未公開エピソード:「トリナクリアの才女」 by ノワ・トランシュ
楽しかったり大変だったりの学園生活を送りつつ、他の女の子たちのトラブルに巻き込まれたり助けたりしながら日々を過ごしていた。
だが、本当は彼女自身の問題がまだ解決しているわけではなかった。
田舎では稀代の天才として扱われ、地元総出で盛大に見送られながら首都まで出てきたはいいものの、実際にはみんなが期待するほどの天才なんかではなかったという事実は負い目として常に彼女の奥底には影を落としていた。彼女の日々はそれを本当に受け入れたのではなく、ただその現実から目をそらして我慢しているだけだったのだ。
みんなが期待する通りの優等生を必死で演じて続けていた彼女。本当は、昔から天才だったことなんて一度もなかった。あったのはただ必死でそうなろうと努力し続けた結果だけだった。
彼女の抱える問題の解決策はひとつ。
目の前の現実をきちんと受け入れることだった。
”天才”であることから解放され、自分の等身大の能力を見定めることで本当の自分が見える。
彼女自身がもつ本当に優れた能力とは、どんな時でも前向きな姿勢で努力し続けられることこそが一番の”才能”だったのだ。
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