第28話 『夜中』 その10

 フロントさんに話を付け、ぼくと番長は御飯小路兄妹をひきつれ、自室に戻りました。


 さらに、ここはやはり、親分と王子にも来てもらって、相手が現れるのを待ったのです。


 状況の概略を説明し、御飯小路の兄から追加で同じ話をしてもらいました。


「荒唐無稽だ。」


 親分が言いました。


「しかし、市に報告するのは、それからにしてください。そうした『現象』が起こるとは思えないが。」


「ちょっとまって、あの・・・御飯小路さん、その人はどうやって現れるのか?」


「さあ・・・本人次第ですなあ。どうやっても可能ですから。ドアから来てもらってもいい。でも、どうやら、劇的な方がよろしいようだから、そう伝えましょう。」


「どうやって伝えるの?」


「もう、伝わってます。」


「はあ~~~?」


「以心伝心というやつです。」


「テレパシーですか?!」


 王子が体を乗り出しました。


 彼が、隠れ超常現象ファンなのは知っております。


「まあ、そう言ってもいいのですがね。実際は、電磁波を使っております。」


「なんだ、無線ですか。」


「まあ。でも、無線機は使いません。」


「は・・・???」


「まあ、いまはそれはいいでしょう。」


 ぼくが、少し、いらついたように言いました。


「すいません。」


 王子は体をひっこめました。


 

 *****   *****   *****



 深夜になりました。


 1時・・・2時・・・・


 幽霊ならば、もう、出て良い時間です。


 すると、ある瞬間、ふと気が付くと、そこに人の姿があったのです。



  *****   *****   *****










 
























  



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