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事務所に行くと誰もいなかった。
仕事以外でほとんどこの建物から外にでないらしい所長がいないという事は、仕事でも入ったのかな。
「疲れた」
そう言ってさっさと
そのままウトウトしてふと横を見ると。
「じー」
「うぉっ!?」
知り合ったばかりのクラウディアが向かい側のソファに座っていた。
「じー」
なんかめっちゃ見られてる。
「えーと。なんか用?」
「なんでもない」
目を逸らされた。なんだろう。こんな小さな子にそんな反応されると若干傷つくぞ。
なにか話さないと……。
「昼も話したけど。俺は閻魔英毅。最近超常現象対策課に入った新人の
きちんと座り直して改めて自己紹介する。会話のとっかかりくらいになると思ったのだが、なんか目を逸らされた。
ヤバい傷つくなこれ。
「……鳥見クラウディア。……特殊能力者」
「あ、やっぱり能力者だったんだね。特殊能力者?ってなに?」
「……知らない」
無視されているんじゃ無くて照れてるだけかな。なら気にしてるだけ無駄か。
「所長も能力者らしいし。クラウディアちゃんとは親戚なのかな?」
「む」
「?」
いやそれだけじゃ、なにもわからないだが……。こっちの困惑がわかったのか。
「……違う。保護されてる」
ぼそっと、そんなことを言われる。気にしているのかもしれない。なら適当に流すか。
「俺は
「……例えば?」
お。興味を持ってもらえたようである。
「いつも召喚してる連中ならすぐ
「……見てみたい」
「よしっ。決まりだな」
そう言って準備を始める。久々にあいつらを召喚するか。
「ちょっと待ってなよー」
よく使う特別なチョーク(実家製)で床に陣を描いていく。実家なら道具とかいろいろあるから短縮できないのがつらいかな。
「うんうん」
興味津々と言った様子で見ている所を見ると魔術に興味があるのかな?
教えてもいいけれど、能力者に魔術を教えるのは問題なんだよな。
なぜだか知らないけど妙にタブー視されているし。どうせお偉いさんの都合なのだろうが、所長も魔術を使ってるから違法ではないんだろうが。
「なんで二つ?」
「友人を二人ほど
「? 人を呼べるの?」
「やろうと思えば可能だけど危なすぎるから無理」
異世界を通って移動するのは、精神と肉体の乖離が悪影響があるという事で、精神が強く肉体との乖離が少なくないやつでないと出来ないらしい。
簡単に説明すると強者以外死ぬって事だ。
「
「む?」
「まあ、見てなって」
そう言いながら召喚陣を描き切る。
道具とかを早めに作って今度から召喚時間を省略できるようにしておきたいな。
「よし。じゃあ呪文省略」
ここでいつも召喚している二人を探す。指定しているとはいえ、ちゃんと探さないと変なのに割り込まれて大変な事になるし。
「捕捉――
俺の魔力を送りこんで召喚陣から友人を呼び出す。
「あらぁ?お久しぶりぃ」
「…久しぶり」
牛頭も馬頭も元気そうで良かった。
「悪いね。最近忙しかったから
「気にしないわぁ。私達も忙しい時は忙しいからねぇ」
「…気にしないで」
気にしてないようだ。久しぶりの召喚だから気を損なわれてるぁ
「……この人達が異世界の人?」
「人じゃないけどねぇ」
「…人に化けてるだけだから」
地獄の妖魔だから人間離れした見た目は人化の術で人っぽい見た目にはなっている。
言われなければただのコスプレにも見えるくらいだ。
「私は馬頭よぉ。こっちは牛頭ねぇ」
「ん。鳥見クラウディア。よろしく」
「よろしくねえ」
「……よろしく」
この三人は見た所、普通に仲良くなれそうだ。疲れたしもう休もう。
「牛頭ちょっといいか?」
「…準備万端」
「相変わらずねぇ」
「……なに?」
横で何か言ってるが無視して、睡眠に入る。
「おやすみ」
「…おやすみ」
あー。今日は疲れたし眠い……。
「彼は昔から甘えん坊なのよぉ」
「ん?」
「まぁ、気にしなくていいわよぉ。ほらぁ」
「わわわ」
「彼も膝枕お気に入りなのよぉ」
「……ん」
「気に入ったみたいねえ」
「……むぅ」
「ふふふ。安心しておやすみなさいねぇ」
ウトウトしている中でそんな声を聞いたような気がしないでもない。
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