第二十二

夕方、一通り、授業が終わると、担任の先生は、園子の家に電話をかけた。

「園子さんは、無事クラスに溶け込みました。安心してください。」と、言うと、電話の向こうの母は、「よかった、ありがとうございます。」と、泣きながら話していた。

いつの間にか、たった一日にして、クラスメートは、杉原のことを、園子と言うようになった。男子までも、どさくさに紛れて。

部活の時間になり、ふと、男子が、「園子、部活はどうすんの?どこか入ったの?」と聞くと、園子は、「いや、どこにも入っとらん」と、応えると、

「そっかー、受験も控えてるしな。」

「だけど、名前だけても所属しているといいよ。二学期は部活の写真も撮るだろうし。ま、焦らず、やって行こうな」と、言うと部活に行った、

「部活、、、,入ったことなかったな。いつも帰宅部だったし。、」

園子は、入るとしたら、どこがいいかな?と、考えると、「絵なら描けるな。いつも描いているし。。」

美術部あるかな?と、職員室に行き、担任に聞いてみると、「美術部?あるわよ。今部活が始まった頃よ、案内するわ、一緒に行きましょう」と、言うと、上機嫌で、担任は園子を、美術室に連れて行った。

美術室に入り、説明すると、美術部の先生は、喜んで、「まだ、大丈夫ですよ。うちは、展覧会に年に何回か出ますが、みな、自由に描いているから、安心して入部してください」と言うと、園子は、「今日からはダメですよね?」と、自信なさそうに聞くと、先生は、「大歓迎ですよ!絵を描く道具は揃っているから、自由に選んで、描くといいわ。」と、その日から、園子は、美術部になった。

先生は、「油絵はやったことある?」と、聞くと、「はい。小学の頃から描いています。」と、応えると「そう、秋に展覧会が、あるの。よければ参加するといいですよ」と、いい、「教材はきまった?」と、聞くと、「少しスケッチしたいです。」と、選んだ教材を見せた。

「今日は、雨じゃないから、外にスケッチしに行くのもいいわね。

みなさん、今日は、スケッチをしに行きましょう。」と、声を掛けると、「やったー、もう教室の中だけで、飽きてたとこ」.と、皆、喜んで準備をしだした。

部活が終わった頃、園子は、玄関に行くと、心優たちにあった。

「園子、珍しいね。いのこりさせられていたの?」と、美歌が聞くと、「いや、部活に入ったんだ」と、言うと「部活?どこに?」と聞くと「

美術部だ。」と、言うと、「園子、絵が得意だったんだ!」と、三人は驚いた。

「いや、得意じゃないけど、絵を描くのが好きなんだ」と、応えた。

「そうかー、園子ん家には、いろいろ描いたのがあるの?」と、心優が聞くと、

「ああ、あることはあるけど、人にみせたことはないんだ、、、」と、言うと、

心優が「今度、園子ん家行っていい〜」と、露骨に聞くと「いいけど、うちに来ても何もないぞ」と言うと、三人は「園子の絵があるじゃん」と、内心思った。

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