思いの外強い第三話
ライジングサン王国は基本的に女王を中心とした国家である。
各代の女王が娘を生み、それに女王位を継承することで国家を存続させている。
そのため、女王はいわゆる逆ハーレムを築く。正夫である国王陛下の他に、副夫と呼ばれる多くの夫がいた。
だが、この制度には問題がある。
妊娠し、子供を産むのは女王一人であるため、男性の国王が側室をもうけるのとは訳が違い、女王の子供が少なくなる。
このため、ライジングサン王国の王族は比較的少なかった。
そしてもう一つの問題が、女王が子供を産めない体であった場合である。
この場合、ライジングサン王国では血のつながりを重んじ、親戚をたどって王女とするのだ。
現女王陛下には、長年子供ができなかった。
また、何の理由か、王族が病により亡くなる事案が多く、このままでは女王位を遠縁の公爵令嬢が継ぐことになってしまう。
それを避けるため、19年前に女王の兄弟であった国王にその公爵令嬢を妾にとらせ、娘を産ませることとなった。
かくして、妾となった公爵令嬢は子を孕み、娘が生まれた。
彼女は王位を継ぐものと言う意味でアリーヤと名付けられ、王女として相応しい存在となるため、非常に幼少から教育される事になる。母である公爵令嬢は、ほとんど顔をあわせなかった。
女王の実の娘ではなかったため、とくに女王と付き合いのある貴族や侍女からのあたりが強かった。
彼女は束縛され、徹底的に教育された。
彼女は天才だった。
魔力こそ劣るものの、魔法の理論、術の効率、また座学、政治論、礼儀や細かいマナー、それどころか家事、裁縫に致るまでそつなくこなした。
彼女は逆風の中でも、元気に笑う事があった。
親の治世に、時々意見することがあった。
侯爵の騎士志望の息子を、決闘で打ち負かしたこともあった。
そんなとき、彼女は無邪気な笑顔を浮かべるのだった。
しかし7年後、7歳となりアリーヤの名前が剥奪され第一王女となった年、もう望みがないと思われていた中、国王陛下と女王陛下の間に子供が出来た。
また娘であった。
彼女は、愛されるものという意味で、アマンダと名付けられた。
待望の愛娘を、女王は溺愛した。
アマンダには女王程の魔力があった。
アマンダはまるで宝のように、まるで割れ物の芸術品のように扱われた。
彼女が第一王女として相応しい威厳をもつため、あらゆる教育を受けるようになったとき、アリーヤは第二王女ときて相応しい慎ましさを持つように教育、いや、洗脳された。
ただひたすらに、従順で、謙虚で、偶像のような理想を刷り込まれ、アリーヤの自由は完全に消えた。
アマンダが7歳となり、名前を剥奪され第一王女となったとき、同時にアリーヤは第二王女に引き下げられた。
彼女は14歳。もう成人だった。
それから第二王女は、妻として、政略結婚の道具として相応しいよう教育された。
もはや彼女に自律性はなかった。
ただ周りが囲んで狭めた道を、とぼとぼと歩くだけだ。
既に彼女は、昔の笑顔を捨てていた。
そのたたずまいを、人形姫と揶揄されるようになった。
政略結婚、それも他国の高地位の者と結婚する事となったが、彼女はなかなか受け入れられなかった。
女王制なのはライジングサン王国だけで、他国では男性が優位にたっていた。それゆえに、結婚の選択権は男性にあった。
衰退しかけた国の、既に成人した、それも特殊な事情をもつ王女を、だれが娶ろうというのか。
また、彼女の美人だが面白くない容姿と、その人形のような不気味な振る舞いが、一つの不人気な理由でもあった。
18歳となり、行き遅れとなった彼女は、女王から見捨てられ、ただのからくり人形のように、籠のような王城で日常を過ごすこととなるのだった。
ナーラさんから聞いた話をだいたいまとめるとこんな感じだった。
ちなみに催眠は手をたたいたら治ったよ。やってみるもんだね。
先生がこんな事情を抱えていたとは。
正直、複雑な事情の中に『魔王』とかのワードが入っていたら、後々に魔王と複雑な対決をするフラグになっていそうだったから、安心した。
先生の事情はどちらかというと恋愛フラグだ。
人形姫の固く閉じこもった心をこじ開けて、王城から連れ出してハッピーエンドか?
けっ、誰がやるかい。
心を開かせる? どこぞの主人公でもあるまいし、そんな面倒くさいことやってられるか。
そんなん助けてどうするんだ。そもそも俺は、俺一人で生きていくと決めているのだ。
周囲と変わらない、冷たい態度で接していればフラグは折れる。問題ない。
とりあえず、面倒くさい展開にはならなさそうで一安心だ。
侍女の中でも派閥があるようで、ナーラさんは数少ない第二王女側らしい。まあそっち側視点の話だったよな。
ついでに、王国の財政危機の原因を聞いてみたが、詳しくはわからない、というか、情報が隠蔽されているみたいだ。
しかし、一般的に予想される理由は、魔力の枯渇だという。
王国、そして王城の一部機関は、女王が魔力を供給する事で成り立っている。女王は通常時内政を行わない代わりに、魔力を供給するのがしごとなのだそう。それによって地位を確立させているわけだ。
しかし、世襲するにつれ初代女王の魔法使いの血が薄くなり、所有する魔力が少なくなっているそうだ。今度第一王女のステータスを見てみよう。
よって魔力の供給量が需要に追いつかなくなり、王城の魔動機関もストップ。王国は不作と増税により、財政危機に陥ったということだ。
俺たちを召喚した理由も、勇者召喚の報酬を国家連盟の宗主国から受け取ろうとしたためなのだろう。
多くの王族が病に倒れたってのは、血が濃くなりすぎて、免疫力が落ちたためだろう。多分だが。
さて、ナーラさんが去ったが、まだ夜が明けるには時間がある。
《陣の魔眼》でストックできるのは、魔眼の世界の魔法陣だ。ではあの世界で見た魔法陣は、精神干渉の魔法陣だけだったか?
実はもう一つある。俺が昨日、形は違えども、何度も何度もみた魔法陣が。
そう。召喚魔法陣だ。
あの世界に召喚されたとき、俺はこの眼で足元の魔法陣を見ていた。《視の魔眼》でだ。
ならば覚えている。先程の精神干渉魔法陣よりも遥かに複雑だが。
あの大きさのままで紙に書くことは叶わないが、今のところはしょうがない。
あの魔法陣を試すのは、魔力が足りないんじゃないかとか、またあの白い空間に行くんじゃないかとか色々不安があるが、どうしても試してみたい。
俺は召喚魔法陣を紙に書く。
大分複雑で、書き終わるまでにかなりの時間を要した。
それを《陣の魔眼》に上書きする。さっきと同じ様な感覚があった。成功だ。
そして勇気を出し、部屋の床に視点を合わせ、《陣の魔眼》を発動させる。
視点と俺の足元から黄色い光を放つ魔法陣が展開される。
俺の視界は黄色い光に包まれ、その光が晴れ、視界が開けると、その場所は先ほどの視点の場所であった。
白い世界には行かずに、短距離転移した感じだ。
転移って最初のチートか、物語の後半に得る力じゃね?なんで序盤に手に入れてんの俺。
あと、かなりの量の魔力が持って行かれた感覚があった。
ステータスを確認してみると、2000MPが減っていた。
これで魔力消費量は十分の一なのだ。つまり元は20000MPもの魔力が必要だという事だ。一般人の魔力がおよそ100だから、200人分の魔力が必要だと言い換えられる。やっぱ大変なんだな。
さて、転移する力を得たなら試したくなる物。正直、早く魔物を倒してレベルアップしたい。そうだな、あの王都を囲う森に行ってみよう。
俺はふたたび《陣の魔眼》のストックを精神干渉魔法陣で上書きし、ベルを鳴らしてナーラさんを呼んだ。
眠そうなナーラさんが部屋に入ってくる。まあ真夜中だしな。
俺はナーラさんに向けて、今夜二度目の催眠を行った。
ナーラさんには、俺が外出しなかったと思わせている。この精神干渉魔法はかなり使い勝手が言いようだ。詳細な命令も出せる。
そういえば上級魔法だったな。俺がブロックしちゃったから、雑魚魔法みたいな印象があったんだが。
さて、俺は王都の周りの森に来ている。
《視の魔眼》の遠見と、《陣の魔眼》の視点転移の複合技だ。
遠くを見れるのは《視の魔眼》だけで、《陣の魔眼》で遠見はできないが、要は視点があえばいいのだ。
両目を開きながら遠見をすると、左目も右目の視点にあわせようとするので、誤差一メートル程度で転移できるのだ。
さて、せっかく魔物はびこる森に来たのだから、早速魔物を倒してレベルアップしよう。
《視の魔眼》の闇眼で、暗い森の中を散策する。
最初に見つけた魔物は、小さいダチョウのような、二足歩行の鳥だった。
見るからに、最初のダンジョンの雑魚キャラである。
だが見た目で侮らない方がいい。念のため鑑定してみよう。
No name
鳥系魔物 ケッチョー
HP 750/765
MP 132/132
STR 778
VIT 593
DEX 376
AGI 1087
INT 42
加護
なし
称号
なし
え?強くない?
まさかこんな
あれか、初心者殺しってやつか? いや、こんなに強いと中級者くらいなら簡単に殺しそうだぞ? この世界の強さの基準が分からないが。
もしかしてこの森の主とか?
いやこいつ「ケッチョー」だ。雛があの最高級羽毛布団の材料にされるケッチョーだ。
ということは、これを特産品に出来るほど、狩れるということだ。
ステータスだけなら、成人男性七人分だ。レベルアップもない世界で、これを簡単に狩れる人間が多くいるとはおもえない。
もしかしたらこいつが強すぎるだけなのかもしれないと思い、他の雑魚そうな魔物を鑑定してみたが、どいつもこいつもINT以外の値が平均500~600くらいであった。
しかも、他のちょっと強そうな魔物など、俺のステータスを超えていたのだ。
おそらく500~600の魔物はこの森の食物連鎖の底辺なのだろう。
つまり、森の魔物全体が想像以上に強い。
何度も言うが、成人男性の平均が100なのだ。つまり、一般人では雑魚すら三人がかりでも太刀打ちできないということだ。
俺なら雑魚と1対1の戦いをすれば勝てるかもしれないが、無傷である保証はない。服が破けでもしたら、少々面倒な事になる。
ちなみに服は王城から貸し出された騎士服である。借りている以上、返さなくてはならないので、傷をつけたり破いたりするとバレてしまう。
俺の《武器創造》では服は直せないしな。直せたとしても、鎧か何かになってしまう。
さらに、ここは森なので、さっきから常に周囲に三つほどの気配を感じる。雑魚一体を攻撃したとき、その鳴き声が聞こえたら、囲まれる可能性すらある。
そんなリスクは負えないな。
緊急脱出として《陣の魔眼》の転移を使えばいいが、あれは大きくMPを食う。王城に戻る分は残しておきたいので、多用は勘弁だ。
空が白み始めた。
街灯もなく、一切の地上の光を受けない夜空が、群青色に変わっていく。濃いグラデーションが夜空を飾り、東の山の縁が僅かに白く輝く。
タイムリミットだ。日が昇ってしまえば、転移を使うことが出来ない。
この森で、十分の一ステータスで取り残されたら絶体絶命だ。
魔物を倒す作戦を練ってからまた来よう。
俺はリベンジ(別に何もされていないが)を誓い、背の高い木から遠見&転移コンボで王城の自室に戻る。
視点が部屋の壁だったので、壁際の空中に転移することになってしまった。なんとか音を出さずに着地したが、視点を空中で止める技術も身につけなければならないかもしれない。
「寝るなと言っているだろうが、イノリ!」
「へぶっ!」
本日の体術訓練でございます。
勇者三人は盾術の訓練をしております。そして俺は相も変わらず筋トレでございます。まあメニューは寝てるせいで全くすすんでおりませんが。
そして相変わらず団長さんの叩きは痛い。それで醒めない俺の眠気も相当だが。
ふあぁ、眠い。
「おきろっ! イノリ!」
「ヘブンっ!」
本日二度目のお叱りを受けたところで、訓練場の門を開けて入ってくる人達がいた。
第一、第二王女の二人と、その侍女及び護衛の方々の一行である。
うーん、明らかに第一王女の方が先生より護衛も侍女の数で勝っているな。しかも二人には何となく距離がある。
第一王女は見下すような視線で勇者三人を見る……あ、今こいつ明らかに侮蔑の目線を向けたな?相変わらずわかりやすいこって。それでお偉いさんと上手く渡り合って行けるのかね?
対照的に先生は慈しみの微笑みを俺たちに向けている。いや慈しみってのは嘘だが。こちらさんも相変わらずだ。
「王女様方? こんな物騒な所まで、いったいどうなさいました?」
団長さんが俺から離れて王女二人にむかっていく。
「体術訓練の内容が気になったので、見学に来ました。騎士団長殿はお気になさらずに」
「この私がわざわざ暇を縫って見学に来ましたのよ? 感謝なさい」
「そうでしたか。それではそちらの席にお座りください」
第一王女の『感謝なさい』はスルーするのが家臣でも恒例なのか?
そして団長さんは再び俺の元にもどって……
「何をサボっているのだ! ちゃんとやれ!」
「サー、イエッサー」
会話を聞いていたために上体起こしを止めていたのを叱られた。
そしてそんな姿を、汚い物を見るような目で第一王女が、相変わらずの微笑みを浮かべて先生が見てくる。
そうだ、王女二人を鑑定してみよう。
第一王女
人族 人間
HP 75/75
MP 2995/3000
STR 73
VIT 62
DEX 201
AGI 84
INT 653
加護
《魔女の血》
称号
ライジングサン王国王女 感謝を集めし者
第二王女
人族 人間
HP 150/150
MP 1048/1048
STR 124
VIT 85
DEX 1235
AGI 156
INT 892
加護
《魔女の血》《天才》
称号
ライジングサン王国王女 悲劇の王女 人形姫
……「感謝を集めし者」って何?
「イノリ! よそ見をするな!」
「ゴートゥーヘブン!!」
理不尽にも団長さんに叩かれ、俺は再び上体起こしを始めた。
まあ途中で寝て、あと三回団長さんに叩かれたのだが。
本日の魔法のお勉強を終え、再び夜である。
お勉強? ほとんど寝てましたが何か?
そして昨日と同じくナーラさんに催眠を施す。……もう作業みたいだな。ナーラさんとのフラグはバッキバキである。
森と王都の間に広がる草原に転移した。
ここなら見晴らしが良く、《探知》で索敵できる範囲も広い。人に見つかる可能性は少ないだろう。
今日は、《闇魔法・真》と《スキル獲得》を試してみる。
まずは闇魔法だ。その辺で適当に枝を広い、それに闇の魔力をこめる。枝は俺の握っている部分から徐々に黒ずんでいく。一分もすると、完全に黒くなった。漆黒というよりは焦げ茶色だ。
これが『支配』。生物以外の物質を、闇の魔力で侵食できる。『支配』した物体は、意のままに遠隔操作することが可能だ。
黒い枝を思いっきり投げて、空中で枝を停止させてみる。さらに宙返り、錐揉み回転、最後には俺の手に戻らせた。
この『支配』は解除可能で、魔力を吸収するようにすると、また一分くらいかけて元の色の枝に戻るのだ。
『支配』した物体を遠隔操作して攻撃すればいいと思うだろ? ただ、そうは行かないのだ。
遠隔操作できるのは『支配』した物体だけで、他の物体に影響を及ぼすことは出来ない。
実際にやってみよう。先ほど解除した枝を再び『支配』し、俺を突き刺すように遠隔操作してみる。
枝はイメージ通りの恐ろしい速度で俺の腹に迫り、腹に当たった瞬間ピタッと止まった。腹は痛くも何ともない。
つまり、『支配』した物体をただ動かすことは出来るが、『支配』した物体を遠隔操作しても、他の物体を砕くことも、斬ることも、押すことすらも出来ないのだ。
ちなみに『支配』が一部不完全だと、遠隔操作は出来ない。これは『支配』していない部分を動かすことが出来ないからだ。
まあシーナさんの知識で色々理屈を並べたが、簡単に言えば、闇魔法の遠隔操作で攻撃することは出来ないということだ。
次の実験に移ろう。
次に試すのは、闇魔法の『影収納』だ。
所有物を影の中に入れられるらしい。試しに『支配』した枝を俺の影に投げ込むと、いとも簡単に入った。
真夜中なのに影があるのかって? 普通だと見えないが、闇眼で見ると、月明かりで出来たうっすらとした影が見える。
新月の時も、その星明かりでほんのうっすらできるのだ。
収納した物を取り出すように念ずれば、影から取り出すことも出来る。
これも生物は適用外だ。
収納する影は自分の影でなくてもいいのだが、取り出すとき手探りで目当ての物をとらねばならないので非効率だ。
これを初級魔法の『影操作』と組み合わせれば、大きな物でも影に収納できるのだ。容量は、その影を作る物の持っている魔力に依存する。
このアイテムボックス的な魔法が、シーナさんの広めたかった魔法の主なものだろう。これがあるだけで運送業に大きく貢献する。物を『支配』すれば状態保存もできるしな。
闇魔法で試す最後の魔法は、『影移動』だ。
さっきの『影収納』は、影の中に出来た空間に物を入れる魔法。そして『影移動』は、自分が影の中の空間に入る魔法だ。
ちょうど草原にポツンと立っている木を見つけたので、その影に『影移動』で潜る。
一分かけて木の根元の影にたどり着いたので、影から出た。
この『影移動』、移動速度は非常に遅い。先ほども言ったが、影の中の空間の広さは、その影を作った物の持つ魔力に依存する。
よって魔力もほとんど持たないただの木の影は、非常に狭いのだ。
もちろん、自分の影には入れない。潜った影が消滅するからな。
では、《闇魔法・真》はこの辺にして、《スキル獲得》をやってみよう。
もちろん一晩じゃあ出来ないとは思うが。
俺は体術訓練の時間、寝ていただけではない。
遠見、顕微、千里眼を併用し、勇者三人に教える戦乙女の隊員の動き、団長さんの動きを観察していたのだ。
そして映像記憶でそれを思い出し、手に持った棒を振ってみる。まずは素振りからだ。
素振りをする自分の姿を千里眼で確認し、フォームを修正しつつ同じ動きを繰り返す。
俺が第三者の視点を持つことで、擬似的にコーチをできるのだ。なるべく団長さんの動きを参考にしたいが、彼女が素振りを指導したことが無いので、団長さんの動きを軸に、戦乙女隊員の素振りを参考にして手本にする。
……なかなかしっくり来ない。もしかして振っているのがただの木の枝だからだろうか。
魔力が勿体ないが、《武器錬成》で木刀を作ろう。材料はこの木の枝で。
どうせ練習用だから、装飾無しのシンプルな物にしよう。
…………あれ?
まあいいや。《武器錬成》!
出来上がった、
黒木刀(作者 高富士 祈里)
品質 A- 値段 18000デル 能力 闇硬化
普通の木刀と同じ重さで、同じ切れ味であるが、硬さが鋼並みである木刀。
闇魔法で《武器錬成》の能力付与ができるみたいだ。能力付与が出来るかどうかは知識によるとあったが、闇魔法に関してはシーナさんの知識があるからか?
そして説明を見る限りでは、十分実用的な武器な気がする。
どうやら《支配》もかかっているらしく、遠隔操作できる。これは素晴らしい武器を手に入れてしまったな。
黒木刀を使い、素振りを繰り返していると、三十分くらいしたときに、しっくりきた感触があった。
自分のステータスを見てみると、一般スキルの欄に《剣術 Lv.1》という物が追加されていた。
さっきの感覚が、スキル習得の感覚らしい。
もう一度素ぶってみると、確かに先ほどと違う。
自転車に乗れるようになった時の感覚というか、そんな感じだ。
ともかく、このやり方でスキルを伸ばせる事が分かった。後は練習あるのみである。
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