ただの複製
「まだ諦めないの? そろそろ諦めてもいいと思うわよ。
「ギヒャヒャ! 俺には作戦があるんだよ!」
生身である俺は、フロウやブレスと違って、攻撃をそのまま受けちまう。イフペーストの爆撃を走って避けるしかねぇ俺は、対処しきれずに焼けどだらけだ。ローブもボロボロで、いつダメになってもおかしくないな。俺の能力は、体力とか、魔法とかを吸収するものしかないからな。機械相手だと何にも出来ねぇ。イフペーストのCDが増えていくな、勘弁して欲しいぜ。
「それ、何回も聞いたわよ。
「くそっ!」
イフペーストが投げたCDがミサイルになって、俺に襲い掛かる。何とか走って回避するけど、そのうちの一つが回避しきれねぇ! 流石にスタミナがもたねぇよ!
「うがぁ!?」
ミサイルが直撃して、俺のローブが吹き飛んだ。俺の外見は、エンシェントの……精神体っていうのか、あれは。とにかく、エンシェントの分身に似すぎててなんか嫌だ。だからローブを着て隠してたんだけどな。とか、そんな事はどうでも良いんだ。流石にミサイル直撃の衝撃で身体がボロボロ、動けない。
「私の勝ちね。これじゃ何も出来ないでしょ」
「ギヒャ……ヒャ。マジで、ヤバイな」
なんか、生暖かい液体で濡れてるな。あ、これ俺の血液かよ。もしかして、動けないのは手足が吹っ飛んでるのか? しかも、フロウとの繋がりが消えたな。ブレスも苦戦してんのか。
「早く諦めなさいよ。もう何にも出来ないでしょ」
「何度も言ってるだろ。俺には秘策があるって」
「それなら、早くやってみなさいよ」
そう言いながら俺を蹴りつける。おい止めろ、流石にヤバイ。
「ガハッ……。や、やめろ。流石に、それは、酷いじゃ、ないか」
「それなら、早く秘策と言うものを見せなさいよ」
何でこいつはこんなに拘るんだよ。警戒心が強いのかとか、わからねぇ。けど、この話をネタに少しでも時間を稼ぐ事しか、俺の出来ることは無いな。
「ギヒャ……ヒャ。何で、拘る、だよ」
「何故かしら? 私は平坦な複製だから特にこれといった個性は無いと思っていたのだけど、何かあるのかも知れないわね」
「ギ……ヒャ。あい、まい、だな」
目の前が霞んできた。何とか意識を持たさないといけねぇんだよ。まだ、ブレスが戦ってる。俺がやられたら、後が無いんだ。
「そうなのよね。私は平坦な複製機だから、何があるとかそういうのは無いと思うのよ。うーん、解らないわ。
「マジ……か」
この状態で、ミサイルとか出されたら。確実に死ぬ。ここまでかよ、もう少し時間を稼ぎたかったぜ。
「ただ、私は複製機ってだけで、別に複製機は私じゃなくても良いのよ。機械ってそういうものでしょ? 量産された内の一つってだけで、別に何にも……え?」
一気にこの部屋の中の温度が上がったな。勘弁してくれ、死に掛けに鞭打つのは。だが、なんか光線にイフペーストが吹っ飛ばされてる。時間は稼げてるが、俺がやばくねェか?
いや、ようやく。俺たちの役目が終わったみたいだ。なんとか、時間稼ぎは成功ってな。ギリギリだ、俺はもう、意識を保てない。
「ギ……ヒャ、は、はぁ。遅い、ぞ。エル……フェ」
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