第八


その日は、朝から体育の時間だった。

他の女の子たちは、制服の下に体育着を着ていたから、着替えは早く終わった。

心優は、忘れていたので、もたもたしていた。

体育の時間は、二組の生徒か合体して、行われていた。心優たちは、隣のクラスで着替えて、男子は心優のいる教室で着替える事になっていた。

女子たちは、「覗かないでよ」と、ふざけあいながら、着替えると、男子と女子に、分かれて体育をした。

今日は、バスケだった。

心優は、鬱になりながら、「バスケ、、、。」

と、思うと、「高校行ってもあるんだろうな。じゃ、ここでやらなくても、別にいいか。」と、決めると、手抜きを始めた。

しかし、それは逆効果で、みんなが球を追いかけているのを、一緒になって追いかけないだけなのが、球が心優の方に飛んでくると、心優は、球を取らないわけにはいかず、球を取ると、相手の陣地に簡単に入れて、ゴールをきめていた。

結果的に、心優は、何発もゴールしていた。

「私は、バスケをしたくないのに」心優は、自分の意志と反することに、じわじわ怒りを感じていた。

一時限目が終わると、男女みな、教室に帰ってきて、女子は、「朝っぱらから、体育なんて、汗かいて嫌だねー」と、互いにいいあいながら、着替えを済ますと、自分たちの教室に戻ると、男子が、「おい、お前ら汗くさいぞ」と、からかいがした。

女子たちも、まけずに、「あんたたちも超臭いわよ、おふろはいっているの?」と、互いに言い合っていた。

直ぐに二時限目が始まり、心優も、朝から体育で、ぐったりしていた。

昨夜一時過ぎまで起きていたので、睡魔には勝てず、居眠りを始めてしまった。

「っ君!っ君!荒井君!荒井君!」と、遠くから声がして、目が覚めると、社会科の先生が心優の真横に立っていて、仕切りに呼んでいた。

「あれ?」と、言うと、「何があれだ。授業中に居眠りをするとは、度胸がいいな」

「今どこをやっているかわかるか?」と、聞かれ「わからないです」と、応えると、「全く、受験勉強でもしていたのか?朝まではやるなよ」と、言うと、なんのおとがめもなく、先生は、通り過ぎ、授業は、続行された。

昼休み、心優は、他の女子に、「社会科のノートうつさせて貰える?」と聞くと、聞いた子達は、えらく驚いた。

「荒井さん?ほんとに荒井さん?」と、まるで違う人が言っているのかと思うように。

「うん。私だよ。寝ちゃってさー、どこまで進んだのかわかんないんだよね」と、言うと、「あ、あたしので良ければ」と、とても恥ずかしそうに、渡した。

「サンキュー!」と言うと、ノートを借りて、うつしだした。

「ノート借りるなんて、荒井さんらしくないよね」と、女子が噂をしていると、彼女は、とっととうつしおわると、ノートを返した。

そして、昼寝をしだした。

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