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『あーもう限界!明!こいつ倒すわよ!』
「でも五号。防御もなにもしてない彼を攻撃したら――!」
『あいつもそれくらい覚悟してるわよ!だから――』
「……やっぱり駄目!」
『明のバカ!』
どうすればいいのかわからないのか。戦うのを避けて逃げ回ってるピンクを主な
牛頭と馬頭との戦闘にもヒーロー二人が反撃しようとするタイミングで横やりを入れて、戦いがこっちが有利な均衡状態を維持し続ける。
変に決着を急いで負けるより、先輩と所長が合流してから確実に勝つことを選ぶ。――という建前の元、消極的にダラダラと戦う。
本気を出せばいろいろなやつを召喚して、質と量を兼ね揃えた俺流百鬼夜行で瞬殺できるが、疲れるし、代償に何を要求されるかわからんので適当にお茶を濁しておく。
「おーら。ちゃんと避けないと穢れを帯び過ぎてバッドステータスがデフォルト状態になっちまうぞー」
『あんた最低ね!?本当にステインの人間じゃないの!?』
「さっきも言ったけど超常現象対策課の人間だよー。
そう言いながら少々、ムカついたので弾幕の密度を少し上げておく。一応、警察みたいなポジションの仕事なんだから悪者扱いされるのはムカつくものだ。
このまま時間を潰そうかなーとぼんやりと考えていると。
――ボッ――ピクッ
視界の端で光ったかと思ったらそれと同時に俺とは別の召喚を感知し、混乱する理性をよそに本能は鬼火の召喚を辞めてストックを一か所に集める。
その判断が間違っていなかったことをすぐに認識することになる。
バリアの一部が破られたと思ったら、そこから得体の知れないヘドロのような何かが自動的に修復されるバリアが直る前に中へと入りこんでくる。
それがボトリと地面に墜落してようやく脳が回りだす。
「牛頭!馬頭!
「…わかった」
「これはしょうがないわねぇ」
地獄の住人だからこそあれのヤバさはすぐにわかるらしく、素直に地獄に帰る。俺も鬼火を元の場所へと返す。
「先輩!なんすかアレ!?言っとくけど俺は召喚してませんからね?」
「あんなものを召喚できるならとっくに貴様を切っている!ともかく合流しろ!」
ヒーローを度外視して先輩と合流する
ヒーローもヒーローで思うことがあるのか、距離を取ってどうとでも動けるように集合している。
恐らく考えていることは同じなのだろう。
「……提案がある」
「いいわよ。私達はアレ倒さないといけないし、あなた達も放っておけないみたいね」
「……不愉快だが倒すのに協力したら減刑する」
「詳しくは?」
背に腹は代えられないといった様子の先輩だが、アレを前によそ見や時間を無駄にする愚かさをわかっているのだろう。単刀直入に言う。
「何があっても処分予定だったその妖魔を追放するだけで許そう」
「ま、いいでしょ」
これで急ごしらえの共同戦線を組めた――のか?
協力して倒すなんて無理だし、お互いの邪魔をしない程度の事は出来るだろうが、お互い敵対していたのにそこまでのことが出来るのだろうか?
「動いてない今刺激するのはマズい。下手すれば一瞬でやられるぞ」
「とりあえず私たちは左側から攻めるから、あなた達は右側からというのはどう?」
「合図は私が出す。それまで攻撃はなしだ」
「突っ走らないように気をつけるわ」
そう言って陣営ごとに二手に分かれる。勝手に作戦を決められたけど先輩に任せていいのかな?
「あんなの見たことないですけどなんですかねあれ?見た感じ神様クラスですけど」
適当に私見を交えて情報を交換していく。あーもう!こんな事なら先輩と協力する仕事をいくつかしとくんだった!そうしとけばお互いの出来ることがわかるからこんなに動揺しないのに。
「恐らく穢れ過ぎて神ではいられなくなった存在のようだ。今までにいろんなものを呑み込み存在を肥大化させてきたのだろう」
先輩の言う神ってまともな立ち位置の神のことですよね?
陰属性の穢れでまともな神じゃいられなくなったってことは――
「どうするんですか?あれ本当の意味で倒せるの先輩だけですよ?」
「だろうな」
「元の世界に送還することも考えましたけど、元の世界の次元を知りませんし。それってその場しのぎにしかならなそうですよねー」
さっき感じた召喚の残留魔力を調べれば可能かもしれないが流石に時間がなさすぎる。
仮に出来たとしても再召喚されたら意味がない。
「私では強大すぎて浄化しきれない。封印でもできれば別だが」
「あれ相手だと俺が召喚する奴ら全体的に栄養になるだけですし、ちょっと困りますねー」
結論は出ない。だが、そうも言っていられないようだ。
「——動き出しやがった!」
「仕方がない――おい!攻撃開始!」
その合図で左右から挟撃する形で攻撃を開始する。
「これ制御できないからあんまり出したくないんですけどね!
正直、これ以外に効果のありそうなものがないのでヤケクソ気味に小道具で無理矢理ブーストし、業を背負った亡者を呵責する業火で、ヘドロを焼くように放つ。
それと同時にこっちに業火が来ないように出力を調整して、指向性を持たせる。
ホースの口をつまんで一定方向に勢いよく放水するような感じだ。
「なんでこうなるんだよ!」
泣き言を言っても始まらないのはわかっていても言わずにはいられない。
ヒーローの攻撃も通じてないみたいだし、残る希望は小道具で自信を強化している先輩だけだ。
頼みましたよ本当に!
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