第2話 承

なぜ、えいりがここに。いや、それよりも、「えいり。お前この子と知り合いなのか?」「あぁ、知り合い、というか、拾い子みたいなものだ。今は、俺の妹にあたる。」「そうなのか。って、え。お前の妹?まじで?」「まじまじ。まだ、養子に入ったわけじゃないけど、一応そういうことになってる。」なん、だと。こいつ、モテるだけにとどまらず、妹キャラまで、ゲットしやがっただと。なんて、羨ましいんだ!性格も趣味も酷いのに。この主人公が。「まぁ、その子についてはわかったよ。で、あの化物と、その子が使ってた不思議な力はなんだ?」「あの化物についての説明は後でするよ。で、不思議な力って、多分魔法のことだよな。」ま、魔法だと。そんなものがこの世に存在していたとは。「魔法って、あのアニメとかゲームでよくあるやつだよな。そんなものこの世に存在しているのか?」「しているのかって、お前は実際に、妹の魔法をその目で見ただろ。まぁ、信じられないのもわからなくもないが、あれだな。取り敢えず原理から説明しようか。」「あぁ、頼む。なにせ、この目で見たといっても、生まれてこのかた、現実世界で魔法なんて見たことがないんだから、そりゃ、疑いもするさ。まぁ、立って話すのもなんだ。俺の家に来ないか?」「え、お前の家行くの?嫌なんだけど。」「え、なぜに?別に普通の家じゃん。」「いや、だって、お前の家って、その、何か出そうじゃん。」 英利ひでとしの家はとても安い。なんと家賃が五万円。だか、もちろんここまで安いのには理由がある。問題物件なのだ。部屋自体は普通の2LDKなのだが、幽霊だの化物だの呪いだの、そういうオカルト系の噂が絶えず、しかも、この家に住む人はどんどん不幸になっていって、しまいには、家を出っててしまう。出っててしまうくらいなら良かったが、中には自殺者やいきなり狂い始めた人など、様々な人がいた。そうして、この家に住もうとする人はいなくなっていった。そのため、ここまで安い値段なのだ。さて、ストーリーに戻そう。

「お前の家に行くくらいなら、お前を俺たちの家に連れてった方がマシだ。案内してやるからついて来い。」自分の家が貶されていい気持ちではなかったが、事実その通りだし、えいりの家は行ったことがなかったので、そこまで不機嫌なわけではなかった。

歩くこと三十分。えいりの家に着いた。「ここが、俺たちの家だ。」「で、でけぇ。まじか。俺の家とは比べ物にならないほどだ。」

えいりの家は二階建ての家で、かなり大きい。二人暮らしにはもったいないくらいだ。豪邸、というほどでもないが、普通に金持ちそうな家だ。それと、なぜか、駐車場がある。一体、どうやって家賃を賄えているのかはま、また後で説明しよう。

「お前の家と比べたら、月とスッポンだろ。」「酷い。そこまで言わなくとも。」「大体、よくあんな不気味なところに住んでられるな。お前。ほら、あがっていいぞ。」「お、お邪魔しまーす。」家の中は、割と普通だった。だが、異様なまでに綺麗だった。俺の家が汚いから異様に見えるだけなのかもしれないが、家の中が、とても綺麗だった。ホコリひとつない。「まさか、えいり。毎日掃除しているのか?」「はぁ?何言ってんだ。お前。毎日掃除するだろ。普通。毎日掃除しなきゃ、家が汚くなるだろ。」まじかこいつ。意外とマメなんだな。「お前も掃除くらい毎日してるだろ。」「え。あ、あぁ、もちろんだよ。ハハハ。」「お前。掃除くらいしろよ。はい、こっちがリビングだ。」リビングもなんというか、おしゃれな感じだ。説明するのもめんどくさいほどに。「まぁ、適当に座れよ。」「お、おう。」「さて、早速本題に入るのだが、まず、魔法の説明からだな。」「お、お願いします。」「質問したいことは、取り敢えず、俺が全部説明し終わってからにしてくれ。」「わかった。」

「まず、魔法に関する説明なんだが、魔法といっても、現代の科学で証明されている。人間には魔力、ゲームで言うなればMPというものが、体にある。それを、科学で、どうすれば、それが反応するかが研究されていた。そして、魔法陣なるものが、開発された。魔法陣とは、人の魔力に反応するもので、俺もなんだかよくわかってないが、人それぞれ、魔力の形があり、魔力の形には大体十種類くらいある。その種類の魔力に適合する魔法陣がある。その魔法陣に魔力を流せば、反応が起こる。それが魔法だ。分かりづらいと思うから要約すると、人は魔力というものを持っていて、何種類かに魔力は分かれていて、形も違う。それにあった魔法陣に魔力を流すと魔法が使える。と、こういうことだ。何か質問あるか?」「質問なんだが、魔法を使って戦えたりとかできるのか⁈」俺は目を輝かやかせながら聞いた。「訓練してる奴ならできるが、普通は無理だ。」「なん、だと。なぜだ?」「あー、例え話をしよう。ナイフを持っているやつと、大きい石を投げてくるやつ、どっちが強いと思う?」「そりゃ、ナイフを持ってるやつだろ。」「バカか、お前。どう考えてもナイフを持ってるやつより、遠くから石投げたほうが強いに決まってるだろ。向こう近接だし、掠ったぐらいじゃ致命傷にはならないし、ちゃんと刺さなきゃいけないんだぞ。そんなんだったら石遠くからペチペチ投げてたほうが、痛いし、当たりどころによっては、相手倒れるしで、石投げたほうが強いだろ。」「えっと、つまり?」「つまり、うまく使えたら強力なものだが、そもそも、そんなことできないし、銃で撃たったほうが強いので、魔法での戦闘は無理じゃないが、子供の喧嘩ぐらいになるから意味がない。訓練を受けてたりするやつは別だがな。」「なるほど、ちなみにお前は受けてるのか?」「まぁ、一応な。それなりには使いこなせる。」「おぉ、すげぇ。」「まぁ、口で説明するだけじゃ、なんだかよくわかんないと思うし、ちょうどいいから、魔法を見せてやるよ。」そう言うとえいりは、紙とペンを持ってきて、何やら書き始めた。多分、えいりの言っていた、魔法陣とやらだろう。「よし、書き終わった。んじゃ、見てろよ。」えいりの手が光ったかと思うと、えいりの書いた魔法陣のうえに光の玉が現れた。「簡易的なものだが、一応、これが魔法だ。」す、すげぇ。人ってこんなことができたのか。驚きと感動が入り混じった感覚に襲われた。子供の頃、遠足前にワクワクするような、ワクワク感。テレビを見て、初めて知った事の感動や驚き。そんな感情が、一気に俺の中に入ってきた。「どうだ?すごいだろ?」「人ってこんなことができたんだな。」「な?すごいだろ?てか、俺のことも褒めろよ。」「いやー人間ってすごいなぁ。俺も使ってみたいなぁー。」「おい、人類そのものに驚く前に、俺の魔法を褒めろよ。」「まさか、人がこんな芸当できたなんて、ほんと感動したぜ。」「いや、だから、俺のことも褒めてよ。ねぇ?お願いだから。」えいりが涙目になって言ってきた。「わかったわかった。悪かったよ。普通にすごいと思うよ。いや、すごかったよ。うん。」「当たり前のこと言って面白いか?英利。」「手のひら返し早すぎだろクソ野郎。てか、俺も使えないの?魔法。」「使えますよ。」と、言うと、えいりの妹が答えた。「え、まじで?やってみたいんだけど。」「お兄ちゃん、使わせてあげていいですか?」「あぁ、いいよ。だけど、夜遅いから、ご近所さんの迷惑にならない奴だけな。」「わかりました。では、えっと。」「英利だ。君は?」「あけみです。よろしくお願いします。」「こちらこそ、よろしく。ところで俺は何すればいいの?」「はい。では、この紙の上に手を置いてください。」俺は、朱ちゃんが持って来た紙の上に手を置いた。「次に、水を思い浮かべてください。」俺は言われた通り、水を思い浮かべた。「最後です。魔法使いになりきった気持ちで、なんかそれっぽく、手に力を込めてください。」「最後雑すぎだろ!全然わかんないんだけど⁈」「そうですね。じゃあ、魔法系のアニメのシーンを思い出してみてください。」うーん、確か、手を力強く握って、その後開いて魔法を使っているシーンがあったような、おもいだせ、思い出せ俺。「はい。目を開けてください。成功です。」ゆっくりと目を開けて、見てみると自分の手のひらの上に、小さなシャボン玉のような球状の水が浮かんでいた。「おぉ、なんだこれ?俺がやってんのか?すげぇ、ほんとに使えるなんて。」と思った矢先に、その球状の水が机の上に落ちた。机はびしょびょになった。「ち、違うよ。この水が勝手に落ちただけだからね。決して他意はないからね!」「わかってるよ。ただ、魔力が尽きただけだから。朱、ふきん持ってきてくれる?」「わかりました。お兄ちゃん。」「え?なに。なにが起こったの?」「そうパニックになるな。魔力が尽きると、魔法が維持できなくなるんだ。」「え?魔力が尽きたら、倒れるとか、命の危険があるとか、そんなんじゃないの?」「アニメだとそうだが、こっちじゃ、そんなことはない。魔力ってのは常に体の中で生成されているものなんだ。だから、ほっときゃ、また使えるようになる。だからと言って、無理に使うと倒れるが。」「へー、なるほどなぁー。」「今のでわかったと思うが、基本的にみんな、その程度しか、魔法を使えない。うまく使えるようになれば、派手な魔法が使えるようになるが、そういう訓練は、一般人には受られない。訓練したとして、さっきも言ったが、魔法を使うぐらいなら、銃とかで打ったり、それどころか、石投げた方が強いかもしれない。その程度なんだよ。」「なんか、拍子抜けだわ。テンション下がるわ。もっと、色々できると思ってたのに。」「いや、意外と便利だぞ。火を使わないで、お湯出せたり、電気使わなくても明るくできるし、頑張れば火だって使えるしな。」どれもこれも俺の望んでいるものとは程遠い。魔法に関してはもういいや。それよりも、「あの化物について、まだ聞いてないんだが。」えいりは少し間を置いて、「わかった。説明しよう。」「あいつは一体なんなんだ?俺をどこかへ連れ去ろうとしてたみたいだが。」「まぁ待て。その前に電話してくる。」そう言うとえいりは電話しにベランダに行ってしまった。と、そういえば、朱ちゃんにお礼を言うのを忘れていた。「朱ちゃん。さっきはありがとう。俺に魔法を使わせてくれて。」「別にあれくらいどうってことないですので、気にしないでください。」・・・うん、気まずい。この子全然喋んないんだけど。俺もだけど。友達の妹とか弟とかと二人きりにされると、なんだか、他の人と二人きりになる時より、気まずいよね。・・・俺だけか。早くえいりの奴帰ってこないかなぁ。そんなこんなで、あれから朱ちゃんと一言も喋らず十分経過。えいりが帰ってきた。「おぉ。おかえり。なに話してたの?」「いやちょっとな。お前に化物について話していいか、聞いてたんだ。」「どうだった?」「話してもいいよって。ただし、条件付きだ。お前が今回の事件について、解決に協力してくれるならいいよとのことだ。」「事件って化物のことか?てか、普通そういうのって、大抵ダメだったり、これ以上関わらないのを条件にしてくるもんじゃないの?俺一般人なんだけど。」「そうなんだよ。普通断るはずなんだけど、お前の性格やらを話したらいいよって。」「おい待て。お前何言ったんだ。」「別に、俺はありのままを言っただけだ。お前が、俺の評判下げようと必死だったり、学校で急に叫び出したりと異常な行動やクズ的行動の全てを話したら、解決のためならそいつを捨て駒に使おうが、生贄にしようが、構わないって。」「ちょ、おま。何言ってくれてんだ。それ、俺がクズすぎるから死んでもいいよってことじゃねーか。いいか、人の命はな、そんなに軽くないんだぞ。」「軽くないけど、だからこそ、お前ならってことだろ。」「ひでぇ、ひでぇよぉ。ぐすん。」「まぁ、そう落ち込むな。人間的にクズ認定されて、社会的に死んでることを認められたからといって、泣くことはないよ。きっといいことあるさ!」「フォローに毒を盛るんじゃねぇよ。もっときずついたじゃねぇーか。」「まぁまぁ、これで、化物について聞けるんだから、いいじゃないか。」「まぁそうだけどさ。で、詳細は?」「わかってるって。今から話すよ。」・・・なかなか話出さない。「おい、早く話せよ。」「なぁ、話すの面倒だからメールで資料送っていい?」「話すのが面倒って、お前。まぁいいけどさ。じゃあ送って。」「おっけー。今送る。・・・はい、送っといた。」「おう、サンキュー。」早速読んでみた。

この事件は元協会の魔法医師が起こした事件である。無害だと思われる怪物を生成しては、世に離すという行為を続けている。その怪物は魔力を元に作られており、報告によると人間を構成している元素に似ているらしく、詳しく調査したところ、人を媒体として作っているわけではなさそうだ。特に無害もないし放置してもいい案件なのだが、そうはいかなくなった。世に離された怪物が、人々をどこかへ連れ去ろうとしているのが確認された。すでに七人連れ去られており、放置していられなくなった。あぁ、面倒だ。仕事したくないでおじゃる。てか、上司うざすぎなんだけど。まじで、死なないかなぁー。

「おい、なんだこれ。」「何って、俺が書いた報告書だけど。」「お前、後半愚痴しか書いてないぞ。しかも重点が全然わからん。」「え、まじで?あぁー、ほんとだ。これ確か、みんなで飲みながら書いた奴だからか、全然記憶になかったわ。」「お前、これ確認しないで提出しようとしてたのか?」「そうだよ。お前がいてよかったよ。じゃなきゃ、怒られてた。」こいつ、本気でそれで済むと思っているのだろうか。ゆとりだからなのか。いやでも、常識的な範囲から抜けている気がする。ゆとりが使えないと思われる原因の一端を作ってる奴がこんなに身近にいたとは、てか、よくそれで今までやってこれたなこいつ。「ちょっと書き直してくるよ。」「え、今からやんの?」「ああ、そうだよ。一時間くらいで終わらせるから、ちょっと待ってて。」書きに行ってしまった。また、朱ちゃんと二人きりになってしまった。この展開、漫画なら主人公が襲ったりする展開だよな。友達の妹とできてる的な奴。よくあるよな。まぁ、相手は子供だし、俺はなんとも思わないけど。

・・・なんとも思ってない。そうだ、相手は子供なんだぞ、何にも思わない。思わないよ。思ってないけど、体が勝手に動くんだ。気が付いたら襲っていた。頭の中で。もちろん、現実世界の俺は朱ちゃんに手を出していない。ただ、じっーと見つめてるだけ。そう、さながらストーカーのように。手を出す勇気なんてないから妄想に浸っている。顔が自然にニヤける。なんとも気持ち悪い絵面だ。今の俺が鏡なんて見たら、絶望に浸れるだろう。そんなことを考えていると、朱ちゃんが、「なぜ、私のことじっーと見つめてニヤついているのですか?」「え⁈い、いや、そんなことないよ。偶然だよ。(棒読み)」つい、カタコトになってしまった。「なぜ、そんなカタコトなんですか?まぁ、いいです。ちょっと待っててください。見せたいものがあるので。」というと、何やら二階に上がって行って、物を持ってきた。「何を見せたかったの?」「これです。」そういうと、鏡を見せられた。その瞬間、英利の脳内に絶望が走った。あぁ、なんて気持ち悪い顔してるのだろう。「あまりに気持ち悪かったので、鏡で、御自分の顔を見てもらおうと思って、持ってきました。」「酷い。なんてことするんだ。一体俺が何をしたというんだ。」「私で変な妄想してニヤけてるのが悪いです。」「な、なななな、何を言ってるんだ。そんなことしてないよ。誤解だ誤解。」「誤解でも何でもないです。さっき、魔法を使わせてあげたときに、私の魔法陣を手に付けておきました。」そ、そんなバカな。手のひらを見ると確かに、厨二病が喜びそうな、紋章が付いている。「だ、だからなんだというのだ。心でも読めるというのか。」「その通りです。私はその紋章を付けた相手の心が読めます。だから、私で如何わしい妄想をしていたことも、私のキャラ説明を忘れていることも、それを気づいたけどタイミングを失って中々するタイミングが掴めてないことをすべてお見通しです。」なん、だと。じゃ、じゃあ、俺は魔法を使わせてもらったあのときから、既にこの子に俺の考えていることは筒抜けだったというのか。てか、魔法ってそんなことできるのかよ。チート過ぎるだろ。「ご安心ください。これは相手の手に私が触れながら、相手が魔法を使わないと、使えません。なので、使う機会はほとんどありません。こんなの使うくらいなら、昔あった嘘発見機の方がよっぽど需要がありますしね。」「あ、あのー、この件はえいりには黙ってて貰えないでしょうか。」「いいですよ。私のキャラ説明を周りのキャラよりも長く、そして内容を濃くしてくれるなら黙っててあげましょう。」まぁ、いいか。丁度タイミングも失ってたことだし、こちらとしても好都合だ。

では、一つやらせていただきます。コホン。朱ちゃん、えいりの妹で多分小学生。「違います。中学生です。」・・・自称中学生。「自称じゃないです事実です。」本人曰く中学生。魔法を使える女の子で、容姿はロリっ子。服装は、今は白いワンピースを着ている。痩せてはいるが決して痩せすぎているわけではない。背は小さく、胸も小さい。顔立ちはいいが、性格が悪魔で、人の心を読める魔法を使える。この子の両親などの関係はわかっていない。悪魔で天使なのだが、いたずらで魔法を使って、人にいたずらしたりしてる。まぁ、悪魔で天使なので、まだ中学生ということもあり許されている。つまりあれだ。可愛いから許すという奴だ。別段俺も怒っているわけではないが、人がニヤけているときに鏡を見せるのはやめて欲しいと思っている。パソコンとかでアニメ見てるとき、急にパソコンの画面が暗くなって、パソコンの画面に自分の顔が写って絶望する。そんな感じだった。これ以上この子のことを言うとネタバレになるのでこれで紹介は終了する。ストーリーに戻そう。

「まぁ、ネタバレになるといけないので、仕方ないですけど、もう少しなんとかならなかったのですか?」「いやいや、知り合ってまだ、三時間くらいしか経ってないのに、何を言えと言うんだ。朱ちゃんのキャラはロリっ子。それ以上でもそれ以下でもないんだ。」「はぁ、まぁ今回はこれで我慢しましょう。でも、次は無いですからね。って、言ってるそばから妄想に浸らないでください。ロリコンさん。」「バッカお前。日本人口の八割はロリコンと言われているんだ。ロリコンじゃないやつの方が異常なんだよ。つまり、俺は正常なのだ。」注意。そんな事実はありません。勝手に言っているだけです。「そんな国、もう滅びればいいと思います。」そんなことを話していたら、えいりが帰ってきた。「おーい戻ってたぞって、お前らもうそんなに、仲良くなったのか。」「違います。このロリコンが、むぐっ」とっさに朱ちゃんの口を塞いだ。「なぁ、何言おうとしてんの?約束したじゃん!」「約束は破るものです。」「頼むから言わないでくれ。お願いだから。」「タダとは言いませんよね?」「はぁ、わかった。ジュースかなんか奢るから、お願いします。」「よろしい。」危ないところだった。危うくバレるところだった。というか、ジュースなんかで言わないでくれるなんて、小学生、あ、いや、中学生は単純で助かる。「誰が単純ですか?」「まだ、考え読めるのかよ。いつになったら取れるんだ。」「そろそろです。一時間くらいで効果は消えます。手を見てみてください。」そう言われてを見ると、ほんとだ。紋章が消えてる。「まぁ、弱みを握れたので、脅しに何度でも使えるので、もう必要ないんですけどね。」「脅しに使える?おいおい、いくらえいりが、俺のことを信用してなくても、ロリコン野郎だとは信じないと思うぜ?なにせ、証拠がないからな。」「いえ、証拠ならありますよ。会話、録音していたので。」・・・この子、マジで悪魔だ。「おーい、二人で何話してんだ?」「え、あ、いや。何でもないよ。それより、ちゃんと書いてきたか?」「あぁ、もうバッチリだ。取り敢えず読んでみてくれ。わかりやすくまとめたつもりだが、わからなかったら聞いてくれ。」「わかった。では、早速読んでみるよ。」


・・・英利報告書読み中・・・

読み終わりました。

報告書の内容の要約。

今回起こっている事件は、化物が街に出るというだけのことだった。だが、化物が人を襲うようになり、行方不明者まで出始めた。化物については、捕まえた個体を調査したところ、協会で使われていた技術が使われていることが判明した。その技術というのは、魔法医学部門での技術であり、以前、人工的に生物を製作する実験をしていた時に使われていたもので、人の心臓に似たものを核として、使おうと研究していたが結局失敗に終わった。今回使われている技術はその時のものである。核としては未完成で、激しい運動などはできない。激しい運動などをすると、十数秒で限界がきてしまい、何時間か休憩を挟まなければならない。また、この化物は、人のように呼吸でエネルギーを取り出すことができず、定期的に誰かが、エネルギーを補給してやらないといけないことが判明した。また、化物は複数体発見されているので、グループで、化物のエネルギーを補給していると考えられる。基本的には無害なことから、テロではないと思われる。よって、何らかのグループが何かの研究のため、この化物を作成し、街へ放っていると思われる。恐らくは、元教会の人間、または、関係者が、自分の研究の為、グループを作成し、実験を行っていると考えられる。誰が首謀者かは今の所わかっていない。以上。


「ふむ、中々よく書けてるじゃないか。」「だろぉ?どうだ、わからないところとかあったか?」「なぁ、教会ってなんだ?」「あぁ、教会っていうのは魔法に関する研究や事件を解決するところだ。」「ふーん、あと、魔法医学部門ってなんだ?」「魔法医学部門はその名の通り、医学に魔法を混ぜたものだ。魔法を使って、病気や怪我を治せないか、それを研究する部門だな。」「へー、魔法にも色々あるんだねぇ。」「俺からも質問いいか?お前、会社にも務めてないのに、なんで、俺の報告書にダメ出しできるんだ?」「え、それは、えっと。」「会社にも務めてない奴が、報告書にダメ出しなんてできるわけないよなぁ?まさかだと思うが、アニメで見て、それを例して言っていたわけじゃないよなぁ?」「・・・そうだよ。そのまさかだよ!」「じゃあ、本当にいいかもわからないのに上から目線で、ペラペラと言っていたわけだな。」「ま、まぁ、いいじゃないか。素人の俺から見てもわかりやすくまとめてあるってことは、完璧ってことだよ。」「まぁいいけどさ。ほれ、もうこんな時間だ。そろそろ帰れ。」「え、泊めてくれんじゃないのか///」「早よ帰れ、次からホモって呼ぶぞ。」学校でホモ呼ばわりされるのはたまったものではないので、帰ることにした。「じゃあ、俺これで帰るよ。」「おう、気をつけて帰れよ。あと、明日、首謀者捕まえる作戦伝えるから、学校に必ずこいよ。」「え?結局、俺も手伝うの?」「当たり前だ。そういう約束だろ。」「わかった。じゃあ明日な。」なんというか、面倒なのが半分楽しみなのが半分で、なんとも微妙な気持ちになった。

それから、無事家に帰って寝た。えいりの「必ず学校こいよ。」発言はフラグにも何にもならず、今回は回収されなかった。戦争前に言う結婚するんだ宣言と同じ匂いがしたと思ったのだが、そんなことはなかった。

次の日の朝。パプニングも何もなく目が覚め、そのまま普通に何事もなく学校へ登校した。行く途中で、朱ちゃんに会った。まんまとジュースを奢らされた。あの子、大学生相手でも全く態度を変えず、引けを取らないんだけど、怖い。絶対学校でいじめられてるだろって思ったけど、あの子のような気が強く、全く態度を変えない子って、意外といじめられないで、逆に周りに人が集まるんだよなぁ。俺の通っていた中学もそうだったし。因みに俺はいじられキャラでした。職場体験の時に職につけなきゃニートになるよって先生が言った瞬間、学年のほとんどの人が、俺の方を向いて大爆笑が起こったのは今でも納得がいかない。一度も引きこもったことはないんだけどなぁ。

その日の昼。えいりに食堂に呼ばれていたので、食堂へ向かった。食堂へ入って何かがおかしいことに気づいた。おかしい。なぜえいり以外誰もいないんだ?普段ならもっと人が多くいるはずなのに。これも魔法ってやつか?気になったのでえいりに聞いて見た。「なぁ、なんでおれたちいがいにひとごいないんだ?普段ならもっとたくさん人がいるだろう。」「あぁ、それはだな。人払いの結界を張っているからだ。」人払いの結界?あぁ、アニメでよく見るやつか。「ふーん、そうなんだ。」人払いの結界とかいうのについてずっと気になっていたことがあるので聞いてみた。「なぁ、人払いの結界ってどういう仕組みなの?」「いや、普通にその場所に人を寄せ付けてないだけだけど。」「いやだってさ。その場所に本当に用事がある人がいたとして、人払いの結界をその場所に張ったとして、その人はその場所に用事があるわけだから、いくら人を寄せ付けないようにしていると言っても、その場所に用事がある人は入ってきちゃうんじゃないのか?」「え、それは、えっと。」「しかも、あれ人払いの結界をその場所の中に人が入っている時に使うの中の人が急に去って言ったりするシーンとかよく見るけど、実際、中で用事をしている人が、人払いの結界を張ったとして、急に席を立つ用事ができるなんて、そんな都合のいいことなんて起こるのか?」「そ、それはアニメだから。設定だしさ。」「じゃあ、この結界はどういう仕組みで、人を寄せ付けないようにしているんだ?」「うーん、えっと、人の意識をここに向けないようにして、この場所への興味を一切無くし、寄せ付けないようにしているんだ。」「それさ、人払いの結界より、人を入らせないようにする結界の方がいいんじゃね?何が違うの?」「うるさいな。多分なんか違うんだよ。大人の都合とご都合主義が、コラボレーションして実現してんだよ。もう気にすんな。」うやむやにされてしまった。うーん、えいりでも仕組みはよくわからないということなのか、はたまた、もっと別の大きな理由なのか。「それより、作戦考えてきたから、今から説明するぞ。心して聞けよ。」

・・・英利説明受け中。・・・

説明終わり。

作戦の内容の要約。

まず、英利がわざと化物に連れ去られる。

次に、その後を俺がつけて、場所を見つけ出す。

そして、英利が実験に使われるまで待機し、何の実験をしているかわかったところで、英利を救出し、そのまま制圧。身柄を捉えて教会まで連行。これで作戦終了。以上。えいり。

「おい、なんか、全面的に俺が犠牲になることで成り立っているように見えるのだが。」「そうだよ。上からは許可されてるし、使えるものは使わなきゃな。」「少しは躊躇えよ。何の実験してるかわかんないんだろ?万が一俺になんかあったらどうすんだよ。」「他人にではなく自分でそのセリフを言うのか。悲しい奴め。まぁ、安心しろよ。その万が一のために、ほれ、これを渡しておく。」そう言うと、石みたいなのが付いているネックレスを渡してきた。「なにこれ?もしかして告白的なアレ的なやつか?」「ちげーよばか。これは、もしも、お前に何かあった時のために、お前がこれに魔力を流すと、お前の周りにバリアのようなものが出るように仕掛けてある。」「万が一の時はこれで何とかしろと?」「そうだ。大丈夫。発動さえしてくれれば、あとは凌ぎ切ってくれるから。」「なんか胡散臭いなぁ。本当に大丈夫なのか?」「大丈夫だって。で、作戦実行の日時だが、今週の金曜日。つまり明後日だな。土日挟めるから、学校をわざわざ休む必要なくなるしな。」「わかった。じゃあ金曜日。」「おう、時間とかは追って連絡するよ。じゃあ、今日はこれで解散。」「おう。じゃあな。俺はこれで帰るから。」「おう、俺は結界解いてから帰るから先に帰っていいぞ。」そう言う割になぜか俺の裾を掴んで離さない。「おい、帰らせろよ。」「いや、あの。非常に言いにくいのですが、財布忘れたので、昼飯、奢ってくれませんか?」「はぁ、仕方ないな。ほら、これでなんか買ってこい。」そう言うと俺はたまたま財布の中にあった、ゲーム用のコインを渡した。「あのー、これは?ゲーセンのコインに見えるのだが。」「そうだが、何か問題が?」「大有りだ!これじゃなにも買えないだろうが!」「仕方ねぇーな。じゃあほら、三百円だ。これでなんか買ってこい。」「ッチ。ケチな奴め。」「あ?何か言ったか?」「いえなにも。じゃあ、金曜日返すから。」「おう、じゃあ、また金曜日になー。」俺はそう言うと、今日はもう講習はないので帰ることにした。

帰り道。また朱ちゃんにあった。「おーい。朱ちゃーん。」「む?なんだ、ただのろりこんでしたか。」「ただのとはなんだ。正真正銘の変態紳士に向かって。」「自分でそれを言うのですか。・・・作戦の日時は決まりましたか?」「ん?あぁ、一応な。今週の金曜日だそうだ。」「そうですか。あの、これ受け取ってもらえませんか?」な、なんだ。いきなり。デレか、これがデレというやつなのか。「勘違いしないでください。私がツンデレで、今デレを発揮しているわけではありません。期待してもなにも起こりません。」ガチトーンで言われた。悲しい。「それで、何をくれるんだ?」「これです。」俺にくれたのはえいりがくれたものと同じ形状のものだった。「これは、えいりがくれた、バリアのようなものが出るっていうネックレス?」「少し違います。私のこれは、バリアができるものではなく、これを発動した周囲に爆発を起こすものです。残念ながら仕様で使用者には爆発はあたりません。」「残念ながらって、しかも仕様で使用者にって、もしかして狙って言った?」「違います。偶然です。これを渡しておきます。万が一の時は使ってください。」「あぁ、わかった。ありがとう。もっとも、万が一なんてないのが一番なんだけどな。」「万が一で一番って、もしかして狙って言いました?」「狙ってねぇーよ。か、勘違いしないでよね。」「無駄なツンデレですね。需要がありません。」酷い。酷すぎる。幾ら何でもそこまで言わなくとも・・・いや、これ、俺が朱ちゃんの立場だったら同じこと言ってるな。「まぁ、ともかく、ありがとう。受け取っておくよ。それじゃ、またね。」「はい、では、私もこれで。」朱ちゃんからネックレスを受け取って、今度こそ家に帰るのだった。なんとなく、朱ちゃんが悲しそうに見えたのはきっと気のせいだろう。

金曜日。作戦実行の日時はじぜんにえいりから聞いていて、昼の一時にえいりの家に来いと言われている。

えいりの家にて。「なぁ、なんで、こんなに早い時間に来させたんだ?化物が出るのは夜なんだろ?」「そうなんだが、もし、お前が家に来る前に化け物に襲われて、連れ去られたなんていったら作戦どころじゃないからな。」なるほど。だからこんなに早い時間に俺を来させたのか。その後、特に何をするでもなく、時間が過ぎていった。

「なぁ、そろそろ夜だぞ。準備とかしなくていいのか。」「そうだな。そろそろ始めるか。」そういうと、何やら魔法陣が書いてある大きな紙を持ってきた。「英利、ちょっとこれの上に乗ってもらえるか?」「?あぁ、わかった。この辺でいいか?」「あぁ、その辺で大丈夫だ。ちょっと待ってろすぐ終わる。」そういうと、何やらよく分からない呪文を唱え始めた。それと同時に魔法陣がそれに呼応するように光り始めた。「な、なぁ。何してるんだ?」「ん?あぁ、これか。お前の体の強化だ。」「強化?なぜそんなことを?」「あぁ、それはだな。もしかしたらお前にも戦ってもらわなければならないかもしれないし、俺のあげたネックレスでも切り抜けられない場面ができた場合に、お前に自力で脱出できるようにするためだ。これも、お前が魔力を流せば発動できるようにしてある。と、はい。終わったぞ。もう降りても大丈夫だ。」「ん?そうか。ありがとう。」「さて、お前の準備は終わったし、俺も少し準備してくるよ。」そういうと、えいりは二階に上がっていった。また、朱ちゃんと二人きりになった。しばらくして、朱ちゃんが、「あの、英利さん。ネックレス持ってきてますか?」「あぁ、ちゃんと持ってきてるよ。」「作戦が始まったら、私のあげたネックレスはポケットにしまっておいてください。そのネックレスは見る人が見たら、すぐに効果がバレてしまうので。」「あぁわかった。じゃあ、今もう外しておくよ。」「・・・あの、くれぐれも二人とも無事に帰ってきてくださいね。」「あぁわかったよ。というか、そういうセリフはフラグになるぞ。」「何言ってるんですか。わざと建てたんですよ。ちゃんと回収してくださいね。」こ、この子。言うことがえげつない。しかも、本当に心配で言っているのか、嫌がらせなのか、区別がつかないところがまた、えぐい。「安心してください。気持ち的には半分半分です。」「半分半分ってなんだよ。嫌がらせなのに心配してるって一体どう言うことだよ。ていうか、いつの間に紋章つけたんだよ。また考えが読まれてるし。」「さっき、あなたの体を強化している時です。」うっわ、全然気づかなかった。てか、どうやったんだ。確か触れなきゃできなかったはずなんだが。「実は触れなきゃ発動できないっていうのは嘘で、今日のための伏線だったのです。」「いや、どんな伏線だよ。全く気づかなかった。」というか、伏線になっていたのか、それさえ疑問だ。

そんなことを話していると「おーい。準備終わったぞ。」とえいりが二階から降りてきた。「よし、じゃあ張り切っていきますか!俺囮役だけど。」「お兄ちゃん、英利さん。気をつけてくださいね。」「おう、じゃあ行ってくるよ。朱を留守中気をつけるんだぞ。」「はいわかりました。行ってらっしゃいです。」そうして、俺たちの作戦は始まった。

作戦開始。時刻は大体夜の八時。化物を見つけ次第、俺が、化物にわざと見つかり、わざと連れ去られる。そういう手筈だ。と、早速化物を発見した。取り敢えず、化物に近づいてみて、話しかけてみた。「あ、あの。こんばんわ。」反応なし。化物が動くには、何か特定の行動か言葉を言う必要があるのだろうか。しかし、改めて見るとまさに化物。いや化物なんだから当たり前なんだが、グロテスクな見た目で見ると精神が壊れるというような見た目でなく、どっちかというとグロくないけど、化物だなぁ、ってわかる見た目。よくアニメの最初とかで主人公に倒されてる奴みたいな見た目をしている。って、違う。そうじゃない。俺は誘拐されないといけないんだった。この言葉、事情を知らない人が聞くと、どう思うのだろうか。ともかく、化物にこちらに興味を向けさせるには、何か特定の事をしなければならないと思う。取り敢えずもっと近づいてみよう。反応なし。じゃあお待ちかね、殴ってみよう。そう思い、全力で化物のことを殴ってみた。「すぅぅぅぅぅ、いってぇぇぇぇぇぇ‼︎」硬すぎだろ、手がなんか、ジャンケンの戦争ってルールの遊びやったときの手みたいに赤くなってるんだけど!その甲斐あってかはわからないが、化物がこちらを向き、襲ってきた。取り敢えず、最初の作戦は成功だな。えいり、ちゃんと付いて来いよ。って、あれ?えいり?なんか、いないんだけど。嘘だろぉぉぉぉぉ!

数時間経って。はぁ、ここどこだよ。あれからだいぶ経ったけどまだつかないのか。てか、港?どこまで歩いてきたんだこの化物。よく疲れないな。と、お?着いたみたいだな。化物が急に、何やら工場のようなところで止まった。止まったかと思うと、俺を降ろし、いや、落とした。痛ぇ。もっと優しく降ろせよ。と、心の中で化物に文句を言っていると、何やら工場の中から誰かが出てきた。「やぁ、君が今日の実験台だね?」「いや、知らないよ。そっちが連れてきたんでしょう。」「ふふ、それもそうだな。」「随分とフレンドリーだな。暗くてよく見えないんだが、もう少し寄って来てくれないか?」「君も中々フレンドリーだな。自分が誘拐されて、しかも、実験台だなんて呼ばれてるんだよ。普通怖がると思うんだけど。」と、言いながらこちらへ姿が見えるようなるくらいまで近づいて来た。「ッケ、なんだよ。おっさんかよ。」「おっさんとは失礼な。」確かにおっさんというには少し若いように見えるな。「それはすまない。確かにおっさんというには少し若いか。」おっさんが少し嬉しそうにみえた。「君、随分冷静だね?君は一般人じゃないのか?」「バリバリの一般人の凡人だよ。冷静なのは、あまりにも現実離れしたことが起こると、逆に恐怖とかよりも好奇心が出て来て、興奮するって奴だ。冷静なのはそう見えるだけで、内心心臓バクバクなんだぜ?胸に耳あてて聞いてみるか?」「遠慮しとくよ。自分はノンケなんでね。相手が、女性なら考えたがな。」「たまに思います。女体化してみたいと。」「君は生粋の変態なんだな。正直このおっさんよりも変態かもしれないぞ。」「いやいや、化物に人を誘拐させて、実験台にしてるって、あんたも中々の変態だろ。」「そうだな。では実験の内容を見せてあげよう。」そういうとおっさんは、俺を工場の中へ案内してくれた。「俺が言うのもなんだけど、なんか、こう、拘束具とかつけなくていいの?」「君はそこまで変態なのかね?」「違うわ。いや、だって俺が逃げたらどうするんだよ。」「逃げても、そこのが君を捕まえてくれるからね。一般人なら普通逃げることはできないはずだ。さぁ、着いたぞ。ここが私の研究室だ。」そう言われ中を見てみると、おや?思ったより普通だ。中は、大学の研究室のようで、薬品臭さはあるが、マッドでサイエンスな感じのものは一切置いてなかった。書類なども割と片付いていて、まるで誰かが定期的に掃除しているみたいだった。多分おっさんが掃除しているのだろう。「思ったより中は普通だな。もっとマッドでサイエンスだと思ってた。」「そんな。私の研究は医学に当たるものだよ?人の命を救うために研究しているんだ。その私が人の命をとってどうする。」「ふーん。立派な心がけじゃないか。じゃあなんで俺を誘拐したんだ?」そう言っておっさんの方を向いた時にはもう遅かった。スタンガンが、俺の体に当たった後だった。俺は目の前が暗くなった。

目が覚めると俺はベットの上で、手足を縛られ、寝かされていた。スタンガンに当たった背中がまだ痛い。「痛いなぁ。いきなり人を襲うなんて、随分なことしてくれるじゃねぇーか。このまま、実験台にするのか?」「そうだ。私の研究の糧になってもらおう。」そう言うと、おっさんは何やら液体の入った注射器を持って来た。「すまないね。私のことを怖がらずに、話も聞いてくれたのに、こんな事をして。」「そう思っているのなら今すぐその注射器を置いて、この拘束を外して欲しいのだが。」「それはできない。悪いね。」「人の命は取らないんじゃなかったのか?」「そうだ。医者を目指していた私は人の命は取らなかった。だが、今の私は人を実験台にし、人の命を取ろうとした。もう医者にはなれない。」「言い訳をしているだけだろ。人の命を取ろうとしようが、医者を目指してはいけないなんて、そんな事はない。一度間違えたからといって、夢を諦めなければならないなんて、そんなルールどこにもない。」「そうだな。その通りだ。せっかくだ。少し話を聞いてくれないか?」「あぁ、それは構わない。だから、この拘束外してくれるか?」「それはダメだ。」「あ、はいですよね。」「私は中学生の頃。医者のドラマを見て、かっこいいと思い、医者になりたいと思った。」「なりたい理由が、なんと言うか、助けられたからとかじゃないんだな。」「いいだろ、別に理由は人それぞれだ。目指し始めてからというもの、私は医者になるための勉強をたくさんした。そして高校生三年生になって、私は医者の大学を受験し、見事合格した。」「唐突に時間が飛んだな。」「尺の都合だ。実験をする時間がなくなってしまう。見事合格はしたんだ。だが、そこで彼に出会った。同じ高校の人で医者を目指していたのだが、目指し始めたのは高校二年生の冬で、かなり猛勉強していた。私もそれは知っていたし、周りもそれを知っていた。そして同じ高校だったこともあり私たちは一緒にいることが多かった。だが、それがいけなかったのだろう。彼は頭が良かった。私よりも、遥かに。私は嫉妬した。何故自分は中学生から勉強してきたのに、高校から勉強しているやつに負けたことに。そりゃ、毎日毎日、全身全霊を持って勉強をしていたわけではない。だが、普通の人よりは努力していたはずだ。だが、彼は私の実力を軽々抜いていった。それが悔しくてたまらなかった。私は再び猛勉強した。たが、ダメだった。彼はとっくに私の上の上をいっていて、もう追いつく事はできなかった。私は大学を辞めた。屈辱だった。彼にも負けて、自分にも負けた。完全に挫折したんだ。さっきの言った事は自分を正当化しようとした言い訳に過ぎない。君の言った事は当たっているよ。」「そうか、随分と長く喋っていたな。そんなことがあったのか。つまり、所詮あんたも凡人だったわけだ。凡人は天才に勝てない。どれだけ先に始めていても、才能の一言で抜かされ、負ける。随分理不尽な世の中だよ。俺もそうだった。バスケをやっていたんだが、自分の方が先に始めたのに、後から入ってきた先輩や同級生に抜かされ、結局一度も先輩にも同級生にも自分にも勝つ事はなかった。俺も挫折した人の一人だ。結局凡人はどれだけ頑張ってもいずれは天才に追いつかれる。だが、自分が勝ちたい気持ちに嘘はない。たとえ、一度も勝つことがなかったとしても、努力を惜しまず、頑張ってきた事は自分自身の経験値になる。凡人は才能には勝てない。だが、それでも、努力していた事実は消えないし、その間に学んだ事、身につけた事は消える事はない。そういう積み重ねが、本当に何かを成し遂げられる奴なのだと俺は思うよ。」「そうか、ありがとう。少年。なんとなく励まされたよ。」「あぁ、そうか。それは良かった。・・・ところでなのだが、今の話この実験のことと何か関係があるのか?」「ん?いや。何もないけど。」「関連性ゼロだったのかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」それは、英利の最大にして盛大なツッコミだった。

「あ、話すことも無くなったんでそろそろ、この注射、刺しますね。」「え?ちょ、おま、やめ。やめてぇぇぇぇぇ。」注射器が刺さりそうになったその時、おっさんの手から注射器がなくなった。「誰だ⁈私の手から注射器を奪った奴は。」「そいつは俺のことかな?」そう声が聞こえたかと思うと、何もないところからえいりが出てきた。「え、えいり!良かった。助かったぜ。てか、どうやって今まで、バレずに尾行していたんだ?」「尾行?そんなもんする必要はないね。俺、透明化の魔法使えるから。」「と、透明化の魔法だと⁈ば、バカな。あんな高等魔法使えるわけが。」「クックック。それが使えるんだよなぁ。滅茶滅茶勉強したから。そう!透明化とは男のロマン!これだけはマスターしようと日々改良に改良を重ね、ついに完成した、俺だけの魔法陣。これを使えば、発動している間は一切の魔力は使えないが、絶対に誰にもバレない完璧な透明化ができる。まさに男のロマンのために作った俺の魔法だ。」「ック。私はこんなクソみたいな理由で作られた魔法にやられるのか。」「おたくを舐めるんじゃねぇーよ。魔法とかそんなロマンの塊、あるならやり込むのが基本よ。」おぉ、なんかよくわからないが、すげぇ!展開早すぎてよくわからないが、とにかくすげぇ。「さぁ、観念して同行を願おうか。教会魔法医師高野すぐり。《たかのすぐり》」「教会魔法医師?なんだそれ?」「教会が作った魔法医学のエリートチームで組んだ、教会専用の医者チームだ。そいつらを教会魔法医師という。」「ふーん、そうなんだ。」「さぁ、来てもらうぞ、高野!」「私はここで捕まるわけにはいかないんだ。」そういう言って走り出したかと思うと、何やら紙を取り出し、それを俺たちに向けると、紙から炎が俺たちの方に飛んで来た。すると、えいりも何やら紙を取り出し、えいりの手が光ったかと思うと、目の前にバリア的なのが現れた。「おぉ、すげぇなこれ、全く相手の魔法を通してないじゃん。」「ック。ならばこれならどうだ。」また紙を、今度は複数枚取り出し、今度はそれを俺たちに向かって投げた。どうでもいいけど、紙って投げると空気抵抗で普通飛ばないよね。「くらえ、火の魔獣。」そういうと投げられた紙が、火の怪物に変わり、こちらへ向かって来た。すると、えいりも紙を取り出し、その紙を地面に置き、その紙の上に自分の手をかざし魔力を流し始めた。すると、また、バリアのようなものが現れた。「ふん。今度のはそんなのじゃ防ぎきれねぇーぜ。」「それはどうかな。」火の怪物がバリアに当たったかと思うと、その火の怪獣が跳ね返り、おっさんの方へと向かっていった。「な、なんだとぉ。反射魔法までも使えるというのか。ック、う、うわァァァァァァァァ‼︎」おっさんに直撃。おっさんは倒れた。「ふぅ、終わったな。」「おぉ、なんかすごいな。魔法って。てか、魔法で戦えてるじゃん。」「それはだな。教会の人ってのは必ず、魔法を戦闘レベルまで使いこなせるようになる訓練を受けさせられるからだ。」「ふーん、そうなんだ。でもともかくすごかったぜ。本当にアニメの世界に入ったのかと思うほどだったよ。」「えへへ。そうかな。」「何気持ち悪い反応してんだ。それは女の子に許された特権だぞ。」「おい。テンションの落差激しすぎだろ。」「っう、あぐ。」そんな話をしているとおっさんが起きた。「教会の人間が何の用だ。この実験は修道院が頼んだものだぞ。」「何?修道院だと?それは本当なのか。」「あぁ、そうだ。修道院が俺に人質を取って脅してきたんだ。教会は公認している。この実験をやれとな。」「なんだって⁈教会はそんなこと認めていない。」「でも確かに公認用紙を見せてもらったが、協会側のリーダーの指印もあった。それに人質も取られているもんだからそれにしたがったまでなのだが。」「お、おい。えいりどういうことなんだ?」「修道院がなんらかの方法で教会側のリーダーの指印をゲットし、高野を騙す材料に使ったってことだ。」「おい、それじゃあ高野はどうするんだ?」「それは、取り敢えず俺の家に連れて行く。色々と聞きたいこともあるし、英利、お前もきてくれ。」「あぁわかった。」「じゃあちょっと待ってろ。今帰る準備する。」そういうと何やら大きい魔法陣の書いてある紙を広げ地面に置いた。そうして、何かを唱え始めた。「我ら三人をこの紋章と同じところへ。テレポート。」そう唱えると、急に体が浮いて、気づくとそこはえいりの家だった。「すごいな。きみ。テレポートまで使えるなんて。」「まぁな、取り敢えず、聞きたいことがあるから、リビングに来てくれ。」

リビングにて。「おーいあけみー。帰ったよー。」「お帰りなさいです。お兄ちゃん。その人は?」「あぁ、この人は今回の事件の重要参考人だ。色々と、おかしな点が見つかってな。諸々の事情を聞こうと連れて来た。悪いんだが、まだ、教会側には報告しないでくれ。話を聞いてからにしたい。」「わかりました。では、私も一緒に事情を聞きましょう。」

事情聴取の時間。

「では、取り敢えず、何の実験をしていたのですか?」「硬くて力が強く、こちらの命令ならなんでも聞く魔法生物を作っていた。」「次に、なぜ、ひとを攫っていたのですか?」「それは、修道院に頼まれて人を攫っていた。用が終わったらすぐに家に返すことと、攫ってきた人に手を出さないのが条件で協力した。魔力を取るだけなら体に害はないしな。」「なるほど、では次に、研究はあなた一人で行っていたのですか?」「いや、それぞれ部に分かれていて、俺は医学の部として参加させられた。他には、魔法生物部、魔法陣設計部、魔法化学部など、色々な部に分かれて研究していた。」「なるほど、では次に、今回の事件。化物たちに何をさせようとしていたのですか?また、制作目的は?」「制作目的は知らされていない。化物たちには試運転。つまり、本当に言うことを聞くのか、その実験のためと修道院から言われた人を攫うためだ。」「では最後に、この注射器の中身はなんですか?」「あぁ、それは、俺が個別に研究していた魔法力を高めたり、一時的に、身体能力をあげたり、回復力が異常に上げることができる薬の試薬だ。修道院が攫ってきた人の誰か一人か二人なら実験に使っていいよと言われたので、使ってみようとした。ちなみにその薬に害はない。修道院から頼まれてやっていた実験は割とやばいことやってる感覚はあったが、人質を取られていて逆らうわけにも行かなかった。」「なるほど。以上で、事情聴取を終わります。ありがとうございました。」事情聴取、終了。

わかったこと。まとめ。

高野は好きでやっていたわけではなく、強制させられていたこと。(その割にノリノリだったような・・・。)

この事件には修道院が絡んでいること。

修道院は何らかの理由で人を集めていたこと。

修道院の研究グループは複数あること。


「なぁ、えいり。修道院って何?」と聞くと、高野が「何?修道院も知らんのか。もしかして君、マジの一般人だったのか。」「いや、何だと思ってたんだよ。」「え?い、いや、それはちょっと。」本当に俺を何だと思ってたんだ。人に言えないほどってどういうこと。「それで、修道院ってなんだよ。」「あぁ、修道院ってのは教会と同じ、魔法の研究をしているところだ。教会とは協力関係にある。」

修道院。教会と同じ、魔法の研究をしているところで、教会とは協力関係にある。教会で魔法陣の設計や、魔法の開発などをやり、修道院で、それらが作動するかの実験をする。だが、それだけでなく、修道院は修道院で、教会は教会でそれぞれ独自に研究している魔法もあり、そういったものは、基本、自分たちのグループの中だけでやり、お互いに持ち込まないようにしている。つまり、協力関係でもあると同時に、魔法開発の競争相手でもあるということだ。

「なるほど。で、なぜ、その連中がこんなことを?」「知らん。修道院のやつに聞かない限りはな。そこでだ。奴らをおびき出して、捕まえてみようと思う。」「捕まえるってどうやって?」「っふ、そこに使い勝手の良さそうなやつがいるじゃないか。」「って、おい。まさか。」「そうよ。そのまさかよ。そのおっさんを使う。」良かった。今度は俺じゃないのか。「作戦は簡単。おっさんに修道院の連中に連絡を取ってもらい、あの工場に呼び出す。そして、俺が捕まえる。英利はおっさんが用意した実験台ということで、おっさんと一緒にいる。」あ、はい。結局ですか。「そんな雑な作戦でうまくいくの?」「わかんないけど、おっさんの時うまくいったから大丈夫でしょ。」「な、なぁ、俺の人質はどうなるんだ?助けてくれるよな?」「あぁ、助けるよ。絶対。多分。・・・きっと。」「なんでだんだん自信なくなってんだよ。ちゃんと助けてよ。」「いやだってこの作戦だと、おっさんが裏切ったとわかった瞬間人質殺されるかもしれないしな。保証はできない。」「ふざけんなよ。なら私はこの作戦に参加しない。そもそもする義理もない。」確かに。おっさんは修道院とやらに人質がとられてるから協力してるけど、俺たちは何にもないから協力する義理はどこにもないよな。「ならこうしよう。その人質を必ず助ける。その代わりに俺たちに協力する。これでどうだ?」「ふん。そんなの助けられるかどうかなんて、誰も保障できないじゃないか。」それもそうだ。ごもっとも。「大体、私はあんたらに協力するとは一言も言ってない。」確かに、言ってなかったな。「私が裏切ってあの子が殺される可能性があるくらいなら、私はこのまま捕まったほうがマシだ。」ん?あの子?「なぁ、人質にされてる子って、子供なの?」「あぁ、そうだ。私の一人娘だ。」なるほど。子供が人質なのか。「私はあの子まで失いたくない。あの子が殺されるくらいなら私が捕まるほうがよっぽどマシだ。」「そこをなんとか協力してくれないか?頼むよ。」「君たちと話していても、もう先へは進まなそうだな。私はそろそろ帰らせてもらうよ。」おっさんが、この不毛な話し合いにしびれを切らしたのか、立ち上がって、「じゃあな、諸君。もう二度と会いたくないよ。・・・テレポート。」そう言うと、どこかへ消えていった。「あのおっさん。まだテレポートを使えるほどの魔力が残っていたとはな。」「いやちんたら話している間に回復したんでしょ。魔力って勝手に回復するんだろ?」「え?そんなに話してたか?」「あぁ、もう一時間経ってる。」「あーあ、逃しちゃった。どうしようかな。」あれ?なんか以外と落ち着いてるな。「なんでそんなに落ち着いてるんだ?」「あぁ、それはだな。」そう言うとケータイを開いて、俺に見せた。「発信機つけてるから、どこいったかわかるんだよ。」発信機って、お前。魔法使う小説で、そんな現代的な機械を使うのはどうなの。「なるほど。で、これからどうするんだ?」「取り敢えず、おっさんの娘を助けようと思う。」「それで協力を求めると。」「そうだ。で、問題なのが、その子がどこに捕まってるかなんだが。」そう言うと、ケータイでどこかへ電話をかけ始めた。「あ、もしもし先輩?特定終わりました?」「あぁ、終わったよ。その子が捕まってる場所はこの地区の南の廃工場だ。」「ありがとうございます。助かります。」「俺もなんか手伝おうか?」「いや、いいですよ。先輩には、また別のことを調べてもらいたいので。」そこで、えいりの声が途絶えた。次に聞こえた時は電話は終わっていた。「はい、お願いします。」「なぁ、途中でお前の声が俺に聞こえなくなったんだが、どういうことだ?」「あぁ、周りに会話が聞かれないように、ちょっと魔法を使っただけだ。」そんなこともできるのか。魔法って便利。「ところで、何話してたんだ?」「それは秘密。取り敢えず、南の廃工場にその子が捕まってるみたいだから、助けに行こう。」「・・・もしかして俺も行くの?」「当たり前だろ。ここまできたら最後まで付き合おうぜ。」「いや、まぁ、別にいいんだけどさ。こういう時って普通、お前はもういい。今日は帰れ。って言ってからの、いや、ここまできたんだ。俺も協力するぜ、っていう流れじゃない?なんか半強制のような。」「まぁまぁ、いいじゃないか。最悪、お前が死なないように、色々とお前に持たせてあるし、大丈夫だって。ここまできたら最後までやろうぜ。」「わかったよ。で、次は何すればいい?」半強制的に協力する羽目となった俺はえいりの次の作戦に協力するのだった。

えいりの作戦その二。

まず、えいりの透明化魔法で工場へ侵入。おっさんの娘が捕まってる場所を特定。

次にその子を救出。えいりが工場内で騒ぎを起こし、俺がその間に脱出。

最後に、えいりが脱出して、俺と合流。これで作戦終了。


「・・・やっぱなんか雑じゃない?」「いやいや何をいうか、完璧じゃないか。我が作戦は。」「で、いつ決行するんだ?」「そうだなぁ。万全の体制でやりたいから、明日かな。」「わかった。それで?俺はもう帰っていい?」「あぁ、いいよ。じゃ、明日な。」これで、ひとまず、えいりの作戦その一は終わった。

家に帰る道にて。むむ、また誰かにつけられてる気がする。さて、どうしたものか。俺はえいりみたいに魔法は使えないし、撃退する術がない。どうするかなぁ。そんなことを考えていると、俺の方へ高速で何かが近づいてきた。振り返ったときにはもう遅い。俺はそいつに後ろから蹴られ、倒された。一体何が起こったのかわからなかった。まるで、背中が貫通したような、そんな痛みが体に走った。痛いなんてそんなレベルじゃない。声が出ないほど痛い。「っく、誰だ!」後ろを見てみると、誰もいない。誰もいないはずなのに、今度は顔を殴られた。やっぱし滅茶滅茶痛い。恐らく、普通なら死んでいるだろう。だが、それでも俺が生きているのは、多分、えいりが俺に人体強化の魔法をかけてくれてたからだ。それがなかったらと思うとゾッとする。「クソ、透明化の魔法か。」さて、どうしようか。相手は見えず、そもそも目的がわからない。どこにいるかも判断つかない。ポッケとの中に何かないかと探してみた。そうだ思い出した。朱ちゃんからもらったネックレス!確か、周囲に爆発を生むとかいうやつだったと思う。使うしかない。次、俺が攻撃されたときが狙い目。使用者にはダメージがないから、相手にだけ当たる。相手は、俺のことを完全に一般人だと思ってるはずだ。これならいける。そう考えてるそばから、早速、また誰か見えない相手に殴られた。その瞬間、ネックレスを握りしめ、魔力を流した。流したはずだった。嘘だろ。なんで発動しないんだ。なぜか、発動しなかった。やばい。殺される。意識も朦朧としもうダメかと思った。そのとき、「火よ。我が剣となりて、悪を切り裂く力となれ。」そんな痛々しい、呪文が聞こえたかと思うと、炎が俺の前に現れた。「ふん、どこの誰だか知らないが、人を殺そうとするのは見過ごせない。引け。怪我をしたくないのならな。」すると、透明化してた奴が姿を現した。「ふん、今日はあなたに免じて、見逃すことにしましょう。ですが、覚えといてください。青年。部外者が魔法に関わるとろくなことがないことを。」そういうと、どこかへ消えてしまった。「お、おっさん。助けに来てくれたのか。」「違う。たまたま通りかかったら、何やら見覚えのある奴が襲われていたから助けたまでだ。」「またまた、ツンデレでしょ?」「違う。本当にたまたま通りかかったのだ。全く、私が来なかったらどうなっていたか。どれ、あやつの人体強化があるとて、怪我はしているだろう。治してやろう。」そういうと俺の怪我をしてる部位に手を当て、おっさんの手が光ったかと思うと、そのときにはもう俺の怪我は治っていた。「おぉ、すげぇ。ありがとうおっさん。」「まぁ、これでも医者だからな。しかし、君は本当にただ協力しているだけの一般人なのだな。」「だから、最初から言ってただろ。」「なぜ、協力している?君にメリットはカケラもないだろう。」「確かにメリットは一つもない。だけど、すげぇ面白そうじゃん。だって、魔法だよ。そんなの目の当たりにしたら、好奇心が動いて当然。確かに怖い。今だっておっさんが来なかったら死んでたかもしれない。でも、退屈で何事も起こらず、ただ平和な日常はもう飽きた。これから何十年、同じことを繰り返し続ける。そんなの地獄だ。気が狂いそうになる。なら、危険でも何でも、魔法というものに出会ってしまったんだから、そっちに飛びつくのは当然のことよ。」「君、だいぶ狂ってるな。死ぬのが怖くないのか?」「滅茶滅茶怖いよ。だけど、それ以上に好奇心が動く。」「なるほどな。いかにも凡人的な考えだな。日常が退屈だから刺激を求める。自然なことだが、行き過ぎると、本当に痛い目を見るぞ。」「今さっき見たよ。」「それに、今回の事件。そんな舐めた態度で挑むと、君、マジで死ぬぞ。これは脅しでも何でもない。」おっさんは怒っていたように見えた。自ら身を滅ぼそうとする俺を見て怒りが湧いたのだろう。それか、自分は強い覚悟を持っているのに、軽い気持ちで、覚悟なんか持たずにいる俺にただ腹が立ったのか。多分その両方だろう。「やっぱりあんた、医者に向いてるよ。」心からそう思った。他人のことを自分のことより先に考え、俺が殺されそうになったら助けてくれた。俺は敵だというのに。「な、なんだいきなり。気持ち悪いな。ともかく、君も少しは覚悟を決めたほうがいい。それと、これは私からのアドバイスだ。魔法を発動させるには何も、魔力を流すだけじゃない。魔力は悪魔で魔法を使うための道具。発動すれば自然に失われる。魔法を発動させるには、魔法の構造自体を理解することだ。これが私から言えるアドバイスだ。あと、私が魔法を使うとき厨二病みたいなセリフを言っているのは、あれは魔法を使うときのパスワードの様なもので、必要なことなのだ。決して私の趣味で言っているわけではない。」「お、おうそうか。でも、魔法の構造を理解すると魔法を使える様になるのか?」「そうだ。魔法の構造を理解すれば、発動させるのに、何が必要か、それがわかる様になる。それが分かれば魔法は使える。」「おう、ありがとう。色々と助けてくれて。」「まぁ、気にするな。私の研究所で、私の愚痴を聞いてくれたお礼だ。それでは、私はもう行くよ。」「あぁ、本当にありがとう。」やっぱりあの人は医者に向いていると思う。

その後は何事もなく家に帰れた。

そして次の日の朝。えいりからの電話で目が覚めた。「おーい起きろー。これから作戦開始するから家に来てくれ。」「わかった。ちょっと待ってて。」そう言い俺は再び寝に入った。

次に起きたのは、またえいりからのモーニングコールだった。「おい。二度寝してたろ。早く来い。」「わかったわかった。待ってろ。」再び寝ようと思ったが、次それをやると殺されかねないので、渋々えいりの家に向かうことにした。

現在、時刻にして午前九時ごろ。えいりの家にて。

「遅い。本当だったら、殴ったり色々したいところだが、ここはぐっと我慢して、作戦を開始する。」「なぁ、ちょっといいか?」「なんだ?英利。」「昨日、何者かに俺が襲われた。幸い、おっさんが俺を助けてくれたのだが、あれはやばかった。普通に死ぬかと思った。」「その話は本当か⁈誰に襲われたか分かるか?顔は覚えているか?」「そこまではわからない。だが、おっさんのことを知っていた。」「それで?お前は大丈夫なのか?」「まぁな。おっさんが俺のこと助けてくれたし、怪我したところも治してくれた。それと魔法に関して、アドバイスをもらった。」「ほぅ、どんなアドバイスだ?」「なんか、魔法の構造を理解しろって言われた。てか、昨日、ネックレスを使おうとしたらなんか発動しなかったんだけど。」「なるほどな。それでか。よし、わかった。作戦を開始する前に、お前に魔法の構造を教えよう。ひとまずこのネックレスについてだけな。」「おぉ!では、ご教授お願いします。」

ネックレスの構造について。

まず、このネックレスには魔法陣を書いた紙がネックレスについている石の中に入っている。そして、石に魔力を流すことで、中の魔法陣が反応し、魔法が発動する。一度発動したら、もう一度使うことはできない。

次に、魔力の流し方についてだが、石に小さな穴が空いているだろう?そこを指で塞ぐんだ。それで魔法は発動する。恐らく、昨日発動しなかったのは、穴が空いてないところをお前が握っていたからだと思われる。

そして最後に、魔法の構造についてだが、この魔法はいたって簡単。この石の中に入っている魔法陣は未完成で、魔力を流すことで、魔法陣に新たに書き加えられ、魔法が発動する。そういう構造になっている。穴を指で塞げば、意識しなくとも、魔力が反応し、使われる。それがこのネックレスの石の構造だ。魔力を意識的に使う方法は、必要になったら教える。今回はこれで以上。

「えっと、つまり、魔法陣の足りない部分を魔力を流すことで、書き足すことで魔法が発動する。と、そういうことか?」「まぁ、簡単にいうとそういうことだ。基本的、ネックレスに石が付いているものは、全てそういう仕組みになっている。」「はいわかりました。先生。ありがとうございます。」「うむ。では、説明も終わったことだし、作戦を開始する。作戦内容は昨日話した通りだ。じゃあ、行くぞ!」そうして、えいりの作戦その二が開始された。

南の工場周辺の商店街にて。

「ここいらでお前の人体強化と、俺たちの透明化をかけようと思う。」「早くないか?効力が切れちゃうんじゃ。」「ここいらでやっとかないと、工場に着く前に見つかる可能性があるからな。ほら、そこに立って。」えいりは俺に人体強化と透明化をかけ、自分にも透明化をかけた。「よし、行くぞ!」「なぁ、なんで透明化かけてるのに俺はお前のこと見えるんだ?」「それは俺がそういう風にかけたからだ。俺とお前は互いは見えるけど周りには見えてないから安心しろ。」「わかった。では、改めて。」「作戦開始じゃ‼︎」

南の工場にて。「どうやって侵入するんだ?」「真っ正面から行く。」「真っ正面から行くだと?正気か。って、あ、そっか。透明化の魔法がかかってるんだったな。」だとしても、凄いな。いくら相手から見えないといっても万が一のことがあるかもしれないのに、意外と肝が座ってるな。「ほら、早く行くぞ。」俺たちは普通に正面から工場に入った。「じゃ、手筈通りにな。監禁されてるのは地下だ。身体強化の魔法をかけてあるから、多分鉄製の檻なら無理やり開けられる。あとは、そっちの判断に任せるが、人質に怪我させないように気をつけろよ。じゃ、またな。」「え、あ、ちょ、おい。」行ってしまった。地下といってもどこから地下に行くのかもわからないのにどうしろと。しかも、俺は魔法なんてほとんど使えないのに、放置していきやがった。細かい指示はないし、どうしたものか。透明化の魔法は一日たつか、俺がいることがバレなければ解けないらしいから基本安全みたいだが、ほんとどうしようか。取り敢えず、地下に行く道を探そう。しばらく歩くと、下に続く階段を見つけた。これで、ようやく地下に行ける。

その階段を降りて、下に行くと、いくつか扉があった。右側に三つ、左に三つ、正面に一つ。さて、どれから開けよう。というか、どうやって開けよう。俺がいると悟られた時点で透明化は解ける。だとすると、慎重に扉を開けなければならないのだが、まぁ、別に大丈夫か。まさか自分の研究所に真正面から入り、普通に扉を開けて潜入してくるとは思わないだろう。俺だったら思わないし。では、どれから開けよう。複数扉がある場合、まず、両サイドから扉を順に開けていき、最後に正面の扉を開けるというのが、セオリーだろう。しかし、俺は違う。逆に俺は正面の扉から開けたのだ。そしてそこで見た光景は、化物が大きなカプセルに入っている光景だった。うっわ、まじか。これ全部あの化物かよ。多すぎだろ。取り敢えず、中に入ってみよう。資料やら置いてないかと散策していると、何やら人が入ってきた。「はぁ、ここの点検なんて、めんどくさいなぁ。」「仕方ないだろ。じゃんけんで負けたんだから。俺だってやだよ。此処不気味で怖いし。」そんな風に会話しながら入ってきた。先に喋ったほうが、A。後に喋ったほうが、Bにしよう。AとBは少しフラフラと中を見てまわり、「うーむ、多分異常ないだろ。さ、帰ろうぜ。」「まぁ、待てよ。少し話してこうぜ。」「あ?まぁいいけど。」いやよかねぇーよ。はよ帰れや。自分の仕事終わったんだろ。ったく、これだからゆとりは。俺もゆとりだけども。はぁ、どうしようかな。あいつら話し始めちゃったし。まぁ、俺がいるとはバレてないみたいだし、普通に扉開けて出るか。そう思い、扉に行き、扉を開けた。開けたと同時に何やら扉からギィーと音が聞こえた。まずい!バレたか?「なんだなんだ?あれ?扉が開いてる。」「きっと猫かなんかだろ。」「それもそうだな。」ふぅ。助かった。バレたかと思った。「なぁ、こういう場面の時さ。よくアニメとかだと、猫だろとかネズミだろって使うけど、そもそも研究所とかにネズミって出るの?いや、百歩譲ってネズムは出るかもしれないけど、猫って入ってこなくね?」「・・・確かに。普通に入ってこないよな。じゃあ、あれだ。きっと風だ。」「え、でもさっき猫って。」それはあれだよ。別にそうと決まったわけでもないけど、なぜだか反射的にいっちゃう言葉ってあるだろ?その一種だよ。」「なるほど。確かにパッと出ちゃう言葉ってあるよな。そうか、その一つだったのか。」いやなんの会話してるんだよ。しかし、中々面白い会話だったな。確かに物語とかだと、こういう工場とかの扉がひとりでに開く場面で、よく猫だよとか、ネズミだよとか使ってるのみるけど、実際猫が入ってくるとも限らないし、ネズミが住み着いてるとも限らない。ではなぜ、そんな言葉を言ってしまうのか。それは、自然と勝手にパッと口から出ちゃう言葉だったからだと考えれば自然。中々、俺の好奇心に来る話だったな。面白かった。実際その通りだよな。猫やネズミが出るわけでもないのに、ましてや風が通る場所でもないのに、何故扉がひとりでに開くと猫かネズミだろとかどうせ風だろなどと言ったことを言うのだろう?

まぁ、そんなどうでもいいことは置いといて、あいつらが会話に夢中のうちにとっとと此処から脱出しよう。こういう時って大抵、扉を開けると、入る前はなかったものが落ちてたりするんだよなぁ。そんな淡い期待を胸に扉を開けると、その淡い期待は泡となって消えた。まぁ、落ちてるわけないよな。この作品、ご都合主義をことごとく潰しに来るし、どんだけ嫌ってるんだよ。そもそも、俺が魔法に出会ってる時点でご都合だろうに。そんなことを思いながら次々に部屋を調べていった。

全ての部屋を調べ終わったのだが、何もないな。基本、資料があるか研究道具らしきものがあるかどちらかしかなかった。これはあれだな。隠し扉的なやつだな。そう思い、俺はまた最初の部屋から調べてみることにした。そうすると、AとBがまだ話していた。あいつらまだいたのかよ。そうだ。あいつらについていけばいいや。そうすればたどり着けるだろう。俺はAとBが移動するのを待った。待った。待った。長い。体感的にはもう三十分ぐらい経ってるぞ。どんだけ話し込んでるんだよ。そう思った矢先、お、やっと移動か。Aが「そろそろ報告しに行こうぜ。」するとBが「そうだな。あんまり遅いとサボってたのを疑われるし。」そう言うと二人は、まず、部屋から出て、上に上がり、えいりが進んだほうの道に歩いていった。あれ?じゃあ、あの部屋はなんだったんだ?そう思ってるとAが「大体倉庫の点検なんて、する必要あるのか?」Bが「さぁ?念のためとか、資料の整理とか確認して欲しかったんじゃない?」ちょっと待てよ。てことは、俺はずっと倉庫を散策していたのか?凄い無駄な時間を凄い無駄に慎重になりながら、散策していたのか。全く無駄な時間を過ごしたぜ。はぁ、ついてないなぁ。

そんなことを考えてる暇もなく、本命の研究室の方へ入れた。ここから人質が捕まっている場所見つけなければならないのか。まぁ、頑張るか。

さっき、頑張るかと意気込んだのだが、そんなことを無意味だと思えるほどに早く人質が捕まってる場所を見つけた。普通に牢屋みたいなところに普通に捕まってた。俺の苦労とは一体なんだったのか。まぁいいや、とりあえず救出しよう。あー、なんて声かけよう。助けにきたよがいいかな?それとも別のがいいかな?ていうか、透明になってるのだから声かけても気づくかな?うーん、考えるのもめんどくさいし、普通に声かけるか。「ねぇ、そこの君。えっと、助けにきたよ。」そう声をかけたのだが、凄いキョトンとしてる。当たり前だ。だって俺のこと見えてないんだもんな。取り敢えず牢屋開けるか。牢屋のドアに手をかけ、無理矢理、開けた。なんか凄いバキッ、と音が鳴ったけど、ガバガバ軽微だから多分大丈夫だろ。俺のことを認識させればいいのか。手を掴んでみるか。それが一番手っ取り早いか。そう思い近づき手をつかもうと思った。すると、なんと人質は、あのいつぞやの俺にレポートを見せてくれた女の子、河合恵さんだった。「え、まじ?凄い偶然だな。」まだ、河合さんの方はキョトンとしてる。これまでのことがどうでもよくなるくらい可愛いな。おっと、いかんいかん。助けなければ。

さて、手を掴んで、どうでも俺の存在を気づかせなきゃな。あれだぞ。決して下心はないからな?勘違いするなよ。・・・誰に対して言っているのだ、俺は。

手を掴んでみた。そしたら少し怯えた感じで、「誰かいるの?」と、言った。ようやく俺の存在に気づいてくれたか。すると、段々、俺の透明化が解けてきた。俺は一切わからないけど、相手の反応で透明化が解けたことがわかった。「え?英利くん?なんでここに。」「話はあとだ。取り敢えず、ここから脱出しよう。」「えぇ、わかったわ。」俺の透明化が完全に解けたと同時に、研究所内のどこかから凄い音が聞こえた恐らくえいりだろう。「出口は俺が知ってるから、俺についてきて。さぁ、行くよ。」河合さんを連れて出口に走った。出口というか、最初入ってきたところなんだが、流石に警備員みたいなのがいるよな。と、そう思っていたのだが、誰一人としていなかった。まぁ、こちらとしてはラッキーなんだが、奇妙だな。そう思いながらも、集合場所に走った。

集合場所は近くの公園にした。夜で人が近づきにくく、えいりの結界を張るにはちょうど良かったからだ。

俺が公園に着くと、すでにえいりがベンチに座っていた。「よぉ、遅かったな。」「何故俺より先にいる?」「それはだな。研究所で暴れてるのは、俺のダミー。俺の作り出した人形だ。お前の透明化が解けたら発動するように魔法陣に少し書き加る。そして、テレポートの場所を設置して俺は退散する。全く楽な仕事だったぜ。」「俺はあんなに苦労したというのに、こいつはベンチでずっと休んでいただと?」凄い悔しい。俺あんなに頑張ったのに。「まぁ、お疲れさん。さて、人質さんに事情説明をするか。って、まじか。河合さんじゃん。あのおっさんの娘って河合さんだったのな。凄い偶然。」「そういうのいいから今までの経緯を説明しろよ。」「ちょっと怒ってる?」「別に、そんなことねぇーよ。」「まぁ、いいや。河合さん。説明するからちょっと聞いててね。」俺たちは今までの経緯を説明した。「なるほど、そういうことでしたか。事情はわかりました。」「これから、高野のとこに行くからついてきてくれ。」「いえ、その必要はありません。」「え、何を言って・・・。」俺たちはまるで、何か硬いもので後ろから頭を叩かれたような感覚に襲われた。そして、俺たちは気を失った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る