土曜日 朝

「今のところ変わった所は見当たりません」

「そうか。引き続き監視よろしく」

「は!」

 悪の組織退治の為に警察と合同で作戦である。

 ただし、超対の人間は今のとこ俺一人。朝から合流するはずの英毅君は来ないし、視線が痛い。

 はー、眠いなあ。クラウディアの夢日記の特性上、クラウディアの参加してない時間帯ことが起こるとは思えないため、日付変わるくらいから監視する必要は無いのだが万が一を考えて監視しろとのお偉いさんの御達しである。

 エリちゃんとクラウディアが合流するのが昼からであり、完璧に時間の無駄だが仕事である。やるしかない。

「一つ聞いても?」

「なんですか?」

「本当に標的ターゲットが現れるのですか?」

 信用されてないらしい。

 まあ、知らない人間が主戦力で悪の組織を叩き潰すとか言われても信用されないだろうなあ。

 隊長さんをちらりと見る。苦笑された。たぶん好きに答えていいのだろう。

「予言からして恐らく昼から現れるはずなんですが、上は日付が変わるころから監視しろって必要のない命令されましたので。それでここで共同で監視することになったんですがね」

「……失礼ですが、あなたがあの組織の怪人に対処できるようには見えませんが」

 見た目は30代前半のただのおっさんだしなあ。

 ヒーローのせいで具体的な力が不明だが、見た目ただのおっさんがヤバいとされている怪人などをどうにかするとか言われて、はいそうですかとは納得はできないだろう。

「超常現象対策課は警察と違って今回のような超常の存在を相手にする仕事ですからね」

「……我らより強いと?」

 ああ、怪人が出るかもしれないって事で命懸けの覚悟なのか。

 命懸けの仕事なんぞいつもの事だから緊張感がないと言われたらそれまでだけど、覚悟がないと思われるのは心外だなあ。

「強い弱いというより適してるかどうかですね。警察と消防士は協力することはあっても仕事は違うでしょ?そういうことです」

警察我らは民間人の安全確保に尽力すべきと?」

超常現象対策課私達はそういうのに向いてませんので。最悪民間人ごと粉砕しかねませんので」

 そんなことになったら面倒なことになるのは目に見えている。

 超常現象対策課俺達みたいな存在が表に出ると不便しかないので警察と合同でやる作戦は警察に疑いの目が行くからありがたいものである。

 そのおかげなのか警察の中に能力者ばかりの0課があるとか噂があって、いい隠れ蓑になっている。ばれたら怒られそうだから言うつもりはないが。

「……わかりました。しかし、あなた一人で問題ないのですか?」

「…………昼から合流します。仮にその前に現れても退治するだけなら私一人で十分ですし」

 怪人にしてもヒーローにしても物理的にしか暴れられないのなら俺一人で十分だろうし。

 それにしても英毅君はなぜ来ない。夢日記の予言からして彼が今回の事件のキ―パーソンとなるはずの人物なのだが、今回は彼は戦わないのか?

「今回の作戦の目的は迎撃しつつも奴らの尻尾を掴むことが目的では?」

「最優先は倒すことですんで、そのような最悪の事態にはならないと思いますけどね」

 彼が間に合わないなんて考えたくないが、どっちにしろ英毅君は説教だな。説教はエリちゃんに任せるか。俺がするより効果的だろうし、俺よりキレるだろう。

「それにしてもあの怪人を出す組織の目的は一体何なんでしょうか?」

「あのヒーローが閉じ込めて戦ってるんで目的はいまいち不明なんですよねえ。まあ予測はできますけど」

「やっぱり世界征服とかですかね?」

「そんな特撮のような理由だといいんですがねえ」

 世界征服とか頭の悪い事を大真面目に言う組織は本当にヤバい組織か無能なバカの二択である。

「怪人の性能検査かもしれないですけど」

「性能検査?実験ってことですか?」

「かもしれないってだけですけどねえ。あんな怪人欲しがる組織はいくらでもいるでしょうし、量産されたら大変ですねえ」

 欲しがる組織は存在しないだろうな。超常現象対策課俺らを敵に回したがるようないかれた連中は中々いないだろうし。

 まあ、ヒーローのバリア何かを考えるとこっちの世界の存在では無さそうだが実験とかはありそうだ。

「それは……止めないと」

「あくまで予測でしかないけどな」

 潰さないといけないことには変わりない。それにしても英毅君と連絡取れないな……。寝てるのか?

「厄介なことにならないといいけど」

 それが叶わない事は経験則でわかっているけどもそういわずにはいられないのは、俺が若くないからだろうか?

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