第21話 『夜中』その3
その『パンフレット』は、オールカラー刷りのなかなか豪華なものでありました。
でも、手作りという感じが、ぷんぷんします。
「まだ、どこにも公開はしていませんよ。でも、今回、面接会場で置いてもらうお話しは、市役所としました。」
「ほう、どれどれ・・・おわ。『プテラノドンの里』って何ですか?」
「文字通り、翼竜が生息している地域です。」
「入り込んだら、危なくないですか?」
「大丈夫。彼らとは話が付いてますから。」
「は?・・・・・・」
「翼竜さんたちには、知性があるのです。」
「だて、食べてるじゃない!!」
番長が叫びました。
「ああ、あれは、実は食用のもので、翼竜さんたち自身が開発したのです。人口食材と言いますか・・・!!だから、あれで、正解なのです。」
「げ!」
ぼくがのけぞりました。
すでに、食べちゃったものは、どうしようもありません。
「まったく害はないですよ。保証します。それよりも、人の体には有益な成分が多く含まれていることが解っていますから。元気になりますよ。地球人だって、けっこう色々食べてるでしょう。胎盤の成分とか、すっぽんさんとか、まむしさんとか・・・」
青年が言います。
「でも、昼食の時には説明、なかったですよ。」
「ほほほ。まあ、ここでは常識の食べ物ですからね。観光化の時には、ちゃんと解説しなくちゃ、とは話してますわ。」
お嬢様が楽しそうに言いました。
やはり、ちょっと人間離れしている気もします。
なんだか、親分の選択が正しかったような気がしてきましたが、それは非常に気に入らないので、ぼくは苦笑いに留めました。
番長は、舌を出して『ぐえぐえ』言っていましたけれど。
「まあ、では、今夜どなたかが説明においでになるわけですな。どうやって?フロントに言っておかなくては。」
「大丈夫です。幽霊ですから、問題ないです。」
青年が、あっさりと言いました。
*** *** ***
結局のところ、ぼくたちはその真新しいパンフを五部もらって、ホテルに帰ったのです。
************ ************
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます