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「酷い目にあった」
初日の顔合わせであそこまでボコボコにされるとは思ってなかった。先輩の治癒魔術で怪我自体は治ってるけど痛みとかは治さないという方針だったらしく、痛みは引いてない。
怪我が治ったら痛みも治るはずだろおかしいだろ。
……愚痴を言っても始まらないし、これから通う高校を確認しとくか。入学式は午後からだけど別に午前に来ちゃいけないってわけじゃないし。
「ふーん。変にオカルト的な要因がある学校じゃないんだな。校舎も新しいし歴史は浅いのかな?」
超対とかに入ったのだから学校も七不思議とか変なオカルト要素でもあるかと思ったがそうでもなさそうだな。
土地も特に問題あるような場所でもなさそうだし――ただの学び舎みたいだ。
早めに来て安全確認をと思ったけど杞憂のようだな。あっちこっちに神坂先輩と似たようなにおいがあっちこっちから感じられる。何か仕掛けてるんだろうなあ。
あとで先輩と兼ね合いでなにか仕掛けとくか。何かあった時に増幅できれば便利だし、何年か過ごすんだ。安全対策は必須だろう。
「さっきからウロウロしてますがどこのクラスですか?」
「さあ?今日来たばかりなので知りません」
うろついてたら教師に捕まってしまった。
「新入生か?入学式は午後からですよ?」
「はい。先に見物に来たんですよ。暇だったので」
「そうか。午前中は先輩たちの始業式と入学式の準備だからあまり邪魔にならないように見学しなさい」
「はーい」
立ち去る教師を見送ってから校舎へと向かう。
許可は出たみたいだし、外からだけじゃ無く中からも見学しますか。
「中も変わった所は無いな」
強いて言うならあっちこっち記号があるけど、においからして神坂先輩がしかけている何かだろう。
他のにおいがしないから魔術師がいないんだろうなあ。という事は本当にいないんだろうなあ。
「こっちはHR中か。近づかない方がいいかな」
だとすると人のいない方に行った方がいいかな。常時、人がいない場所ならサボるのにもたまり場としても使えるだろう。
来るのは初めてだし、部屋の場所もよくわかって無いが――とりあえず陰気な方向に進めば問題ないだろう。
そういう所は妙に陰気だと相場が決まっている。それに陰属性の召喚が専門の俺としてはそんな場所があった方がありがたい。
が、そこまで陰気な場所は無かったようだ。
「これ神坂先輩にどうにかされたのかな?あっちこっち綺麗にされてる」
陽属性(だと思う)の神坂先輩からしたら陰気な空気を消そうとするのは当然か。
あっちこっちの記号も綺麗にして効果を増幅してるのか。こりゃあ俺からしたらこの学校は牢屋よりも居心地が悪い場所かもしれないな。
居場所作りはすぐにやらないといけないな。神坂先輩が敵になるとは思えないが敵に回ったり、敵に利用されたりしたら一瞬でやられかねない。
一瞬でやられるほどヤワじゃないと思いたいが、強い奴は想像出来ないほど強い。だからこそ抵抗できる程度には細工を施しておきたい。
「こっちは旧校舎かな?」
綺麗にしてあった校舎が、ある場所を境にぼろくなっている。ここを旧校舎と呼ぶなら向こうは新校舎と言った所か?
あ、外を見ると先輩方が帰ってるようだ。こっちにも来るかもしれないな。来るならあんまり目立たないようにしないと。まだ、入学式が終わって無いから知り合いだらけの中で知らない人間がいたら目立つだろうし。
「いい具合に陰気だな。こっちを根城にするといいかもな」
古い校舎を探索してみると、どうもここは文化系の部活が集まる場所のようだ。旧校舎というより部活棟と言った方が正しいみたいだ。
あっちこっちにガラクタを置かれていたり記号が見当たらないところからして、ここはどうやら神坂先輩の手が届かない場所らしい。
鍵のかかっていない部室を覗いてみると散らかっていること以外に共通点は無く、貴重品はそこそこあるが魔術的には大したものは無いようである。
「まあ、そんなもんか」
見るものももうないようなので、探索を終わらせる。
時間もいい感じなので、飯を食ってから入学式に出ようかな。学食があったしそこで飯を食べるか、いや一旦学園外で食べてもいいかな?どうせ飽きるまで食べれるのだから学食に拘る必要もない。
「すいません。ちょっといいですか?」
そう思って敷地外に向かっていたら急に声を掛けられた。
「ん?なに?」
「この学校の方ですよね?」
「まあ、そうだけど」
学籍って4月に入ってからだし、入学式入る前からここの生徒とも言える。
「入学式はどちらであるんですか?」
「あっちの体育館じゃない?まだ準備中みたいだけど」
「ありがとうございます。早めに来ようとしたんですけど早すぎたみたいですね」
ざっと一時間はあるし本当に早いな。
「あ、私は
なぜか先輩と思われてるな。まあ、制服に学年が書いているわけでもないし、別におかしくない勘違いか。
「俺は
「閻魔先輩ですね。早速で悪いんですけど赤羽先輩と青山先輩がどこにいるか知りませんか?」
「知らないな」
というか誰だそいつら。適当に言って誤魔化すか。
「たぶん体育館で準備を手伝ってるんじゃないか?」
「ありがとうございます。では、また今度」
なんだったんだろうかあいつ?
まあ、いいや。飯を食いに行こう。この近くだと海鮮料理屋かな?とりあえずそこに行ってみようか。
そこで所長と幼女に出くわして、奢って貰えたのは予想外の幸運だったが、入学式に遅刻しかけたのでプラスマイナス0だろう。
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