第20話

(ここから、ボク視点ではなくなります)

トン、トン、トン

 足音に気付いたヒィは、その足音の主に言う

「マインちゃん、また僕に、なんか聞きたいことでもあるのかい?」

「さすが先輩、察しがいいですね」

と、マインは朗らかに笑いながら、返した。

「君がそんな愉しそうにしてる時は、大概僕に時だからね。

で、なんだい?」

と、ヒィはその流麗というよりは可愛らしい顔を強調するように、小首を傾げながら訊いた。

「いや、実はですね、ある少女というか、ジェーンちゃんという私の同級生クラスメートが作ったバレンタインのチョコが何者かに盗まれたんですよ」

「うん、それは君の同級生の一人であるドゥ君の仕業だね。

動機りゆう嫉妬やきもち

と、マインの質問に、ヒィはあっさり答えを返した。

 マインは呆れたように

「そんな情報、どこから入ってくるんですか?」

と、聞くと

「まあ、情報なんてものはにあるもんだよ。

後は、類推する能力があれば、結論なんて出る。

ユアちゃんにそういうと、『ふざけるな』と怒られちゃうんだけどね」

と、ヒィは苦笑しながら言う。

「いいなあ、ジャーナリストの端っこにいる身としては、そのなんでも答えてくれる情報網欲しいなあ」

  マインは、不思議そうな顔をしながら、そんなことを言った。




 マインが帰っていった後、ヒィは、携帯端末で通話している。

「今日は、君の情報のおかげでなんとかなったよ」

「こちらこそ、例のネタありがとうございます。

それで……」

「安心してくれ、君のことはけして洩らすことはない。

僕の信用はこのだけだからね」

と、ヒィはおどけてそう言った。

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