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「ん」

「今日の日記か……。あ、更新されてるな」


  4がつ△にち

 あくのそしきとひーろーをたおすためのさいしゅうさくせんがありました。

 ごずさんをしょうかんしてしんじんさんのよゆうをもたせるようにしました。

 らいおんのかいじんをしょちょうがつかまえて、ししょうとしんじんさんでひーろーとたたかいました。


 今回はこれで終わりのようだな。

 俺が相手するのはライオンの怪人か。前回の日記の時は虫の怪人という情報だったがイノシシの怪人だったしあんまり信用できないな。

 細かい誤差が多いからあんまり詳細の情報収集には頼れないんだよなあ。それに結果が書いてないからどうなるのかわからないという一番困るパターンだな。

「なるほどね」

「ん。なにかわかった?」

「四日後が決行日だな。急だが今日の放課後に作戦会議しようか。全員に招集メール出しとくか」

 そう言いながら部下全員にメールを出す。

 今、授業中だっけ?まあいいか。別に文句言われる内容じゃないし。

「ん。来た」

「よし。それじゃあ、放課後にみんな集まるまで暇つぶししようか」

「私、召喚陣の復習があるから」

「まさかの断られた!?」


    ☆   ★   ☆


「それじゃあ四日後にヒーローと悪の組織が出てくるので双方を壊滅させましょう」

「当日のどこで行われるのですか?」

「いつも通りに行き当たりばったりだ」

 毎回のように警察に頼ってる俺らにとってはいつも通りの事である。

「……せんで時間と場所を搾っときます」

「いつもありがとね」

 せん、簡単に言えば巫女さんの行う札を使った占いだと思えばいい。

 精度は大雑把だが数回繰り返せば確実な情報となる。あれだ映画の予告の内容が何パターンもあって、全部見たら映画の内容が大体わかるような感じだ。

「場所がわかり次第、警察に連絡するわ」

「OK。英毅君は初実戦だけどベストを出してね。時間稼ぎは最低限ノルマね」

「ん。倒してしまってもいいのだろう?」

「それ俺が言うべき台詞!?」

 どっちでもいいんだが、まあいいや問題なさそうだし。「人質に取られたら閻魔ごと斬るから気をつけなさい」

 それ味方に対して言う台詞じゃないぞエリちゃん。

「私は?」

「クラウディアは召喚術でサポートね。前線は俺ら三人でやるからOK?」

「おーけー」

 納得してくれてよかった。下手にゴネられたら説得出来ないから置いて行く羽目になるところだった。そしたらさらに機嫌を損ねられていろいろ奢ってあげないといけないから財布がピンチになるんだよな。

「まあ作戦としては怪人を俺が抑えてる間に、ヒーローをエリちゃんと英毅君で捕縛。ヒーロー捕縛したらコレにあの胡散臭い魔法生物入れといて」

 そう言って注文しておいた籠を出す。

「なんすかこれ?虫籠?」

「封印の壺を超対が簡易化したもんだ。実体を持たないやつに対しては無類の強さを持つ……らしい」

「知らないんですか?」

「魔術畑の技術なんぞ詳しくねえからな。よく知らんが霊体?とやらの状態の時にこっちのボタン押すと勝手に封印してくれるそうだ」

 こんな感じにな、とボタンを押すと蓋が開き妙な音を立て始める。

「……うわっ、えげつないほどの対霊体用に色んな術式が組んである!?なにこれ?なんでこんなに重ね掛けしてあんのに何で累乗するように効果が高まってんだこれ?」

 初めて見たらしい英毅君が妙な解析をしてるけど、何言ってるのか全く分からない。

「こんなに重ね掛けしたら相殺されるはずなのにこれを」

「はいはい。埒あかないから考察はそこまでにしろ。で、この籠に捕えた後にこっちの魔道具にセットすればあいつらのいた次元を特定してくれる。そうすれば術式爆撃で終わらせられる」

 上の連中に捕獲した送りつければすぐに終わらせてくれるだろう。

「人任せですか」

「生憎、俺は物理特化で次元を超えた攻撃とか能力者でも希少だからな。ま、ヒーロー側の5匹と悪の組織側1匹捕まえば作戦は完了だ」

「全員捕まえるとなると苦労しそうですね」

 緑山は感知タイプだからもしかしたら逃げられるかもしれないな。

「ヒーローの方は最悪逃げられてもいい。個人の特定も終わらせてるし国家権力にどうにかして貰う破目になるけどな」

 ヒーロー逮捕とかニュースになったら面白いんだが、上に怒られるから表沙汰にならないように片付けないといけないから面倒だけどな。

「む。ヒーロー逮捕?……カッコ悪い」

「言うな。やりたくなるだろ」

 おい英毅君。小声で天性の愉快犯とかいうな。一応そういうのは卒業したからな?

「怪人の方はいいんですか?」

「あっちの方は前に戦った時に全く苦戦しなかったし、捕獲したら乗っ取りに移行するみたいだから全く問題ない」

 前の戦闘の時はこれがなかったから怪人を倒せなかったが、精神体だか霊体だと思ってなかったから対処できなかったがわかっていたら大したことはない。

「想定外の事が起きても俺とエリちゃんがいれば大概の相手には問題ない」

「ヒーロー相手には苦戦し過ぎてるけど?」

「ヒーローのバリアがあそこまで厄介だとは思わないかったんだよ」

 あんな反則のような技術があるとか想定してなかったからな。流石、異世界の生物。世界の理屈が通じないを地で行っている。

「それじゃあ、いくつかの戦術パターンを作っておく必要があるな。俺とエリちゃんだけならともかく何人も戦場に出ることになるからな」

「作戦の進行具合をコントロールするための合図と撤退の合図は必要ですね」

「じゃあそれから考えるか。まず作戦は――」

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