第20話 蛇足という名の後日談

先代部長『いやー、それにしてもすげー偶然だよねー。たまたま私の目の前で私が書いた本を読んでる子がいて、おおー変な気分ーとか思って見てたらたまたまそいつが痴漢冤罪に会って、まあ読者が冤罪で捕まるだなんて心象悪いなーと思って庇ってあげたらたまたま私の他にもその子の無罪を証言してくれる人がいて、しかもなんと一連の事件の被害者が、たまたま君の想い人だった、なんてさー』

女先輩「…………」

先代部長『うん? おーい、もしもーし。聞こえてるー?』

女先輩「聞こえていますよ。いやあ、本当に偶然ですね。出来すぎていますね。まるで誰かの掌の上にいる気分です」

先代部長『事実は小説より奇なり……なんつってね。あはは』

女先輩「……私も訓練を重ねているつもりなんですけどね。やっぱり、先輩には敵いそうにありませんよ。歳下の男の子を翻弄するのが精一杯です」

先代部長『にゃんのことかにゃー?』

女先輩「でも、本当に助かりました。先輩には何とお礼をすればいいか……」

先代部長『良いって良いって。ああでも、一度後輩クンと一緒に挨拶に来ておくれよ。彼、あの後すぐに病院に行っちゃったじゃん? 私、全然お話しできなかったんだよねー』

女先輩「……。一応言っておきますけれど、男くんは私のものですからね」

先代部長『それを選ぶのは君じゃなくて彼だよー。私と君、果たしてどっちが彼を満足させてあげられるかな? 精々私に奪われないように、しっかりと仲良くなっておくこった』

女先輩「…………」

先代部長『なんつって。怒るなよー。仲良くしようぜ、女ちゃん。ん?』ケタケタ

女先輩「……はぁ……。では、今週末にお邪魔します。男くんに確認を取って……んー、明日の夜にまた連絡しますね」

先代部長『りょーかい。じゃ、そういうことで』

女先輩「はい。おやすみなさい、先輩」

先代部長『おやすみー』ピッ


女先輩「(……ほんっと、食えない人だよ……。うーん。でも、私もきっと、少なからず影響を受けているんだよなぁ……)」

女先輩「(……男くんを満足させる……か)」ポッ

女先輩「(いやいやいやいや! もっと他の手段を探そう、健全なヤツを!)」///

女先輩「(……うーん。ま、考えててもしょうがないか。寝よっと)」

女先輩「(明日はどんな話をしよう。……そういえば、先輩の本の感想を聞いていなかったな……私は大好きなんだけれど、男くんの趣味には合わなそうだなぁ)」

女先輩「(……ふふ。男くんに惚れて……良かっ……た)」ウトウト

女先輩「(明日もきっと……男くんとの……小説みたいな放課後が……待って……いる……)」スヤァ






〜 先輩と後輩の放課後 完 〜

〜 happy end 〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【ss】先輩と後輩の放課後(仮) おしゃれ泥棒 @scarecrow-hage

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ