第7話 フリーダム

〜 昼休み 図書室 〜


女先輩「やあ後輩くん。こんにちは」

男「あれ、先輩。珍しいですね、図書室で会うなんて」

女先輩「君ならここに居ると思ってね。隣いいかい?」

男「どうぞ」

女先輩「ありがとう」

男「…………」ペラ

女先輩「…………」ジー

男「……。あの、見られてるとすっげー読みにくいんですけれど」

女先輩「え? ああ、ごめんごめん。ついね」

男「先輩は何か読まないんですか?」

女先輩「んー。そうだな……何かオススメはあるかい?」

男「は?」

女先輩「君の勧める本を読みたくなった」

男「……そうですか。いや、まあ良いんですけどね」

女先輩「何か言いたいのなら聞くよ?」

男「自由だなーと思っただけです。そうですね……最近読んだ中だと、コレとか面白かったですよ」

女先輩「『南極点のピアピア動画』……ほうほう、可愛いらしい表紙だね」

男「僕も読む前はそんな感じだったんですけれど……読んでみると内実とんでもない本格SFなんです。でもそれに反して文体はすごく軽いというか、物語がするする頭に入ってきて……ん?」

女先輩「うん? どうしたのかね?」クスクス

男「いや、どうかしているのは先輩のほうですよ。何で笑っているんです」

女先輩「いや、君は本のことになるとたまに素が出るなーって思って」

男「はい?」

女先輩「一人称が僕になっていた」

男「⁉︎」ボッ

女先輩「いやいや、可愛いと思うよ? 別に無理して俺なんて使わなくても良いと思うなぁ、私は」

男「あ、いや、今のはつい口が滑っただけでして…!」アタフタ

女先輩「あははは。あ、この本借りてくるね。つい口が滑るくらい夢中になって紹介するような本だ、きっと相当面白いに違いない」

男「あばばばばば」

女先輩「はっはっはっはっは」

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