15
先日、緑山の接触の結果思いっ切り警戒されるようになってしまった。
「それで逃がしたと」
「あのバリア厄介だからねえ。所でなんで正座されられてるの俺?」
「……気づかれない事を最優先とか言いながら真っ先に気付かれた挙句、敵対するとはアホですか?」
「……返す言葉もありません」
この事務所の中で一番偉いはずなのに部下に説教されてる俺は何なんだろう。
「……所長って偉いんじゃ?」
「む?いつもあんな感じだよ?」
「…………そうなのか」
不憫そうな目で見られる。そんな目で見られる覚えはないぞ。
「でも悪いことだけじゃない。一人だけとはいえ感知タイプがいることがわかっただけでも収穫だ」
「こちらの存在バラしてるんですから最終的にはマイナスじゃないですか?」
「それは別に問題ないだろ。
突発的に出てくるような存在に対しては知名度ほとんどないけどな。逆に古い組織とか伝統のある組織とかには知れ渡っているんだがな。
戦後に組織間のバランスが狂い過ぎて手を付けられなくなったがゆえに、中立的な立場としてゴタゴタを解決するために作られた組織だから業界では知らない方がおかしいんだけど。
「俺知らなかったけど」
「閻魔は黙ってなさい」
「アッハイ」
「む」
「いやクラウディアは知らなくても仕方がないでしょ」
「ん」
なんかグダグダしてきたし仕切り直すか。
「それじゃあ、報告会の続きやろうか」
「一番最初に話して大失敗を話して話しやすくしてくれたのはいいですがやらかし過ぎです」
……?何の事だ?
あ、確かに俺がやらかしたことを話してからだと。余程の問題をやらかさない限り話しやすくなるな。まったく気にしてなかった。
「ん」
「じゃあ、クラウディアちゃん」
「ん」
なんでクラウディアも報告しようとしてるんだろうか?監視する時は基本俺と一緒にいたから報告することなかったはずだけど。
「鳥の人と話したよ」
「ちょっと待っていつの間に接触した!?」
鳥の人とは恐らく黄瀬のことだろう。話す機会は時間がなかったはずだが。
「学校からの帰り道に倒れてた」
「そうか。なんでだ?」
学校の帰り道って俺が緑山とかとやりあった時か。小学校に行ったのその時だけだったし。
「空から落ちてきてビチーンと」
「それ倒れてたとは言わなくない?」
墜落とか落ちてきたとか言う。
「と言ってた」
「その鳥の人が?」
「鳥の人とは?」
「黄瀬の事だろう。あいつと一緒にいるの鳥みたいなぬいぐるみらしいし」
俺にはよく見えんからなと続けるように言う。
ちなみに1号は犬で2号が猫、3号は鳥、4号が魚、5号が蛇らしい。まったく波長が合わないから俺にははっきりとは見えないから見た目は俺には全く分からんけど。
「む」
「ああ、ごめんごめん。話の続きお願いね」
「ん。倒れてたから頭を踏んで「うん。死んでる」って言ったら「死んでないから!?」って起き上がった」
クラウディアもアレなんだな。知ってたけど。
「それでなんで倒れてるのか聞いたら急ごうとして落っこちたんだって」
緑山の救難信号でも受け取って急いでたのだろうな。
「その後見下してたらいろいろ言いだしてボロボロ聞いてない事言って最後には逃げるように逃げてった」
クラウディアが変な性癖が芽生えないといいけど。
「……なにか気になること言ってた?」
「ヒーローとしての仕事があるとか言ってた。あとは大したこと言ってなかった」
「そうかありがとね。じゃあ次エリちゃん」
「ん」
一通り話して満足したらしい。いつも聞いているだけだから参加できて嬉しいのだろう。
「わかりました。私は
「奇行?」
「想像出来ている通りですね。見えない人と話しているとか突然教室から飛び出していくとか」
「あー、やっぱりか。まあ他の奴も程度の差はあるけど相当だな」
「主に赤羽先輩が後先考えずに飛び出していって青山先輩がフォローしているような感じですね」
「最も赤羽先輩がひどすぎてあまりフォローしきれないみたいですが」
……どんだけ酷いんだよ。
「青山先輩は真面目なんですが赤羽先輩に振り回らせ過ぎて……周りから物凄く心配されてます。ですが慣れてると言って世話焼いてますね」
「どんだけなんだよ。……というかそれでいいのか受験生」
三年の大事な時期を
「こちらに気がつかれないように情報収集をしましたのでそれぐらいですね」
「ご苦労さん。それじゃあ最後は英毅君ね」
そう言って英毅君に話を振る。そうすると嫌々話し始める。
「はいはい。俺は引き続き
「仕事はきっちりやってくれれば文句はないよ。例の陣は?」
「完成しましたよー。あと同じようのを人数分作れば終わりですねー」
……仕事早いな。
もう少し時間かかるものだと思ってたが優秀なんだなあ。普段の態度がグータラだから想像も出来ないな。
「それじゃあそっち優先しといて、情報収集よりそっちの方が重要だし」
「わっかりましたー」
「……どれくらいで出来る?」
「明後日ぐらいですね」
それなら出来てから作戦練って殲滅がいいかな。となるとアレを上に発注するか。確実に必要になるだろうし。最後の仕上げには便利だしな。
「じゃあ、それが出来たらヒーローと悪の組織せん滅作戦を練ろうか。それじゃ解散」
そう言って各々自由行動に移る。
「エリちゃんコーヒー入れて」
「わかりました。おい閻魔お前も飲むか?」
「あ、じゃあお願いします」
「む」
「クラウディアちゃんにはオレンジジュースね」
「ん」
「はいはい。少し待っててね」
相変わらずクラウディアには甘いなエリちゃんは。
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