第26話 『夜中』その8

 御飯小路兄妹でした。


 「お話しは、僕らにも伝わりました。妹とも相談しましたが、やはり、放置は良くないということで、訪ねて来ました。」 


 「そりゃ、そうでしょう。やはり、何かご存じなんでしよう?この際、やっぱり助けてくださいよ。お嬢は、どこですか?」


 ぼくは兄に向かってはっきりと言いました。


「居場所は、まだ、さすがに分かりません。ただし、誘拐を実行したのは、『伯軍派』に違いないです。彼らは、地球人との共存を嫌っていますから。事件を起こして、地球人と我々の融合を阻害する狙いでしょう。」


 「われわれ?」


 ぼくは言いました。


 「ゆうごう?」


 番長が追加して、言いました。


 御飯小路兄妹は、顔を見合せていましたが、やがて、兄は、決心したという感じで答えたのです。


「ええ。僕らの母体は地球人ですが、そこに我々が、融合しています。精神的主導権は、我々が持っていますが、御飯小路がいなくなったわけではありません。これは極めて高度な融合です。」


「市役所の係長さんも?」


「彼は、まだ軽い、あなた方の言葉で言うところの、憑依で、融合ではありません。」


「どう、ちがうの?」


「そうですね。融合したら、もう分離は出来ません。それ自体が、新しい生命なのです。しかし、憑依は解除可能です。」


 お嬢さんが、補足しました。


「融合には、大きな力が必要です。それなりの存在が、実行しなければ、完成できません。」


「それって、侵略ですよね?」


「いえ、相手の同意がなければ、僕らは、融合しません。・・・・しかし・・・・・」




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