8
悪の組織の捜査の為に警察のステイン捜査本部に足を運ぶことになった。
……ステインってなんだっけと疑問に思ったが、あの怪人がステインと名乗っていたのを思いだす。あの悪の組織がステインだと判明してたのか。
いつ名前変わったのかそこら辺を歩いてた警官に聞いてみると先日捜査対象の組織名が判明したので変更したとの事。あぁよかった。知らないのこっちだけかと思ってしまった。
ちなみに表向きは悪の組織の捜査のためだが実際にはヒーローに対しても捜査している。
ただ、ヒーローはメディアが煽ってくれたせいで逮捕しづらい世論になっているため公には捜査してない事になっている。
戦闘特化というわけではないが能力や魔術頼りの
……ヒーローの場合なら熱狂的なファンで片づけられそうだが、それはそれで嫌である。
現にファンクラブらしきものが存在するが、
ちなみにファンクラブナンバー一桁だったりする。会合の呼び出しが何度も来てるが完全無視である。
「茂さんいる?呼び出されたんだけど?」
「少々、お待ちください」
待つ事しばし、呼び出しをしてきたジジイが部下を引き連れてやって来た。
「よう。一昨日はうまくいかなかったらしいな?」
ガハハハと笑ってから部下に指示を出して、人払いをする。外見に反してそつが無いなこのジジイ。
「ヒーロー共のバリア対策を練れそうだから無駄ではなかったけどな。で、いきなり呼び出して何の用だ?捜査本部のNo.2さん?」
「嫌味か?茂さんでいいぞ?」
なんか腹立つので茂さんと呼ぶの止めよう。
「何の用ですか
「あいかわらずかわいくないなお前」
「30代前半のおっさんがかわいいわけないでしょう」
この人なんか苦手なんだよなあ。妙に嫌いになれないタイプのオーラ出してるから邪険にも出来ないし。ビジネスライクな受け答えしてもまるで気にせずフレンドリーに相対してくるし。
「それで結局、何の用ですか?用がないなら帰りますよ?」
もっともクラウディアを小学校の保健室に送ってから(危うく通報されかけた)警察署に来たから、事務所に戻っても誰もいないために戻ったら仕事するしかないけど。
「まあ、そう焦るな。こっちに来い」
茂松さんに連れられて向かった向かった場所はモニター室だった。
「監視カメラとかのモニター室ですか?」
「ああ。一昨日の事件で監視カメラのデータを貰ったからな」
ヒーロー共のバリアの中ではなぜか撮影機器が録画しないという謎の空間になっているため、中で何が起きているかは戦闘痕で判断するしかなく、監視カメラの映像は捜査の足掛かりにはならないと思っていたんだが。
「……何か手がかりでも?」
「まあこれを見て見ろ」
言われて再生されたビデオを見るとそこには。
「おいおい。カメラのあるとこで変身解除しやがった」
「ああ、これでどこの誰だか割り出せる」
「……こんなマヌケなら初期に割れそうな気がするんですけど」
軽く半年は活動してる記憶があるんだが、尻尾を掴ませないことには定評があったのにこんなつまらないミスをするものか?
「今まではカメラの無い地域にまで逃げるか一帯のカメラを録画不可にしていたらしく映像は残って無い」
なんで急にそんなミスを?
「もう一度見せて貰えますか?」
「おい。今のところもう一度だ」
もう一度映像を見ておかしなことに気づく。一人が解除したことに気がついて慌てて周りを確認しているようにも見える。そして誰もいないことに気づいて安堵して、他の連中も次々と強制解除って感じだな。
「これ自分の意志で解除したって感じじゃありませんね。時間切れか?」
「そのようだ。機動隊の追跡を振り切るのに時間をかけ過ぎたのだろう」
「どれくらい追い回してたんですか?」
「20分くらいだ」
思っていたより時間かけて追いかけまわしてるな。時間制限があるとわかったのは大きい。
「機動隊頑張りましたねえ。大手柄ですよ」
少なくともなにも掴めてない状態からはかなり前進したものだ。エリちゃんの八つ当たりを受けずに済む。
「あとで奢ってあげたまえ」
「いや何人に奢らないといけないと思ってるんですか!?」
あの大人数に奢ったりしたら予算が尽きかねない。
「冗談だ」
「でしょうね。録画は貰っても?」
少し気になったことがある。録画を他の超対のメンバーに見せて、
「コピーなら渡せるが?」
「それで妥協します」
「いつもならオリジナルを渡せと強請ってくる所だというのにどうした?」
「今回は魔術や妖魔系じゃないのでオリジナルじゃなくても問題ないんで」
オカルトビデオのようにオリジナルのビデオにしか映って無い何かは今回は存在しないためコピーでも問題ない。
「少し待ってろ」
「はいはい」
しかし、全員とは言わないが二人の顔が映ってるな。
「この映像で個人が特定できるのか?」
「過去のデータベースと照らし合わせて載っていれば一瞬で判別できるんだけどねえ」
向こうからすればこっちの
「どれくらいで特定できそう?」
「さあな。早くて一か月くらいだろう」
気長だなあ。本人の髪の毛なりなんなりがあれば、呪殺の要領でどこにいるのか捕捉できる超対と違って地道な捜査が物を言うため時間がかかるようだ。
「ほらよ。コピーだ」
「ありがとうございます」
渡されたUSBを懐にしまってから事務所に戻る。
……さっき見た時は言わなかったけど、顔が見えた一人は英毅君とデートしていた女の子じゃなかったか?
今日の放課後にでも英毅君に確認してみるか?いや、英毅君の解析の邪魔になったら困るしなあ。解析終わるまで聞かないことにするか。
そうした方が最終的に得になりそうな気がする。
こっちで勝手に監視してバレて逃げられても面倒だ。あいつらには秘密にしとくか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます