第二章 元勇者は孤独ではない

知られざるプロローグ

ここはどこ?


……。


道路に電柱、家に標識。


夜空に浮かぶ一つしかない月・・・・・・・


私は帰ってきたんだ。


日本だ。


ここは日本だ。


帰って来れたんだ。


あはははははは!


ざまーみろ!


勇者がなんだ!


魔王がなんだ!


あんな世界どうなろうが知ったことか!


あはは、あははははははは、あははははははははははははははははははは!


……。


……なんで私だけここにいるの?


























「はっ!」

 荒い息を整えながら辺りを見回すと見慣れた部屋。いつもの私の部屋だ。

「……夢か」

 思いだしたくもない過去の夢。

 神坂恵理華わたし神坂恵理華わたしになることになった日。

 神坂恵理華わたしはもう○○○○○○わたしには戻れない。

 それだけの過去の回想だ。

「……今日は雨か」

 ただの事実を語った言葉がやけに寂しく部屋の中に響いた。

 

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