第31話 『夜中』 その13

「我々としては、面接会は中止してもらいたい。」


 サブ・リーダーという存在は、そう言いました。


「ぼくは、同感なんですがね。」


 と、ぼくは、言いました


 そこで、親分が猛然と反発してきたのです。


「それは、あなたの立場で決める事ではない。我々はただ、決められたように実行するだけだ。」


「さっきも言ったように、報告はする。」


「いいや、だからそれは、あなたのような、下っ端がするべきことではない。あなたは、ただ、指示されるたことを、やればよい。」


「ちょっとお~、あんた、聞いてりゃ、生意気な事ばかり。あんた統括の部下でしょう!!」


 番長が反発しました。


「しかたがない、じゃあ言いましょう。ぼくの身分は、仮の姿で、本来は勤労省の地域指導監督主任官です。いまは、あなた方の市に、非公開出向しています。」



 彼自身は、そこで、ぼくらが、『はは~~~!!』と、かしこまることを期待していたのかも、しれません。


「地域指導監督なんとか官? なんだそれ?」


 番長が言いました。


「あの、地方勤労局長よりも、さらに上の役どころですよ。」


 王子がささやきました。


 宇宙人たちは、この内ゲバを、面白そうに眺めておりました。


「はあ、でも、ここでは、あくまで係長クラス、なんでしょう?」


「それは、世を凌ぐ仮の姿でですね・・・」


 王子が分かったように言いました。


「あんた、どっちの見方なのよう!」


「いやだって、それは、職責上のものだから、仕方がないですよ。」


「その通り、もし、反抗するようならば、市を通じて、懲戒処分にする。」


「あのね。」


 ぼくが言いました。


「これは、職務上の問題じゃなくて、職務外の事件なんだ。誘拐事件ですよ。悪いけど、あんたの力が及ぶ範囲からは外れてるんだ。だから、まず、参事に報告する。そうして、市の対応を決める。警察にも連絡が必要だ。それを国にも通告する。市が国に従属する必要はない。」


「いいや、これは、国主導で行うと決めた面接会だ。市は、その役割の一部を譲渡されただけだ。」


「いやいや、そうじゃない、だから、本来、これは国が口出しする範囲外の事だから。」


「ああ、まあまあ、お待ちください。そこらあたりは、あとで、じっくりと、やてください。サブ・リーダーの依頼事項はご理解くださいましたね。」


 御飯小路の兄が割って入った。


「だから、中止はない。」


 親分が強く断言した。


「ほう・・・・やはり、国は、誰かと協定でもしてるのかなぁ、やっぱり。もしかして、『優勢派』とか・・・」


 ぼくが、軽く言いました。


「む!」


 親分が派手に、睨んできたのです。




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