第28話 『夜中』 その10
フロントさんに話を付け、ぼくと番長は御飯小路兄妹をひきつれ、自室に戻りました。
さらに、ここはやはり、親分と王子にも来てもらって、相手が現れるのを待ったのです。
状況の概略を説明し、御飯小路の兄から追加で同じ話をしてもらいました。
「荒唐無稽だ。」
親分が言いました。
「しかし、市に報告するのは、それからにしてください。そうした『現象』が起こるとは思えないが。」
「ちょっとまって、あの・・・御飯小路さん、その人はどうやって現れるのか?」
「さあ・・・本人次第ですなあ。どうやっても可能ですから。ドアから来てもらってもいい。でも、どうやら、劇的な方がよろしいようだから、そう伝えましょう。」
「どうやって伝えるの?」
「もう、伝わってます。」
「はあ~~~?」
「以心伝心というやつです。」
「テレパシーですか?!」
王子が体を乗り出しました。
彼が、隠れ超常現象ファンなのは知っております。
「まあ、そう言ってもいいのですがね。実際は、電磁波を使っております。」
「なんだ、無線ですか。」
「まあ。でも、無線機は使いません。」
「は・・・???」
「まあ、いまはそれはいいでしょう。」
ぼくが、少し、いらついたように言いました。
「すいません。」
王子は体をひっこめました。
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深夜になりました。
1時・・・2時・・・・
幽霊ならば、もう、出て良い時間です。
すると、ある瞬間、ふと気が付くと、そこに人の姿があったのです。
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