第二


担任は、進路説明をしたあと、一時限目の授業が始まり、朝から早速、数学だった。

「とにっ、数字並べて、どこが楽しいんだ」と、ブチブチ言っていると、聞こえたかと思うタイミングの良さで、

「荒井さん、この問題解けるかしら?」と、

あてられてしまい、心優は、渋々一番後ろの席から、重い腰を上げて、黒板までたどり着くと、サラサラと問題を解くと「これでいいですか?」と、無愛想に言うと、先生は、悔しそうに「あっ、合ってます。」と、応えた。

心優は、どういう訳か、勉強嫌いなのに、予習も復習もしないのに、成績は、いつもクラスのトップだった。

一時限目が終わり、休憩時間になると、女子が彼女に群がる。

「心優ちゃん、この問題わかる?」

「心優、次の授業の宿題やってきた?」と、言っているのが聞こえないかのように、ぶぼ〜と、立つと、「トイレ」と、一言言うと、教室を出て行った。

便器の蓋に座ると、あと9分眠れる、と、チャイムが鳴るまで、寝ていた。

チャイムがなると、スッと立つと、教室に戻った。

国語の授業は、いっそう退屈にさせた。

教科書を開くと、字が並んでるだけじゃん、と、思いながら、宿題をやっていた。先生が、心優の席まで来る頃には、宿題は、出来上がっていた。

先生は、心優の宿題を見ると、「完璧ね。とても今やったようには見えないわ」と、嫌みも込めて言うと、心優は何も言わなかった。

「国語って、どこが良ければいいんだ?」と、疑問を投げかけたかったけど、それで先生とぶつかるのも面倒なので、黙っていた。

そうこうしているうちに、午前中の授業が終わり、給食の時間になった。

「ご飯!」

心優の目は光った。

順番を待って、自分の番になると、「そのデザート、も少し多めにもらえる?」と、言葉数も、少し多くなる。

机に戻ると、「い、い、い、い、」と、早くいただきますと言えないかと、待ち望む。

やっと、「いただきます!」と、言うと、あっという間に平らげてしまった。

給食の鍋が置いてある所に行き、余り物を見つけると、おたまにのせていれると、男子が「ずるいぞ、荒井!残り物は、欲しい奴がじゃんけんで勝った奴からって、決めてあるだろ!」と、柴田が、怒って出てきた。

「結局負けちゃうんだから、いいじゃん」と、言い返すと、「おし!じゃじゃんけんしようぜ。他に食べたいやついるか?」と、言うと、数人の男子、と女子が、手を上げた。

皆が揃うと、「最初はグー!じゃんけん!ポン!」と、やっているうちに、勝者は、心優が一番になった。

「チッ明日は俺が勝ってやる」と、一番初めに、声を出した柴田が負けていた。

心優は、満足げにたいらげた。

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