

「なんだ?」

「あなたは、魔族が怖くないの?」

「怖くはない。ただ、散々殺してきたな」


 びくっと彼女は体を震わせる。


「私は勇者だ」

「……えっ?」

「私は君達の敵だ。どうだ? 私を殺すか?」


 なにか考えがあって暴露したわけではない。どちらかといえば、もうどうにでもなれという自棄的な気分から出た言葉であった。


「勇者? ほんとに?」

「ああ」


 聖剣を出せば証明になるかとも思った勇者だったが、取り出した聖剣の石は先の戦闘で砕けていた。魔力を込めても剣に変形しない。


「残念ながら証明することはできないが、たしかに私は人の間で勇者と呼ばれる存在だ。それで、私を殺すか?」

「……」

「私は君達魔族の敵だ。魔族としては、私が死ねばもはや人間など簡単に滅ぼせるだろう」


 しばらく彼女は息を呑み、沈黙した。しかし両手で頬を叩き、意を決した様子で彼女は言った。


「まさかこんな所で出会うとは思わなかったけど……これも運命なのかもしれない」

「運命?」

「私は、ちゃんと対話ができるうえで、人間界において影響力のある人間を探していた。あなたはきっと、私が探し求めていた人だと思う」


 もう口元の牙を隠そうとはしない。頭に巻いていた布を取り、彼女は胸に自らの手を当てた。


「私の名前はヘリウ。先代魔王であるイグノアに仕えていた吸血鬼。私は人間と魔族が手を取り合う世界の可能性を探しているの」






 先代魔王イグノアといえば、人間達に魔族の恐怖を植え付けた元凶である。そこに仕えていた魔族が、なぜ人間と手を取り合おうなどと考えるのか。そもそも人間を襲ってきた魔族側が、謝罪もなく和解を願うのは傲慢ではないのか。そもそもこれは何かの策略ではないのか。

 もしも勇者がまともな精神状態にあったなら、そのような疑問をヘリウに抱いただろう。

 だが勇者は彼女の言葉を素直に受け入れた。あるいは、あまり興味がなかったとも言える。


 ヘリウは特に、勇者に協力を願うことはなかった。彼女が行ったことといえば、とにかく勇者と話すことだけだった。

 手当の合間、食事を運ぶとき、夜寝る前の一時、ヘリウはベッドに横になる勇者の横に座り、色々な話をした。

 魔族の料理の話、風習、仲間達の話、今流行っていること。魔族間でのいざこざ、ヘリウ自身の思い出。

 人間にとっては重要と思える情報から、他愛もない話まで、彼女は本当にただ雑談をした。


「それでね、アルゴとクリプは仲が悪いの。アルゴは無口なんだけど、クリプに対してだけは饒舌になって……よく口喧嘩してる」


「でも、二人は実はお似合いじゃないかなって思ってるの。アルゴはいっつも訓練してるし、クリプもいつも部屋に籠もって実験してる。二人共努力家なのよ」


「マグネスとオキシはやんちゃでね、いっつも一緒にいるの。それで馬鹿なことをしようとする子達で……」


「この間は女湯を覗こうとして、ネオンとナトゥーリに怒られてたっけ。ネオンが皆の親代わり」


「それでね……」


「なあ、ヘリウ」


 ただ話を黙って聞いていた勇者は、片手を上げてヘリウの話を止めた。


「……何?」

「なぜ君はそんな話を私にするんだ。何か意図があるのか」

「…………」


 ヘリウはじっと勇者の顔を見て、一つうなずいた。


「人族も魔族も、同じだって言いたかったのよ。私がであった人間はあなたを含めて数少ないし、皆私を睨んでくるけど、でも皆きっと同じなんだって、私はわかった。……あなたはどう?」

「……そんなこと分かっている。皆同じだ。魔族や人族に限らない。エルフもドワーフも、獣人も龍人も、我々と同じなのだろう」

「でも、分からない人が多いの。特に私の周りには」


 勇者から目を離し、ヘリウは窓の外の空を見つめる。


「なんで同じ者同士で争っているんだろうって、ずっと考えてる。きっと過去の……歴史のせいなのよ。昔多くの同胞を殺されたから、やり返そうとする。相手を敵だって、決して分かり合えないんだって決めつけて、戦ってる」


 彼女は拳を握って立ち上がった。


「だから、お互いがお互いを理解し合えれば、きっと戦いなんて無くなるのよ。死ぬ以外に罪を償う方法はきっとある。皆が過去を呑みこんで未来を見ることができれば、きっと世界は変わる」


 ヘリウの目は輝いているように見えた。勇者は眉をひそめ、彼女から目を背ける。


「魔族は頭が悪いと散々聞かされていた。どうせ勘違いで、騙されているだけなのだろうと思っていたが、悲しいことにどうやら本当だったらしい」

「……私を馬鹿だって言いたいの?」

「そうだ。君の言っていることはすべてが絵空事だ。仲間の賢者の奇策でも、もう少し現実味があるな」

「あなたも無理って決めつけるの?」

「当然だ。……まあ国同士の争いだったら、お互い様とか言えるだろうが、魔族と人間は違う。歴史の中では常に、魔王が誕生すると魔族が攻めてきて、それを人族が耐えて、勇者が魔王を倒す。魔族はいつだって侵略者だ。お互い様なんてものじゃない。魔族が今更歩み寄ろうったって、人間は誰も頷いてはくれないだろう」


 ヘリウに動揺は見られなかった。彼女はまた椅子に座る。


「もしもあなたが勇者として活躍する前だったら、素直に受け入れられたでしょうね。その場合、人間は魔族の下につく事になるでしょうけど」

「……何だ? 私を責めているのか?」

「いいえ。あなたのお陰で、人間達の意識は変わった。皆が『きっと勇者なら魔王を殺せる』と思っている。……まあ、先代魔王が植え付けた恐怖はまだ拭いきれていないでしょうけれど」

「随分と詳しいんだな」

「この姿で色々と情報を集めたから……。魔族にとって魔王は強さの象徴であり、種族の象徴。そんな存在を歴史上幾度も殺した勇者を、魔族達は憎んでる。そして同時に、勇者を恐れている。あなたは特にそう。何度も強い魔族を返り討ちにしているあなたは、今代の魔王にとても恐れられている」


 ヘリウは勇者の顔を掴み、無理やり目を合わせた。


「今が分岐点なのよ。互いの力と恐怖の均衡が釣り合った今が。今魔王とあなたの間で和平を結ぶことができれば、魔族と人族は対等な関係を築く事ができる」


 彼女はまっすぐに勇者の目を見ている。勇者は思わず目を細めた。


「……無理だ。絵空事だ。和平を結べたとしても、互いの恨みを、意識を、変えることはできない」

「あなたが無理だっていうの? 人間の意識を変えさせ希望となった、英雄・・のあなたが──」


「私は英雄ではない!!」


 勇者の叫びが、小屋の板の壁に静かに反響する。しばし沈黙が生まれた。勇者は頭を抱える。


「……私には、何も変えることはできなかった……歴史を繰り返しただけだ。私はすでに今代の魔王より遥かに強くなってしまった。パワーバランスは崩れた。均衡は次の代によって補填される。『魔王システム』はさらなる力を次代の魔王に与える……歴史は繰り返されるのだ」

「魔王……システム? 何なの、それは……ねぇ勇者、あなたは一体何を知っているの?」


 ヘリウは震える勇者の手を取った。彼の目には、涙が流れていた。


「……この世界は『システム』によって管理されている。『システム』により、この世界の種族は互いに嫌悪し合うように洗脳されている。人間も、魔族も、エルフもドワーフも龍人も獣人も。互いが互いを憎み、決して交わらぬように。それがこの世界に定められたルールだ」


 それは、勇者が「箱庭の外へオーバー・ボックス」を起こした際に、どこかから脳に流入させた情報──世界の真実だった。


「ヘリウ。君の願いは叶わない。和平を誓っても、意識を変えようとしても、叶うことはない。『システム』を、世界を壊さない限り……決して」




 『魔王システ厶』:定期的に、魔族のうち最も強い存在に大量の力を付与する。さらに『魔王の加護』により力を魔族全体に分散させる。

 『勇者システム』:人族の国に異世界より勇者を召喚する召喚魔法陣を与える。それは魔王の誕生とともに起動可能となる。


「ドワーフには『神具システム』、エルフには『精霊システム』、龍人には『封印システム』、獣人には『幻獣システム』が存在する。そしてそれとは別に、『種族システム』が世界全体でそれぞれの種族を洗脳している」

「……何故洗脳するの? 互いの種族が憎み合うことで、なんのメリットがあるの?」

「恐らく、女神達が管理しやすいからだ。魂を分類して、そこに種族というレッテルをつけている。女神達にとって、種族の混成は管理の困難を生み出す。だから種族が決して交わらないように洗脳している。特に種族のハーフを激しく嫌悪するようにしているようだ」

「……なんで女神達は勇者と魔王を生み出して、争いを起こさせるのかしら」

「リソースの消費だ。争えばその分人が死に、文明が遅れ、力が相殺される。それを狙っているんだ。自らの世界が管理できないほど力に溢れないように」


 勇者はずいぶんと落ち着いたようであった。ヘリウは傍らに腰掛けて、勇者の話を聞くに徹する。


「勇者……あなたはどうやって世界の真実を知ったの?」

「……分からない。ただそれと同時に、元々持っていた加護が進化したんだ。いや。あれは進化というよりも封印が解けたような感じか。我々は『システム』によって思考や能力を制限されている。元々加護も制限がかかっているんだろう」


 勇者は手の中に『光』を生み出した。


「それは……光魔法?」

「いや。魔力は使うが魔法ではない。まさに『光』を操る能力だ。その時に加護が変容したものだ。同時になぜか髪色も変わったな。聖剣が壊れたのは、聖剣が『システム』の力を借りたものだからだろう。私が『システム』から脱獄したから、聖剣を使えなくなったのだ」


 『光』は勇者の手の中でくるくると踊りだす。ヘリウの目がその『光』を追った。


「制限が解除された途端、今までせき止められたいた情報や力が一気に頭の中に流れ込んでくる。それと同時に、どこかから世界の真実も叩き込まれるんだ」

「……それも、制限されていた情報とやらなのかしら」

「それにしては詳しすぎる。恐らくは、『誰か』……神に近い存在の『誰か』が恣意的にそうなるよう仕向けている……と思う」


 それは勇者があの瞬間に、本能的に感じたものであった。推測でしかない。だが、自然とそうなったわけではないだろうと勇者は思っていた。


「『システム』の管理者は女神達だ。おそらく人智の届かない領域だろう。『システム』を破壊するには、女神達自身に『システム』を破壊してもらうか、女神達を殺すしかないだろう」

「……そんなことはやりたくないし、やれるわけもないわね」


 そう。女神達とやらがどこにいるかも分からなければ、どういう存在なのかも分からない。少なくとも一般に信仰されているような存在でないことは確かだが、世界の真実はあくまでも情報だ。勇者にも女神というのが本当のところどういうものなのか、本質的にはわかっていないのである。


「まあ、長くなったが……つまり君の思うような世界は実現しないということだ」


 勇者はなるべく優しい声色を心がけて彼女に諦めるよう促すが、ヘリウは笑った。


「……もしかしたら、何とかなるかもしれないわよ」

「何?」

「だってほら、私はその、加護の封印の解除? は出来ていないけれど、あなたのことを味方だと思えてるし」

「あぁ」


 ヘリウは「箱庭の外へオーバー・ボックス」を起こしたことはない。それにも関わらず、『システム』の洗脳を受けている様子はない。

 だがそれは勇者にも言えたことである。


「私だって召喚当初から洗脳に抵抗できていた。加護の封印の解除……便宜的に『箱庭の外へオーバー・ボックス』と呼ぶが、これの切っ掛けは精神力の爆発だ。洗脳にも非常に高い精神力があれば、抵抗できるはずだ」

「私は逆に、生まれてから先代魔王イグノア様に仕えるまで、人間はなんと弱くて愚かでゴミのような生き物なのか……なんて思ってたわよ」


 勇者のドン引きした様子に、ヘリウは「昔の話よ」と自嘲する。


「つまりその頃の私は抵抗できていなかった……でも今は出来ている」

「変な話ではある。何か切っ掛けとかはあるのか?」

「うん」


 はっきりと断言したヘリウ。


「先代魔王イグノア様に、実験と言われてある魔法をかけられたの。その魔法にかかった途端、小さかった世界が開けたような気がしたわ。それまで人間や他種族に持っていた言いようのない恨みも無くなった。むしろ愛おしくさえ思えたのよ」

「なるほど……」


 ヘリウの言うとおりであれば、確かにその魔法こそが切っ掛けである。


「私はその魔法を知らないけれど、少なくとも洗脳を解除する手段はあるはずなのよ。『システム』を破壊しなくても、種族に対する洗脳は解くことができる」


 彼女の瞳には光があった。勇者はまた彼女から目をそらす。


「……おそらく困難だぞ。魔王を倒すとか、勇者を倒すとか、そっちの方が楽だ」

「それだと繰り返すだけだって言ったのはあなたじゃない。……でも、私一人の力でできないことは分かってる」


 立ち上がったヘリウは、突然勇者の手をとった。


「あなたの力を貸して、勇者」

「は……?」

「私には人々を動かす力はないみたい。それは魔族の国でよく分かった。私にはあなたの力が必要なのよ」


 勇者の手を彼女は握りしめる。


「今度こそなれるわよ。英雄に」


 くっと勇者は息を呑んだ。彼の体がにわかに震えだす。


「……えっ、ど、どうしたの」

「何でもない」


 勇者はヘリウの手をどけて、深呼吸することで体を落ち着かせた。一息ついてから彼は言う。


「すまないが、断る。……いや、できないといったほうがいいか。こんなザマだ。私がまた光り輝くことは、もう無いのだろう。燃え尽きてしまった」

「……そう」


 彼女はひどく落胆した様子であった。それを見た勇者は、胸が痛くなった。

 願わくば早く行ってくれ。私のことなど捨て置いて、自分の道を進んでくれ。そう思わずにはいられなかった。


「分かった。しょうがないわね」


 ふぅ、と息をついたヘリウは、何事もなかったかのように座り直した。


「……出て行かないのか?」

「え、なんで?」

「役に立たない私など捨てていけばいい」

「そんなことできるわけないでしょ。完全に回復してないし」

「別にこれくらい、魔法で回復可能だ。もう外に出たくないから、使っていないだけだ」

「だったらもう少し看病が必要ね」


 は、とあんぐり口を開ける勇者に、ヘリウは笑いかけた。






 それから二人は穏やかな日々を送った。

 どうしてここまで尽くしてくれるのかと勇者が聞くと、ヘリウは「あなたのことを好きになってしまったから」とあっけらかんと答えた。


「今までずっと、辛い思いをしてきたんでしょ? だったら今くらい、休んでもいいと思うわ」

「だが、君には願いがあるのだろう」

「そのために目の前の泣きそうな人を置いていけるわけないでしょ」


 泣きそうな人、と形容された勇者は思わず苦笑した。

 その日の夜。隣で寝そべるヘリウに、勇者は自分のやってきたことを話し始めた。

 英雄になると誓ったことも、数多の同朋を手にかけたことも、村を見捨てたことも、全て。

 一生口に出さないと封じ込めていたそれらは、なぜかスルスルと言葉になって出ていった。

 淡々と事実だけを話している内に、勇者の声色は震え始め、やがて懇願するように泣き始めた。ヘリウは隣で勇者の体を抱きしめながら、彼の頭を撫で続けた。


「頑張ったわね。大丈夫。あなたはもう英雄だから」


 全てを肯定するような彼女に、勇者は甘えた。






「ふぅ」


 勇者は泉の水を桶で掬い、小屋の前まで運んで一息ついた。

 勇者の体はもう動くには十分なほど回復していた。もうヘリウがここに留まる理由はない。なのに彼女は、勇者の隣に居続ける。

 彼女は勇者を一緒に連れていくつもりなのだ。彼女の願いのために。

 だが決して強要はしなかった。それどころか、あれ以降話題にすら上げてこない。

 おかげで勇者は、あらゆる物から逃避した惰性のような生活を送っていた。


 今は小屋を掃除している最中である。ベッドに寝ている間はさして気にならなかったが、自分の足で歩くようになると途端に埃や汚れが気になってくる。

 ヘリウは元々お嬢様的なものだったらしく、料理はできるようだが掃除は不得手だった。そのため勇者が軽く掃除を教えている。


(……私のパーティメンバーは、今何をしているのだろう)


 この小屋は、勇者が最後に戦ったギャリとそう離れてはいない。よく探せば見つかるのは時間の問題だった。

 脳裏に浮かんだ彼らの顔を、勇者は頭を振ってかき消した。


「おやつできたんだけど、食べる?」


 小屋から顔を出してヘリウは勇者に言う。勇者は頷いた。


 料理の材料は、ヘリウが人間の格好をして買い出しに出掛けたりしているようであった。勇者は買い出しに行くと目立つため、周辺で食べられるものを探して採取している。


「クッキー……? よく作れたものだな」

「砂糖入ってないし、クッキーみたいな何かだけど」


 しかし見た目はクッキーであった。表面には何で色を付けたのか、絵が描いてある。


「すごいでしょ。魔法でちょちょいとね」

「確かにすごいが……一体何を書いたのだ?」

「主神様よ。ごめんね絵が下手で」


 正直干しかけのワカメにしか見えなかった勇者である。


「主神……? あぁ、創造神ではなく光の女神のほうか」

「光の女神じゃなくて、闇の女神様でしょ?」

「ああ、魔族ではそう教わっているのか。人間では光の女神と教えられるが……」

「ふーん? 結構適当なものね?」

「実際のところどれも真っ当な神ではないからな。都合よくそれぞれの種族の属性を主神にしているのだろう」

「え?」

「ん?」


 お互いに顔を見合わせる。何かが食い違っていた。


「えーっと……? 闇の女神様が主神なのに、人間では光の女神様が主神だって捏造してるってことでしょ?」

「…………いや、そうじゃない。分かるだろう? 女神達が都合のいいように……人間や魔族に印象操作をしているということ、だが……。わ、分かるよな……?」

「えー……?」


 ヘリウは困ったように笑う。


「それはなにかの間違いじゃないかしら。闇の女神様以外の女神達が何かしてるんじゃない? あ、世界の真実とやらを流したのも、他の女神達なのかも。どう? この推理」


 しばらく勇者は動けなかった。何とか言葉を絞り出す。


「…………あ、あぁ。そうだな。そうかもしれない」

「でしょ?」


 得意げな顔をするヘリウを見ることはできず、勇者は笑いながら味のしないクッキーを噛んだ。






 ヘリウが寝静まったあと、勇者は小屋から出て、泉の畔で座っていた。

 水のせせらぎと、夜の虫の音。高い木々から僅かに漏れる月明かりが、泉の水面にゆらゆらと反射する。


(ヘリウは恐らく……洗脳に抵抗できていない)


 彼女は『システム』を破壊することが困難であるからやりたくないと言ったのではない。闇の女神が管理する『システム』を壊したくないから、やりたくないと言ったのだ。

 彼女は未だに女神を盲信している。種族に対する見方と、その盲信はあまりにも不釣り合いであった。

 勇者には、先代魔王イグノアが彼女に施した魔法が何であるか、おおよその見当がついていた。


(恐らく、洗脳魔法で上書きしたのだ。例えば、「種族に対する偏見を持たない」というように)


 だから、女神達を無条件で崇拝するという洗脳の方は解除されていないのだ。これも『種族システム』の一環であるため、厳密には彼女は『システム』に抵抗できていないということになる。


(誤魔化しているだけだ。本質的には解決していない。何か切っ掛けがあれば、彼女の価値観は一気にひっくり返うる)


 本質的な解決でなければ、ヘリウの願いを叶えることはできない。大多数に洗脳を上書きしたとしても、価値観の変わらない者もいれば、価値観が何かの拍子に逆転する者もいるだろう。それが各地で火種となり、さらなる戦火が起こる。

 彼女の眩しい笑顔が脳裏に浮かんだ。


「……戻ろう」


 別にいいではないか、と勇者は自答する。

 適当に彼女についていって、適当に誤魔化しながら彼女の叶うわけもない夢に付き合うのもいいだろう。ここで説得して、諦めさせるのもいい。それからここでしばらく二人で暮らそう。

 争いの絶えない世界など放っておいて、全てから逃げて二人で時を過ごせばそれでいいではないか。この世界は勇者の生まれた日本とは違う。全てが他人事だ。だからこそ彼は、英雄ヒーローになりたいなどと言い出してしまったのだ。

 身の丈というものがある。それに比して勇者はよくやった。もう諦めてしまってもいい頃合いだ。


 勇者は立ち上がって、泉に背を向けた。

 何かが森から見ているような気がした。







「っ!? ぐぅ、ぅぅ…………くふっ」


 ヘリウは苦しさに目を覚ました。

 首を絞められている感覚に、四肢をバタつかせる。何かが覆いかぶさっていて、逃れることができない。魔族の彼女の腕力で持ってしても剥がせない、凄まじい握力であった。


 ヘリウは目尻に涙をこぼしながら、目を開ける。


 勇者が沈んだような光の無い瞳で、彼女の首を絞めていた。


(なんで……?)


 彼女の胸中にあったのは、ただただ疑問だけである。

 さっきまで一緒に笑っていた勇者が、愛していた勇者が、ヘリウの好きな人が、ヘリウに覆いかぶさってその白い首を力任せに抑えていた。


「……私にはできなかった」


 勇者はポツリとこぼした。


「私には、逃げることなど許されていなかったのだ。私に幸せなど許されてはいけない」


 首を締められているのはヘリウであるはずなのに、彼女以上に苦しそうに勇者は言う。


「なあヘリウ。私が幸せを願うと、私が逃げようとすると、私が諦めようとすると……」


 ヘリウの頭が痺れていく。だんだん何も考えられなくなっていく。


「振り返ると、皆が私を見ているのだ。逃げるなと。諦めるなと。幸せになどなるなと」


 やがて四肢にも力が入らなくなり、ヘリウは意識を手放す。

 その刹那、勇者の声が微かに聞こえた。


「すまないヘリウ……私は、英雄にならなければならないのだ」





『勇者様はその魔族に斬られ、絶体絶命となりました。誰もが諦めていたその時、突如光が溢れたのです。勇者様の真っ黒だった髪は、輝くばかりの金色へと生まれ変わり、加護は加護を超えた力となりました。「勇者。あなたに全てを託します」女神様のお告げを受け、勇者様は彼の魔族を打倒したのです』(ギャリの伝承、現地訛りより翻訳)


『かくして勇者は魔王を打倒し、人類に平和が訪れた。マッカード帝国は彼を英雄と認定したが、突如勇者は姿を消した』(マッカード帝国所蔵『帝国史概論』より一部抜粋)









 真っ白な空間に、勇者はいた。


「よくもやってくれたの。勇者」


 彼の目の前には、少女のような、しかし人間とは明らかに違う存在が立っていた。


「お前が……女神か!」


 勇者は瞬時に光の刃を作り、主神に斬りかかろうとする。

 だが、勇者の体は白い床にねじ伏せられ、光の剣は霧散した。


「無駄なのじゃ。この空間は人のものではなく神のもの。お前の剣など妾には届かぬ」

「ぐっ……がぁぁぁ!」

「凄まじい殺気だのう」


 主神は勇者の頭に足を置き、ぐりぐりと踏みつける。


「それもしょうがないかの。何せ、ここに来るために世界を滅茶苦茶にしたのじゃろう? 全く面倒なことをしおって。確かにこう度が過ぎたことをされれば、例え死人でなくとも、妾が直接罰を下すためにここに呼び出すのは当然じゃ」

「……罰か。やれるものならやってみろ! 私が実際に殺した人の数程の年数、耐えきってやる。そして再び私はここに戻り、必ずお前を殺す!」

「おぉ怖い怖い。勇者というのは怖いの。えーっと、名前はなんじゃったかな」


 主神は何かを閲覧し、その項目に辿り着く。


「おお、昇陽のぼりびじゃったか。大層な名前じゃの。ふむふむ」


 主神は勇者の顔を覗き込む。彼の目を見て、主神は首を傾げた。


「はて? 貴様の瞳に光があるようには見えんの? 勿論太陽にも見えぬ」

「…………」

「貴様、本当に英雄になりたかったのかの? 実は違うものが欲しかったのじゃないかの?」


 主神は笑いながら言う。


「だとしたら滑稽じゃ。出来の悪い喜劇だの。貴様が人間性をも捨てて得たものが、紛い物であったとは。人生イチからやり直したほうが良いんじゃないかのう?」


 光の女神は自分の言葉にうなずく。


「そうじゃそうじゃ。妾を少しでも楽しませてくれた温情として、少し罰を変えてやろう」

「何?」


 眉をひそめる勇者を、主神は笑みを浮かべながら覗き込んだ。


「知恵も、記憶も、力も、経験も、技も、貴様が積み上げた全てを剥奪し、世界の何処かに捨ててやる・・・・・


 ポン、と主神が肩を押すと、勇者は全てを失いながら堕ちていった。


「貴様の思いが本物ならば、またいずれここに来ることができるかもしれんの。ま、無理じゃろうが」


 主神は高らかに嗤った。







「ねぇ。本当にこれでいいのよね?」

「ええ、光神教を排することで、国から教会をなくす。そうすれば女神の監視は届きません」

「だからといって魔女信仰が広がるとか嫌なのよ!」

「ある程度はしょうがないでしょう。なにせ女王となるわけですから」

「あなたも国王なのだから、賢者信仰とか広めなさいよ! ダグムーン!」

「エリザベーナ……なんの罰ゲームですか」


 幻獣にフェンリルと名付けた後、二人は山を降りていた。


「それで? 召喚魔法陣の細工は大丈夫なのかしら?」

「ええ。グランツの魔法陣を弄らせていただく機会がありまして、その時は試行錯誤故に失敗しましたが、十分な情報は得ました。今回は問題ありません」


 賢者は木々の隙間から建造中の王城を眺める。


「魂が最も強い者を召喚する魔法陣……勇者はかなり強い魂を持っていたはずですから、彼の魂が未だにどこかにあるのならば、生死を問わず召喚できるはずです。勿論より強い魂が引っかかれば、別の人間が召喚されてしまいますが、可能性は高いです」

「例え地獄でも?」

「それくらい強力な物にしました。力自体は上手くやれば『システム』から流用し放題ですから。まあバレにくくなるように、召喚される勇者に巻き込まれる形で召喚される形になりますし、定期的に維持のため魔力を補給する必要がありますが」

「ふーん?」


 魔女はよくわかっていない様子で適当に相槌を打つ。彼女の魔法は感覚派であった。


「……俺は正直反対です。勇者はよくやった……十分すぎるほどです。彼が身を隠したのは何かしらの事情があるはずです」

「そんなわけ無いわ! きっと女神達にでも拉致されているのよ!」

「まあそれもありえますがね。しかしどちらにせよ、彼をこの世界に呼び戻すのは酷な気がします」

「私はそうは思わないわ! 自分が救おうとした世界の、未来を見れないなんて嫌だもの!」

「それあなたの場合ですよね」

「そうよ!」


 エリザベーナは頷く。


「勇者にとって、この世界は他人事のはずなのよ。その世界を救うために、もしかしたら命よりも大事なものを、彼は捨ててくれたの。だから私は答えたい。私が最善だと思う形で答えたい。救おうとした世界の先を見るために、そして世界を再び救うために!」

「……俺には到底理解できませんよ」

「じゃあやめるの?」

「いえ」


 ダグムーンは首を振った。


「俺は彼の思想を共有することはできませんでした。ですが、罪を共有したという自負はあります。だからこそ、少なくとも俺は逃げてはいけない」

「よく分からないわ!」

「でしょうね」


 はぁ、とため息をついたダグムーンは、ふとエリザベーナに尋ねた。


「そういえば、国名は決まりましたか?」

「ええ! 勇者の名前になぞらえることにしたわ!」

「名前……? 勇者が名前を教えたんですか?」

「そうよ! ギャリで勇者が迷子になって、あなたが全く真逆の方向を探していた間にね!」

「やめてくださいよそれ」


 賢者が戻った頃には、勇者はパーティに戻っていた。ダグムーンの消したい記憶の一つである。


「名前は『ライジングサン王国』! 勇者の国の言葉で日の出を表すらしいわ。再び太陽の光は昇り、世界を照らすのよ!」

「……よく分かりませんが、もしかしてダサいのでは」

「文句ある?」

「いえ。あとできれば勇者の名前も教えて欲しいのですが」

「秘密よ!」

「えぇ……?」


 ゆっくりと昇った朝日が、彼らを照らしていた。




『我らの心は、国にあり。我らの陽は、今は沈み。我らの望みは、再びの朝日。また陽は上る』(ライジングサン王国、宰相派の合言葉より)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る