第二十九話 嫁にするならロリ魔族?②
「ハァ。ハァ。ハァ。辛抱たまらん」
なんなのだこの地下最萌生物は……。
俺の膝の上で静かな寝息を立てながら食後の昼寝をとるメームちゃん。
子供特有のほんのり甘いお菓子のような匂い、そしてぷにぷにの手足はぽかぽかと温かい。ずっと眺めていられる、こんな愛くるしい生物ずっと眺めていられるに決まっているじゃないかあああああっ!
「め……愛でたい……とても愛でたいぞぉ」
呼吸をする度に上下する“それ”を見つめながら、俺はその欲求を抑えることができそうになかった。
もうなにを言われたって構わない。こんな、こんなものを目の前に我慢できるわけないじゃないか……。たとえロリコン犯罪者という汚名を着せられることになったとしても、俺は……俺はぁぁぁああああああっ!
「はぁぁぁぁ~。なにこの角ぉぉぉぉ。なんだか素敵な手触りだわぁ。やっぱこれ本当に頭から生えてんだぁ。アンビリィバボォォオ!」
この子が店に入って来た時からずっと気になってたんだよね。
まあここは異世界なのでこういった所謂【亜人】と呼ばれるような種族は珍しくはないのだが、それにしてもこんな地下ダンジョンで幼女の亜人に出くわすことなんてまずないし、大人の女性に角とか耳触らせてなんて言ったら、ぶっ飛ばされそうだから言えなかったんだよね。
「一度触ってみたかったんだよなぁ。硬くて冷たいのかと思ってたけど、意外に温かいんだな。なんか人の肌に触れてるみたいな感触だ」
たぶん、ド変態丸出しの表情を浮かべながら角を撫でまわしていると、ピクピクと動くメームちゃん。なんだか顔も紅潮して吐息も荒いような。
「ん……うん……ぁん……」
んん? なんだかいやらし……気持ちよさそうな声に聞こえますけど気のせいですよね?
試しに俺は角の先っちょを軽く摘まんでみる。
「ふぁん」
声を上げた瞬間メームは飛び起きると俺から少し距離を取り、顔を真っ赤にしながらモジモジとしている。
「ご、ごめん、痛かった?」
「マ……」
「ま?」
「ママに聞いてみないとわからない」
そう言うと俯いて両手の指を絡めながらまたモジモジしだす。さっきママはいないって言ってなかったっけ? そんな突っ込みもさておき、なにやらメームはぶるぶると震えだすと変な声をあげだした。
「みゅ~んみゅ~んみゅ~んみゅ~ん」
なんか目が光ってんですけど大丈夫でしょうかこの子? 爆発したりしないよね? まさか新手の自律型幼女爆弾とかだったりしないよね?
ひとしきりみゅんみゅん言うとメームは落ち着きを取り戻して、少し恥ずかしそうに俺のことを見ながら微笑んだ。
「ママが、めーむがいいならいいって、でもいちどちゃんと見てみたいだって」
「ふーん……なにが?」
なにやらよくわからないでいると、テテテとメームが近寄ってきて胡坐を掻いている俺の膝の上に飛び乗り顔を覗き込む。
「だから今はかりけいやく」
メームは両手を俺の頬に添えると額にキスをした。
その瞬間おでこが急激に熱くなる。なんだこれは? それに、なんかおでこからすんげービームみたいな光が出てるような気がするんですけどなんだこれえええええええっ!?
やがて額の熱が引くとメームはにっこりと笑って嬉しそうにしていた。
なんだったんだろう今の? まあいいや。楽しそうだし、彼女なりのスキンシップだったのだろうと俺もにっこり笑い返すと、外からドタバタと数人の足音が聞こえる。
「い、今のはなんですかべんりくんっ!?」
最初に飛び込んできたのはローリンであった。なんかネグリジェみたいなのを着ていてエロいですよ。
「とてつもない魔力を感じましたっ!」
次に入って来たのはぽっぴん。猫のキグルミみたいなパジャマを着ている。成人しているとか言っておいてお子ちゃまだなまったく。
「なーにぃ今の?
最後に入って来たのはソフィリーナ。おまえは服着ろよ。パンツ一丁で首にタオルをかけてここまで帰って来たのか? 痴女かよ。
三人はなにやら慌てた様子であったが、俺とメームに気が付くと驚いた様子で……いや、なにか蔑むかのような目つきで睨みつけている。
「あんたって……サイテーね。そんな奴だとは思わなかったわこのロリコンキモオタ野郎」
「げ……幻滅しましたべんりくん……まさか、そんな小さな女の子に手を出すなんて、いくら異世界とは言っても超えてはならない一線というものがあるんですよっ!!」
「む!? それプリンの空き容器じゃないですか?」
はあ? なにを言っているのだこいつらは、失礼な人達ですね。ぽっぴんは放っておこう。
言っておきますけど、俺はロリコンだがロリコン紳士なんだよ。女の子達が嫌がるようなことは決してしないと言うのが俺の矜持だ。
そして、ある意味俺はロリコンではない。なぜなら幼女や少女じゃなくても見た目が可愛ければ年齢が1000歳とかでも余裕で愛せる。俺はそんな究極のフェミニストだからな。
「べんり、だれ?」
「あ……あぁ、あいつらは俺の知り合いでここの従業員でもある」
「べんりのおんな?」
いやいや違いますよぉ、そういうのじゃないですからねぇ。て言うかそういうのどこで覚えてきたのかな? 幼女が小指を立てながらそんなこと聞いちゃダメですよぉ。
メームは立ち上がり三人の前まで歩いて行くと振り返りあどけない笑顔で俺に告げた。
「こいつら、殺しちゃってもいい?」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます