第三
部活の時間になり、更衣室に入ると、着替えながら、受験組の女子が何人か話していた。心優が来ると、とまこと、美歌が、「心優、いつ引退する〜?」「私、テニスまだやりたいけど、勉強もしないと、志望校落ちちゃうよ。」と美歌が言葉を足す。
とまこは、のんびり、「私は、冬休みまでやるぞ。心優は、志望校どこ?」
「落ちないとこ」と、心優が言うと、美歌が、「私、またこのメンツで、テニスしたいよ」と言うと、泣き出した。
「だけど、私さ、頭いい方じゃないから、心優やとまこの行く学校に行けないよ」
「私は、親が進学校へ行けってうるさかったから、勉強していただけだから。進学校のうちに入るとこなら
、どこでもいいさ」と、とまこが言うと、「うちの親、、通信簿見るけど、テストも見るけど、、、。そういや、何もいわないなぁ?」と心優は、「あれ?」と始めて疑問に思った。
「とりあえず、引退するまでは、張り切って行こう!」と、誰かが言うと、「おー!」と、気合いを入れて、テニスコートに向かった。
ぐるんぐるん学校の周りをまわって走っていると、
「そういやぁ、学校の周りしか知らなかったなぁ」と、心優は、気づき、ふと、違う道を走りたくなった。
心優は、いつも一番遅いので、誰も気づかなかった。
少し道を外れると、ふつーの住宅街で、「なんだ、みんなの家じゃん」と、戻ろうとすると、そこは、黄金色の田んぼだった。
「あれ?私迷っちゃったのかな?」
と、思うと、一瞬で、グレーと黒の地味な建物と道路があるだけだった。
「じ、地味、、、」
「そういえば、ばーちゃんが、昔は、この辺り一面田んぼだったって言ってたっけ?」と、事の変化に動じないのは、天然だからだろうか?
心優は、またジョギングコースを、テケテケ走って、テニスコートに着くと、みんな、「もう!足が遅いのはわかってるけど、今日は、一番遅かったじゃん。どこ、ふらついてきたの?」と言う質問に、「田んぼ」としか言えなかった。
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