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「え?協力できない?」

 茂さんに作戦概要を伝えるために電話したらそのような事を言われた。確かに急な要請だが無茶を通すのはいつものことのはずなのに。

『協力できないわけだは無いが、日にちが悪いのだ』

「どういうことです?」

 なにかイベントでもあるのか?そう思いスケジュール確認をしてみても何も予定は入って無い。大したイベントはないはずだ。

『その次の日に腐れ政治家様の公演があるんだよ』

「珍しいですね茂さんがそこまで嫌うなんて」

 政治家なんて職業の人間に碌なのがいないってのはなんとなく思うことだけど。

『警察の運営費なんかを削りまくってた元凶だ』

「あー、だから超常現象対策課うちに依頼来なかったんですか」

超常現象対策課お前さんらの事は政府の人間でも一部の人間にしか知らされてないからな。あの男には知らされる価値がないというわけだ』

 政府としても超常現象対策課としても守る価値がないとみなされてるわけだ。

 どうせ普段の国会でも余計なことしかしてないタイプの議員なのだろうなのだろうけど。

 批判するのは仕事じゃないと理解することは永遠にないんだろうなあ。理解できるなら支持率さがる理由もわかるだろう。わからないから支持率下がりっぱなしなんだろうけど。

「避難誘導さえしてもらえれば、こっちとしては構わないんですがね」

『それは人命が関わってる以上、確実に行うから問題ない。ただ前回のような機動隊による時間稼ぎは無理だろう。こっちも動かせる人間には限界がある』

「それでも構わない。出来ればクラウディアの護衛に何人か貸して欲しいんだが――無理そうか?」

『クラウディア?……ああ、あの白いお嬢ちゃんか。他の人間はいないのか?あんたの事務所の人間は言いたくねえけど機動隊より全員強いだろ?』

 銃とか物理干渉に相性的に優位なだけで強いというわけでもないんだがな。

「戦闘員は強いが非戦闘員はそこら辺の人間にも負けるよ。クラウディアも非戦闘員だしな。それとあいつらならサボってるよ。というか連絡取れねえよ」

『……重要な仕事でも任せたのか?』

 それだったらよかったんだけどな。そうじゃ無いから悲しい事だ。――俺の人望のなさが。

「いや兼業でやってる奴ばっかりだから、舐められてるだけだ」

 自分で言ってて悲しくなるけど舐められてんだよなあ。そもそも連絡取れねえし。

『お前らホントに政府の秘密部隊なのか?』

「どっちかというと秘密組織ですけどねー。で、頼めますか?」

『小隊なら何とか用意できるだろう。……問題はマスコミだな』

 マスコミ?マスコミの何が問題なんだ?

「情報統制ですか?元から期待してませんが」

『ヒーローを追いかけてるバカな記者がうろついてるようだ』

 そこら辺の三流雑誌や胡散臭いオカルト本とか誰も本気で信用しないから真実なんぞ公にならないし、大手はそもそも危険に近づかない。というかまともに取材をしていないから真実を掴むことはほぼない。

 ……ん?もしかして?

「……もしかして大手もですか?」

『そのようだ。ローカルの胡散臭い雑誌なら鼻で笑われるが大手が報道するとマズい事になる』

 ……それはマズいな。俺らの存在が表沙汰になったら上から処罰どころか歴史から抹消されかねない。

 というか大手が動くとか何があったんだよ。

「動いてる大手の情報はありますかね?」

『詳しくは不明だ。だが、ほとんどの大手が動いてるという情報もある。こちらも未確認だがな』

 ……これは面倒な事になる予感しかしない。これはあいつに何とかしてもらうしかないだろうな。

「わかりましたそれはこっちで何とかします」

『そうか。――話はそれで以上か?』

「そうなりますね」

『では健闘を祈る』

「お疲れ様です」

 ……あいつに連絡するの嫌だなあ。でも背に腹は変えられないし、連絡するしかないかー。

「あーもしも『――』うるせぇ!?耳元で騒ぐな!『――』あーはいはい。今日はてめーに用事があってさ『――』だーかーら騒ぐんじゃねえ『――』実は情報収集と封鎖して欲しいんだよ『――』ん?いやエリちゃんとかじゃどうしようもないからてめーに頼むんじゃねえか『――』うっさい『――』黙れ『――』それならいいが『――』それはない『――』てめえが脱線させたんだろうが『――』……『――』てめーにやって貰いたいことはだな――というわけだ『――』やっぱ金かかるか?『――』なら超対に要求しといてくれ『――』はいはいそれじゃーね」

 厭々連絡したら予想以上にウザかったので早々に電話を切る。長々と話してきた気がするがきっと気のせいだろう。

「ん。電話終わった?」

「ああ。大した事は話してないけどな」

「情報操作って大したことだと思うけど」

「うちの組織じゃ大したことじゃないよ。うちに就職する気なら覚えとくといいよ」

 最もクラウディアはこっちの世界にどっぷりだからどうあがいても超常現象対策課に就職する以外の選択肢はないけどな。

「ん」

「それで召喚術をどれくらい維持できるようになったの?」

「十五分――もう少し伸ばせそう」

 十五分か。

 時間としては短いが戦闘としては十分だろう。正直戦力として期待してないから一時的なモノなら十分だ。

 召喚した牛頭か馬頭のどっちかにヒーロー戦でエリちゃんと英毅君が一対一でヒーローを片付けていく時に時間稼ぎしてくれれば問題ない。

「あんまり無理はしなくていい。作戦通りにしてね」

「ん」

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