イントロダクション Ⅰ
──この世界で「魔法使い」と呼ばれることは特別な意味を持っている。
この世界では、人類はいつの頃からか”魔法”と呼ばれる強大な力を手にしていた。
異能の力”魔法”を扱える人間は限られており、その資格を手にするごく少数の人々は「ギフテッド」とよばれる特別な存在として古来より敬われ、ギフテッドもまたその力を以って民衆を導くべく自らの役割を果たしてきた。
なかでも特に秀でた能力者は「魔法使い」とよばれた。この世界において「魔法使い」の称号を得る者は、特別な技能者であることを示すと同時に、
“神”にも近い崇拝と尊敬の対象として民衆の支持を一心に集める存在でもあった。
ヴァーグネル・ブリュンヒルデ、”椿姫”、メアリー・クロウ…人類の運命を変えたことで歴史にその名を残す、偉大なる魔法使いを挙げようとすれば枚挙に暇がない。
…噂によれば、今もまだ存命している伝説上の魔法使いも世界の何処かにはいるといわれている。
統合暦1296年。遠い昔から世界を覆っていた人類同士の争いは、ある一人の「魔法使い」の活躍によって約200年前に終わりを告げた。一応の平和が保たれた世界の主な関心ごとは、急速に発展する科学技術へと移り始めていた。
新型動力機関の普及に伴って町並みもめまぐるしく変わり始めたこの時代において、魔法の立場は今までにないほど危ぶまれていた。
高度な魔法は未だ特別な力として扱われているものの、「軽度な魔術程度なら将来的に機械でも代用可能」という考えが人々に広がり始めたのだった。
選ばれた人間にのみ授けられる奇跡の能力“魔法”と、人々が長い年月をかけて積み上げた叡智の結晶“科学”が交差する一瞬の時代。
魔法行使者(=「ギフテッド」)たちは国境や種族、階級をも越えた国際シンジケートを創設し、世界中に存在する様々な能力者たちを組織化することで移ろいゆく時代に対抗しようとしていた。
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