第4話

そうした付き合いがもう、3年にもなる。由美が大学を卒業するこの歳になっても彼氏がいないのは間違いなく孝のせい、のはず、だ。

だが、由美がそれに気づいても時すでに遅し。由美の凝り固まった意固地さも、そして親友2人の呆れ果てて由美の言葉をまっすぐに受け取らなくなってしまった癖も、由美が2人に相談することを阻んでいた。

だが22歳乙女、まだまだ人生経験豊富とは言えない。ましてやまともな恋愛経験のない由美のことだ、この関係をどうするか、はっきりいって1人では解決しかねていた。

そこで由美が見つけた吐き出し口が、ツイッター上で仲良くなったさくらさんだった。きっかけは彼女の描くイラストをたまたま誰かのファボだかリツイートだかで目にしたことである。普段は無駄にタイムラインが長くなるだけで好きではなかったこの機能だが、たまにはいい働きするじゃん、そう思ってさくらさんをフォローした。

その後、しばらくたって由美は孝と大げんかをした。サークル運営のささいなことで口論になり、ささくれた気持ちで由美がいた時、由美さんの絵を見た。

それはシロクマが北極星に手を伸ばしている絵だった。流氷の上で、シロクマが涙を浮かべながら必死に星に手を伸ばしている。真っ暗な夜空に浮かぶ北極星はただひとつ、とても明るくて、きらめいていて、綺麗だった。

どこから見ても北に見える星、北極星。それに近づこうと北極まできても、ホッキョクグマですらその星に触れることはできないのだ。それが、どれだけ話しても、一緒に時間を重ね近づいても、決して恋人にはなれず、心の1番深いところには触れられない由美と孝の関係を想起させ、考える前に由美はさくらさんにDMを送っていた。


『突然失礼します。いつも素敵なイラスト、楽しく見させていただいてます。

今回のシロクマの絵、すごく好きでした。今の悩みにぴったりで、つい泣いてしまいました。』

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