第三十二


とまこは、心優の家に行くと、「水着と、浴衣一式ありますか?」と言うと、母は、「心優、元気ですか?いまだ、帰りたいとは言わないですか?」と聞くと、とまこは、「大丈夫です。今は、友だち同士で勉強会をしています」と、応えると、「あの子は、勉強ついていけるの?みんなの足引っ張ってない?」と聞くと、とまこは不機嫌になり、「心優は、トップクラスです」と応えると、あとは、だんまりを決め、水着と浴衣を、もらうと、帰って行った。

とまこは、いつから、心優の勉強を見なくなったんだろう?と、疑問に思った。

心優は、通信簿を見せていなかったんだろうか?とも思った。

帰宅すると、水着と浴衣を渡すと、心優は無邪気に喜んだ。

早速、水着を、着ると、姿見の鏡の前に立つと、「うん!サイズ変わらない。これなら着れるよ!」と、喜んで、「とまこは?とまこ、成長早いから、水着去年の?」と聞くと、とまこは、「あ、そか、ちょっと着てみるわ」と、いい「こっち見んなよ」と、いい、着てみると、「あ、き、きついかも。。」と、言うと、「じゃ、買わなきゃ」と心優が言うと、「そうだなー、買い換えるかぁ。」「今夏になっちゃったから、もうバーゲンになっていて安いよ!」と、心優が言うと、「仕方ないなー、お母さんにねだるか」と、ため息をついた。着替えると、心優に、「あのさ、聞き辛いんだけど、聞いていいかな?」と、聞くと、「うん。いいよ、なあに?」と、水着が、着れて上機嫌の心優は、元気良く応えた。

そんな、心優を見て、とまこは、「あ、たいしたことじゃないから、いいや」と、返事を返して、聞くのを諦めた。

次の日に、心優ととまこは、水着を買いに出かけた。

心優は、ビキニを見つけると、「とまこ、これ、いいんじゃん?」と、赤地に花柄のビキニを見せると、「心優、一応あたし、中学生なんだからさ」と、とまこは困った。

心優は、次は、白地にピンクの花柄のビキニを見せると、「み、心優、出来れば、ビキニ以外がいいんだけど」と、とまこは、恥ずかしそうに言った。

「とまこ、ビキニ嫌なの?

とまこ、セクシーだから、ビキニ似あうのに。残念だなー」と、本当に残念がる心優に、「じゃ、これにしようかな。」と、ビキニだけど、胸に大きめのリボンが結べるビキニを、選んだ、パンツには短いスカートがついていた。

心優も気に入り、二人は意見が一致して、その水着を買った。バーゲンで、値段も手ごろだった。

その頃、園子も、水着で悩んでいた。名前の書いてある学生水着しか、持っていなかった。

美歌のうちに電話をすると、「え?水着?持っているよ。普通の。」と、応えると、園子は「がっ学校の水着じゃ、目立つかな?」と、聞くと「うーん、ちょっと目立つかも。。ないの?普通の水着?」と、聞くと「うん。うち、元々プールとかに行かないし。。」

「そうかー、お金の問題がなければ、買いにいけるけど」と、美歌が、言うと、「ちょっと待ってて!」と言うと受話器を保留にして、約五分後、保留が終わると、園子が、「水着買ってもいいと母から許可が下りた!」と、とても嬉しそうなのが、電話でもわかった。

早速、その日に買いにいくことが、決まり、園子は、美歌と、待ち合わせをして、水着を買いに行った。

「今。水着のバーゲンやってるんだ。

わたしも新しいの買おうと思っていたんだ」 と、美歌は、楽しそうにデパートまで向かって行った。

ちょうど入れ違いになるように、とまこたと、美歌たちは、バッタリ会った。

四人は「あー、なんでー?」と、言うと、「水着を買いに来たんだよ。」と、四人は、同時に言った。

「うちらもだよ」と、話が合うと、「どんなの買ったんだ?」と、園子が、とまこの紙のバッグを見ながら聞いた。

とまこは、恥ずかしそうに、目をそらすと、心優か、「えへっ。秘密」と、応えると、「えー、じゃあ私たちも内緒!」と、美歌が言うと、「2人とも買うの?」と、心優が聴くと、「そうだよ!」と、自慢げに美歌が、応えた。

心優は、無意識に「いいなー」と、言葉がこぼれると、とっさに「わ、私は、去年のだよ」と、言っていた。

心優は「二人の水着探し、あたしも参加していいー?」と、言うと二人は「い、いいよ」と、応えると、「今年は種類が、いっぱいあるよー!バーゲンで安いし」と、機嫌がなおったのが、わかると四人は、水着売り場に行った。

美歌は、ビキニタイプの短い短パン付きの水着を買い、園子は、心優が、持っているのと同じ、ワンピースタイプの水着を買った。

四人は、いつプールに行くか、話し合いながら帰ると、「じゃ、明日にしよう!」と言うことになり、四人は張り切りながら、それぞれ、家路についた。

園子は、初めて着た、学校の水着以外のを、もう一度着てみると、「やっぱ派手だったかな?」と、気にしていると、母が、「あら、それ?今日買って来たの?」と、 部屋に入るなりに言った。

園子は、超恥ずかしくなり、「か、勝手に入んないでよ!」と、怒ると、母は、「そんなに怒っちゃ、せっかくの可愛い水着が、台無しよ」と、言うと、部屋を出て行った。

本当に、いい学校に転入した。と

母は、喜んでいた。そして、もしまた、転勤の話が出たら、どうしようかと悩んだ。

子供たちの、考えている通りに、母は、夫を愛していた。遠く離れたくなかった。母は、夫に、愛人ができることを、恐れていた。毎日、残業で遅くなっても、夫が、帰って来るのを、待っていた。

園子たちは、また、一緒に着いて行くのだろう。と、諦めムードだった。

本当はもう転校なんて、みな嫌だった。

初恋を置いて来た弟も、いた。

もう恋なんてしない、自立できるまで、誰かを好きにならない。そう、決心していた。

園子も、また、恋を置いて来ていた。

卒業式、一緒にできなかった人だ。

今は、中3、また、卒業式を共にできなくなるのか、。とても不安だった。

「あ、明日は、明日の風が吹くさ」と、気合を入れ直すと、「お母さん、明日は市民プールに行くからね」と、言うと、水着を着替え、エプロンを、付けて、夕飯を、一緒に作り出した。

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