第十九

心優は、美歌のクラスに行くと、美歌が、でで来るのを待っていた。

そういえば、最近部活にでてなかったなと、やっと気づいた。

美歌がでて来ると、心優に気づき、ガシッと抱き込まれた。

心優はどうすればかわからず、そっと手を後ろにまわし無意識に抱きかかえていた。

.どのくらいたったのだろう、三組も、二組も、一組も、誰もいなくなっていた。

心優は、「座って話そうか」と言うと、空いた教室に入り、やっと美歌は、心優から、離れた。

「心優てさ、いつも優しいじゃん。だから、私、心優のそばにいれば、ずっと大丈夫だと思ってた。

心優は頭がいいから、なら心優みたいに勉強出来る様に頑張った。

でももう無理なの。勉強頑張っても、同じ高校には、通えない。」

「高知に住んでいるおばあちゃんが、転ろんでから、おばあちゃん、呆けて来ちゃって、お父さんもお母さんも帰らないと行けないの。

私も高知に行かなきゃならないの。

学校変わっても同じ街だったら、すぐに、会えると思ってた。

でもこの街からは遠いよ」

「なんで、これからも会えるじゃん、高校に進学すれば、バイトできるから、お金稼げるし。来てって言ったら直ぐに行くよ」

というと、「本当に?本当にまた、会えるの?」

「当たり前じゃん、うちら、幼稚園からの親友じゃん」というと、今度は嬉し泣きで、鼻水ズルズルしながら泣いている美歌に、ハンカチしか持っていなかった心優は、ハンカチを差し出した。

「ありがとう」と、言うとそのハンカチで、鼻水を、拭くとぐしゅぐしゅと鼻をかみだし、終わると心優に返された。

一通り落ち着くと、「心優さ、テニス部、また、レギュラーが変わったの知ってる?」と、聞いた。

「うん、知っているよ。」と、軽くこたえた。「心優は、平気なの?せっかくレギュラーになったのに、すぐにだよ!」

「私はやりたい時にやれればいいから。その辺のテニスコート借りてたまにやるよ」と、流すと、「私未だに心優の事わからないの。

これから、わかっていくのかな? 」

「ありがと私も同じなんだううな。美歌、本当はコーラス部に入りたかったんじゃないの?」

と、言うと、

美歌は、「気づいていたの」と、応えた。

「だって、名前がそうじゃん。美歌、小学の時、ずっと、習っていたし。高知の学校に、コーラス部があるといいね。」

と答えると、

「心優も、弓道部がある学校に行けるといいね」と、美歌は優しく言った。

「バレたか。」と言うと、「五年生からやってたの知ってたよ。柴田君もやってたんだよ、気づいていた?」

「え?柴田も?」

「やっぱり気づいていなかったんだ。心優鈍感だからなー。:」と、応えると、

「明日、聞いてみる。」と、言うと、「聞かない方がいいと思うよ」と、美歌は、言った。

「なんで?聞いちゃいけないの?」と、聞くと、「ほんと心優は、鈍感だなー。」と、言うと、「帰ろっか」といつもの美歌に戻っていた。

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