間奏曲 死人と狂人たち
「リーダー、土嚢はこんな感じでいいっすかね?」
「どれ……ん、悪くねえな。あと上に一段積んだらお終いにして、別の班を応援に行けや」
「ういっす」
「
「あー……1階から3階までは完了したんですが、それから上がまだです」
「それ終わらせねえと話になんねえだろ! たった今襲撃を食らってみろ、ろくに応戦もできねえまま各個撃破されてえのか⁉」
「す……すいません」
「……まあいい、どんどん巻いてけ、手が空いた奴から優先的に回す。日が暮れる前に片付けろよ」
「ういっす」
何とかなりそうじゃないか――指示を出し、叱咤し、激励しながら、リーダーと呼ばれている男は思った。これなら予定の時刻までには充分間に合うだろう。割り振られた作業に当たっている者たちも、今のところは彼の指示に従って黙々と働いている。
結構なことだ。それなりに真剣になってもらわなければ困るのだ。何しろこれから迎える客は、あの〈
「リーダー、荷が到着しました!」
「おう、間に合ったか。……聞いたな! 得物を配るぞ!」
カートで運び込まれてきた木箱が打ち壊され、油紙で幾重にも包まれた鈍い金属の塊が露わになる。今まで仏頂面で動いていた男たちが一転、クリスマスプレゼントを与えられた子供のように目を輝かせて群がってきた。
「さすがに〈のらくらの国〉が卸す商品は粒ぞろいですね……」
「粗悪な中国やベトナムとはわけが違う。銃だけじゃねえ、見ろ、弾薬までメイド・イン・ブルガリアだぜ」
ブルガリアは良質なAKシリーズのコピーをライセンス生産している。銃はともかく、質の悪い弾薬は不発や
もっとも、この依頼に関する雇用主の熱意は初めから疑いようもないのだが。何しろ〈夢遊病者たち〉をハメるために、中古物件とは言え空の雑居ビル一軒好きに使っていい、というのだから。家賃の支払いを巡って管理人が入居者に刺殺される、という陰惨な事件以来、ほぼ野ざらしになっているといういわくつきのビルだ。
「手榴弾まであるのか……どうします?」
「同士討ちの恐れはあるが……念のため持っていけ。使いどころには気をつけろよ」
〈夢遊病者たち〉を潰してほしい。金に糸目はつけない――それが〈のらくらの国〉を介してリーダーに持ち込まれた依頼だった。雇われ者の殺し屋の分際で、彼らは自分にとって大恩ある人を殺したのだ、まだ若い雇用主は押し殺された怒りを持ってそう言った。厚顔無恥にも奴らはこの自分に売り込みをかけてきた。偽の依頼で奴らをおびき出し、あらゆる火力を集中して殺し、生き残りを捕らえる。そうすれば奴らの本拠地も割れるだろう、と(金の持ち逃げなど論外だった。西日本でも最大規模の暴力団と〈のらくらの国〉の上前を刎ねるなど、自殺にしても最悪の手段だ)。
確かに、構成員どころか他の何もかもが一切不明な〈夢遊病者たち〉は、同業者として彼にも興味深い存在だった。広告どころか、口コミですら依頼を持ち込めない。傭兵部隊の癖して、自分たちがこれと見込んだ者にしか接触してこないのだ。報酬は破格だが、その分仕事は確実。狙った相手は逃さない――まるで生きた誘導ミサイルだ。
「得物は行き渡ったな! よし、仕上げはこいつだ!」
鈍い鋼の輝きを放つロシア製の重機関銃が三脚で設置されるのを見て、リーダーは満足して喉を鳴らした。正面玄関は対爆構造の強化鋼製シャッターで完全封鎖してある。ロケット砲やC4爆薬などの爆発物対策に、各部屋はすべて内側を土嚢と寄せ集めの家具で補強してある。エレベーターは主電源を切り、階段以外の移動はできない。そして各階では階下に向けた重機関銃と指向性地雷で強化陣地を築いてあった。本物の軍隊だって、これを突破しようとしたら相当に手こずるだろう。
戦闘員に関しては粒ぞろいとまでは行かなかった――元警官や元自衛官などのセミプロ程度の人員は優先的に回してもらったものの、まあ寄せ集めには変わりない。とは言え、ロシアやフィリピンで射撃訓練を積ませ、アサルトライフルやSMG、ショットガンまで駆使する数十名の男たちはアマチュアではこれ以上望めない存在であることも確かだった。
どのみち、こんな稼業で食いつないでいたら20年……いや、その半分も生きていられたらいい方だ。〈夢遊病者たち〉には、俺がさらなる高みへ昇るための礎になってもらうとしよう。
「得物とタマは行き渡ったな? ようし、自分の仕事を終えた奴から、交代で休憩に入れ! 長い夜になるぞ。休めるうちに休んでおくんだ!」
いくら屈強な男たちでも、要塞と陣地の構築で疲れが溜まっているだろう。実際、男たちはリーダーの言葉に賛同と感謝の唸りを上げるのを忘れなかった。結構、とリーダーはしごく寛大に考えた。急ピッチで作業を終えた分休ませなければ戦うものも戦えない――最低でも、この俺の盾になってもらわないと困るからな。
上官の不祥事のとばっちりで軍を放逐され、食い詰めて犯罪者の社会に身を投じたこの男は、これが自分の期待よりも失望に満ちていた人生を挽回する最高の機会と信じて疑っていなかった。そして、これが彼が指揮官として振舞えた最初で最後の時間となった。
それは、まさに瞬きする間にその場に現れた。少なくともその直前まで、そこには誰もいなかったのだ。
「え……?」
彼を含め、その場にいた全員が呆気に取られていた。最初、それは人間にすら見えなかった――世を拗ねた芸術家が世間を愚弄するために悪意を込めて作った、かろうじて人に似て見える悪趣味なオブジェにしか見えなかった。
だからそれが、頭から爪先まで全身を黒で統一されたヘルメットとゴーグルとボディアーマーに覆われ、闇市場の兵器カタログでも見ないような奇妙な形の銃器を手からぶら下げたオブジェよりもっと性質の悪い何かであるのに気づくまで、しばらく時間がかかったのだ。
まるで海藻か、人の形をした軟体動物のように頼りない立ち方をした「そいつ」が、不安定な姿勢に不釣り合いな速さと精確さで長大な銃身を持ち上げた。腹の底まで震わせるような、拳銃やライフルとはまるで異なる轟音。それは長銃身から屋内戦闘には不向きな対物ライフルだったが、当然、威力に遜色はなかった。重機関銃に使われるものと同じ12.7ミリ弾は立ちすくむ男の防弾ベストに大穴を開け、血と内臓と骨片を撒き散らして背後へ抜け、勢い余って背後の者にまで着弾する。驚きの呻き声は、すぐさま獣のような絶叫と悲鳴へと変わった。対物ライフルは立て続けに吠え、男たちの胸を紙のように突き破り、銃を持ったままの腕を根元から吹き飛ばし、そして頭部を熟れすぎた果実のように弾けさせた。こぼれ落ちる血と内臓が毛羽立った絨毯の上に大量にぶちまけられ、前衛芸術のように打ち放しの壁へと叩きつけられた。
「うわあ……っ!」
「て、て、敵……!」
「敵だあっ! 〈
血まみれでのたうち回る仲間たちの姿に我に返った者たちが、自分の手にした銃器を一斉に構える。少し離れていたリーダーは幸いにも彼らの火線から離れた場所にいた――それだけに、その対応が悪手であることに即座に気づいた。
「やめろ、撃つな、味方に当たる……撃つな!」
遅かった。放たれた高速弾と散弾は「それ」の妙にぬめりを帯びて見えるスーツの表面に当たって弾かれ、あるいは逸れて反対側の味方に命中した。勇ましい怒声は、すぐに痛ましい悲鳴に取って変わられた。
「それ」は一体だけではなかった。まるで最初からその場に立っていたように虚空からにじみ出てきた何体もの異形たちの動きは、厳しい訓練も忘れたかのように恐慌状態の男たちとまるで対照的だった。銃というより、電動機とスピーカーと反射板の混合物のような代物――通常の火器ではない、マイクロ波を使用する指向性エネルギー兵器だ――が発砲する男たちに向けられる。派手な銃火など生じなかったが、威力は絶大だった。喚きながら銃を乱射する男たちが足元に銃器を取り落とし、目と耳からおびただしい血と体液をこぼし、殺虫剤を浴びせられた虫のようにもがきながら顔を掻きむしり始めた。マイクロ波の影響は予備弾薬や手榴弾にまで及んだ。散弾銃を構えた男はベストの中で破裂した弾薬で生きたまま火達磨となり、重機関銃に取りつこうとした男の傍らで倒れ伏した者の手榴弾が暴発した。
――自分の体が横倒しになっていることに気づいた。血の海の中で呻く者たちの声ももうわずかになっている。呻き声さえ上げられない者の数は、さらに増えそうだった。
かすんだ視界に、エレベーターの扉をこじ開けている影たちの姿が映った。背嚢のような細長いケースがシャフト内に落とされる。一瞬遅れてシャフトの遥か下、階下からおびただしい炎と轟音が噴き上がってきた。生きながら焼かれる者たちの悲鳴が、微かだが確実に聞こえてきた。
負けだ。こんなものは戦闘でさえない。ただの虐殺だ。おそらく、どの階でもここと同じ殺戮が繰り広げられているのだ。
流れ出る血とともに、敗北感が冷気のように這い寄ってきた。どこを怪我したのかはわからない――身を起こして確かめる余力もないが、この感触では長く持たないだろう。
何かにすがろうとして伸ばした指先に硬い感触。それが何かを理解した瞬間、消え去ろうとしていた気力が蘇った。持ち主が倒れた時に落としたのだろう、C4爆薬の起爆装置だ。
ここで起爆すれば残りの爆薬を誘爆させ、フロアそのものを崩落させることも可能だろう。やってやる……せめて奴らを道連れにしてやる。
最後の力を振り絞って、起爆装置のボタンを押し込んだ。
何も起きなかった。
違和感を覚えて手の方を見た。起爆装置を握り込んだ自分の手が、手首から切り落とされていた。血が出ることなく、まるで断面図のように見事な切り口をさらしているのを見て、彼は場違いにも「きれいだな」と思った。
彼に背を向けていたはずの黒い影が、手にした奇妙な銃器をこちらに向けていた。寸詰まり気味の、砲口にレンズが埋め込まれたような火器……携帯式のレーザー砲だろうか。
奇妙な音が彼の鼓膜を震わせた。もう生きている者は彼と、彼を取り囲む黒い影のみだった。いや、それにしてもこれは……そもそも人間なのだろうか。
笑っていた。彼を見下ろす黒い影たちが、相変わらずへなへなと崩れ落ちそうな奇妙なポーズのまま、全身を震わせて笑っていた。奴らは眠りながら殺し、目を開けたまま殺されていく者たちすべてを嘲笑うのだ。
自分の口が半開きになっているのに気づいたが、閉じようとも思わなかった。そもそも、何かをしようとも思いつかなかった。
怒りより、焦りより、最後に思ったことはただ一つだった――誰でもいいから教えてくれ。こいつら、どうやって入ってきたんだ。
ビルを包む炎は、やがて夜空を焦がさんばかりに立ち上り始めた。近づいてくるサイレンの音に追われるように、それを滞空して無機質なレンズ越しに見守っていた一機のドローンが音もなく飛び去った。
「……映像は以上です」
「たまげたな」低い声で行われた報告に、やや若い声が呆れ果てたような調子で応じた。「蹂躙されるがままじゃないか」
「彼らの立案には私も目を通しました。かばうわけではありませんが、落ち度は見られませんでした」
「別に責めるつもりもないって。どっちみちあいつら、仲良くあの世だろ」長い脚がだらしなく磨かれたガラスのテーブルに音立てて降ろされる。「手間暇かけて、ビル一つとそこそこの腕の荒くれ30人、それに〈のらくらの国〉謹製の銃器が仲良く灰になりました、ってか。締まらない落ちだよなぁ?」
「〈
「相手が悪かった」淡々と若い声が応じる。「代理人は噛ませてあるけど、下手するとこっちまでたどられるかもな。ま、その時はその時だ。人選は任せるよ……どうせもうピックアップは済んでるんだろ?」
「……お気づきでしたか」微苦笑。
「今日死んだ奴らの代わりなんていくらでもいるしな。それに〈夢遊病者たち〉なんて名乗っていてもどうせ切れば血の出る人間に決まってる……それに、一番の問題はそれじゃない」
身を乗り出す微かなソファの軋み。「何よりもまずいのは、奴らが誰に雇われたのかわからないってことだろ。違うか?」
溜め息。「……おっしゃる通りです。心当たりが多すぎて絞り込めない、というのが正直なところです。桜花連合、ヴィチタ、ソウルパ・リンク……マフィアですらないかも知れません。企業なら〈
〈蒼星〉の名を聞いた瞬間、若い声は一瞬だが確かに黙り込んだ。「恨まれてるからね、うちは……ま、いいや。どうせそっちも探りを入れてるんだろ? 何かわかったら教えて」
「かしこまりました」
ソファから立ち上がり、部屋を退去しようとして若い声は思い出したように付け加える。「どうせこのタイミングってことは『例のプロジェクト』がらみなんだろうけどさ……そうでないとしたら、そっちの方が驚きなんだけど」
「確かに。ですが、それが何か?」
「いや。ただ、だったらもう少し別のアプローチを試してみようかとは思ってるんだ」
狭苦しいワゴン車の車内でパラポラアンテナの向きを変えようと四苦八苦していた相良龍一は、ふと顔を上げた。手元のノートPCを睨みつけていた望月崇が怪訝な顔をする。「どうかしたか?」
「いや……誰かに呼ばれたような気がしたんだけどな」
「自意識過剰かよ。お前が気にするほど世間はお前に注目してないって」
「うるさいな。それくらいわかってるよ」
装着したインカムから、瀬川夏姫の深々としたわざとらしい溜め息が聞こえてきた。【龍一ったら……そんなに愛情に飢えているの? やっぱり、私のハグがまだまだ足りなかった?】
「どさくさにまぎれてとんでもないこと言わないでくれる? 『やっぱり』も何も、俺は一度も君にそんなことされた覚えがないんだが?」
【そうだったかしら……わかったわ。じゃ、帰ったらうんと抱きしめてあげる】
「何一つわかってない!」
「まあ、そんなこったろうと思ったけどな……」たまりかねて天を仰ぐ龍一に構わず、よどみなくキーボードを叩いていた崇がこれ見よがしに肩をすくめる。「こいつ、こんなツラして肝心なところでヘタレだからな。女の方からアプローチされたって、どうせ乳の一つも揉んでねえんだろうよ」
「あんたはあんたで何を言ってるんだ⁉」
崇は「お前こそ何を言ってるんだ」と言わんばかりの目つきで見返してきた。「てめえがわからんちんのぼけなすって話をしてるんだがわからねえのか?」
【わかってないんでしょうねえ……龍一のことだし】
「知らぬは本人ばかりなりってことだな」
【先が思いやられるわねえ。お姉さんちょっと心配】
目の前とインカムから同時にわざとらしい溜め息が聞こえてきて、龍一はこめかみが熱く脈打ちはじめた。こいつらいつもはテーブルの下で足を蹴り合うような真似をしょっちゅうしているのに、何で俺をからかう時だけ結託するんだ?
「何がお姉さんだよ。滝川さんから聞いたぞ、俺より誕生日が3カ月くらい早いってだけだろ!」
「……おーい嬢ちゃん、処理の方終わったみたいだぞ」
【本当? お疲れ様。帰ってきて】
「了解。……聞いたろ龍一、終わりだってよ。さっさと撤収の準備しろよ、女を待たせるもんじゃねえぞ」
言うだけ言ってさっさと素に戻る2人に、龍一は国語の授業で習った「開いた口が塞がらない」という言葉の意味を今なら実によく理解できると思った。
「それにしても、今日は何だか一日アンテナ工事みたいな作業だったな……いや、肝心のものを貰えるんなら文句はないけど」
「わかってんじゃねえか。第一、報酬を払うのはご当主であってお前じゃねえだろ」
「そりゃそうだけどさ……」まさかあんたから常識を説かれるとは思わなかったよ、と言いそうになったがやめた。
【あ、帰る時は行きと違うルートを使って帰ってきてね】ワゴン車が動き出した瞬間、夏姫がそう言ってきたのにはさすがにぎょっとした。【警察の巡回ルートが変更されたから】
「何だと?」
【事故か事件かはまだわからないけど、市内で爆発事故が発生したんですって。今からルート変更すれば交通規制に巻き込まれず帰れるわ】
動揺した様子もなく、崇が滑らかにハンドルを切る。「了解だよ。痛くもねえ……いや、たっぷりある腹を探られたくはねえしな。しかしあれだな、最近は妙にサツが活気づいてやがる。一昔前なら未真名市警察なんて無能の代名詞みたいなもんだったのにな」
【やっぱりねえ。例の犯罪予測システムが導入されるって噂、あれとも関係あるのかしら?】
「やる気のある警官なんて糞食らえ、ってのが正直なところだが、何にせよ油断はできないな。気をつけておこうぜ」
その言葉にだけは龍一も頷けた。彼自身も、ここ半月ほど、警察側の事件対応が迅速化しているように肌で感じていたのだ。想定より早くパトカーが到着したり、巡回ルート自体が変わっていたりと、ひやりとしたことも一度二度ではない。大事には至らなかったが、少なくともこれまでと同じ調子で荒仕事に臨んでいたらただでは済まなくなったのは確かだった。もし警察に逮捕されれば、命取りとなるのは龍一だけでは終わらないのだ。
【ま、それならそれで方法があるわ。今日あなたたち2人に一働きしてもらったのも、それと全くの無関係じゃないから。苦労した分だけの恩恵は保証するから、楽しみにしててね】
「なるほど、話はつながってきたな……結局今日の作業は何だったのか、聞いてもよくわからなかったけど」
【私、そんなに難しい説明した? 壁透過レーダーを応用して、人工知能筐体の構造をハッキングした上に光回路を形成可能な3Dプリンタでそっくり再現するってだけの話なんだけど】
運転する崇の顔を見ると「俺に聞くな」と言わんばかりの顔をしていたので黙った。
「よかったよ。あの研究所に乗り込んで分捕ってこいなんて言われたらどうしようかと思った」
「荒事はなしで済むなら済ませようってのがご当主の出した結論だ。そもそもお前、俺を何だと思ってるんだ?」
三度の飯より犯罪行為が好きな蛮人、と言いそうになったがやはり我慢した。
「でもブツを盗んだって、人工知能のキモはガワよりも中身なんだろ? クラウドデータはどうするんだ?」
【まあ、龍一ったら! 細部はわからなくっても、大づかみは理解してるのね!】インカム越しに聞こえてくる上気させた顔まで目の前に浮かんできそうな声に、龍一は思わずのけぞった。【それさえわかっていれば上出来よ! 大丈夫、わからなくっても帰ったらみっちりレクチャーしてあげるから! ……ううん、それよりもやっぱりハグの方が先? どっちがいい? どっちでもいいのよ?】
「どうあってもそっちへ話を持っていこうとする気か君は……?」
勘弁してくれ、と龍一は心底思った。
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