第15話 『夜中』その2

 ぼくたちは、座敷に上がらせて、もらっていました。


 番長は、すでに、いい具合に、ご機嫌になりました。


 少し顔を赤く染めながら言うのです。


「あの二人、ちょっとけしからないじゃないですかあ!」


「そうかな。」


「そうですよ、だって、いかに嫌いとは言え・・・あ、失礼・・・上司でしょう? あんな言い方、ないですよね。」


「まあ、ぼくが大人しいからね。」


「そこですよ、いっぺん、ぐしゃっと、言ってやった方がいいです。」


「そうかあ。やはり。でも、逆襲されて終わりだしなあ。それよか、お嬢を、もう少し協力的にしたいなあ。」


「それ、も、そうです! ほら飲んで、気合い入れて!」


「はあ、どうも。」


 気持ちはわかりますが、相手はまだ若く、上からの評判も目出度い出世株です。ぼくは、あとは落ちるだけ。


「番長が、早く偉くなってくださいよ。」


「あたしは、まあ、頑張るけどねぇ・・・」


 彼女も、幹部の一部からは『こまったちゃん』と言われることがあるのは、ぼくは知っておりますが、しかし、まだチャンスは大きいです。


 だいたい、病気がちなぼくとは違って、身体が頑健なので、そこは非常に有利。


「今回は、でも、なんか怪しいですよねぇ。」


「やはり、そう思うかい?」


「そりゃあ、おかしいでしょう。統括もそう、思うんでしょう?」


「うん。公には言い難いけど、おかしいと思う。国の超上層部が、何か企んでるんじゃないか。」


「何かとは?」


「ふうん・・・・まあ、おとぎ話だけどね、国際的な、陰謀の匂いがする。」


「陰謀?」


「そうさ。『いんぼう』。まあ、中身は、まだ解らないけどね。でも、ぼくらには、言えないだろう?」


「まあねぇ。国家ぐるみの陰謀は、『陰謀』とは言わないものね。」


「そうそう。まあ、もう、問い合わせは入れたよ。でも、ぼくが直接聞けるのは、まだ市でも、下っ端の部分だからね。もっと情報が必要だな。」


「だね。」


「そこで、ここのあの方にも、さらに、聞いてみようじゃないかい。」


「うん。」



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