第参話 召喚と覚醒
学校から家までの7キロの距離をランニングで移動して、家の扉を開ける。
ガチャリ……
「ただいま」
「お、帰ってきたか、んじゃいつも通り訓練を始めるか。」
「そうだね」
こんな感じで、いつも親父に鍛えられている。
訓練内容は日によって違う。親父との模擬戦だったり、弓による狩猟だったり、パラシュート降下だったり、様々だ。
一番ひどかったのは、夏休みに、何処かのジャングルにつれてこられて、1週間サバイバルさせられたことだ。
お前にかなう奴はこの世界にいないだろうとか親父が言っているが、ただの親馬鹿だろう。
おかげでかなり筋肉質だが、身長が160cmと低い…
さて、最近だが、親父との模擬戦がつまらなくなってきた。決して娯楽に手を出してはいないが、親父が手を抜いている感じがするのだ。
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親父サイド
俺は息子を鍛えすぎたかもしれない…
俺はとある国の特殊部隊の隊長をやっていたのだが、俺が現役の時より確実に強い。
もう潮時か…
先生に決行を申請した方が伸びるだろうな。
名残惜しいが…
これも依頼のためだ、仕方がない
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零サイド
ふぁぁ、おはよう
うん、今の時間は6時50分。
十分学校に間に合う時間だ。
俺の部屋がある2階から、1階まで降りていく。
朝飯は親父が作っているはずだ。
「おはよう親父。」
「おう、おはよう。ちょうど昨日で食材が切れたから、今日は適当に食べてくれ。」
どうやら作っていなかったようだ。
てなわけで、冷蔵庫には…納豆があるな、ご飯にかけるか。
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朝飯は食べ終わったし、学校行くか。
ガチャ…
「いってきます」
「いってら」
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学校に到着
「おはよう」
「おー、おはよう」
珍しいことに、先生はまだ来てないようだ。
ま、いっか、来るまで窓枠で懸垂していよう。ばれなきゃ犯罪じゃないんですよ
1・2・3・4・5・…99・100!
朝の運動はこんなもんで十分だろう。家から走ってきたが…
窓枠で懸垂するのって手が痛くなるな。
っと、もうHRが始まるころだな。まだ先生は来ないが席についておこう。
ドサッ!!(零の座る音)
きーんこーんかーんこーん(チャイム音)
………おかしい。
いつもなら担任の先生が来てるような時間なのにな…
「珍しいねー」
「そんなこともあるさ」
(ん?)
俺は何処かから違和感を感じ取った。
その瞬間、何の前触れも無く爆音と供に閃光が飛び散った。
俺は反射的に床に伏せる。
「目が、目がぁぁぁぁぁぁ!!耳がぁぁぁ!!」
隣で某大佐状態になっている新島を無視して考える。
(おかしいな。フラッシュやコンカッションらしき物は何も無かったはずだ。
もしそれだったとしても、何故ここまで違和感がある?
そして何故三半規管が狂わされる?)
ストン、と言う音と供に効果が消えた。
いったいなんなんだ、と、恐る恐る顔を上げる。すると
(湖?)
「あれ?ここは?」
「…ん」
立ち上がり、辺りを確認する。
おや、机(零たちが使っているもの)があるようだ。
何と無しに机に触れると、
『ピピッ…マスターの生体情報を確認。……魔力波を検知、覚醒を確認…マスター権限を開放します……』
と、無機質な声が聞こえてきた。
「無駄に金かけてるな。で、魔力?」
内心かなり驚いてるけど、冷静に行かねば…
今度は無機質な声じゃなく、まるで人のように質問に答えてくれる。
『はい、魔力です。…あ、そういえばマスターの世界には魔法やら魔力やらってありませんでしたもんね。因みにここは異世界ですよマスター。』
「へぇ?」
「な、何だとぅーーーー!?」
「新島うるさい。」
『新島様と一之瀬様ですか、あなたたちの分もありますので、元々使われていた机に手をかざしてください』
机の言われるがままに自分達の机に手をかざす2人。
『おや、起動したようですね。それでは、私達はふさわしい姿になりますね。
ああ、それと、魔力と魔法やスキルの使用方法については、脳内に直接焼き付けるのでお願いしますね。』
「え、ちょ、まっ―――」
因みにさっきから騒いでいるのは新島だ。
机がガチャガチャ音を立てて組み換わっていくんだが、今はそれどころじゃない。
脳内に情報の波が次々と押し寄せてくる。
そして、脳内に走る焼けるような激痛。
それから何分後だろうか?何秒間だったかもしれないが、どうやら終わったようだ。
(あ、2人とも気絶してる)
ハーフ吸血鬼は今日も... 風来猫 七昼 @Izayoi_nabiru_kureha_1126
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