白竜リア
「はぁ、あの破壊者のせいで精神が肉体に引かれて幼くなってしまうし、フォルフルゴートに仕えてるせいで性格も丸くなってしまったけれど、本来ならねぇ……。地を這う生き物になんて歯牙にかけないような存在なんだよ」
「ウルセェなぁ!
棒を出現させてこっちに伸ばすけれど、それを避ける。おそらく遠距離から攻撃を軽く加えつつこっちの反応を見る算段なんだろうね。まぁ、私は笑いを堪えるので頭がいっぱいなんだけどねぇ?
「貴方は一つ間違いを犯してしまったんだ。私の封印を一部だけれど、解いてしまったんだ。愚直な悪魔、素直に感謝してあげよう」
「何か考えでもあんのかよ!
棒を縮める事はしないで消してから、新たに出現させて、伸ばして攻撃してきたねぇ。何かを警戒してるみたいだけど、滑稽でしかないんだよねぇ!
「私を笑わせたいのなら、貴方は大成功だねぇ。もうおかしすぎて、堪えるのも大変なんだよね」
「ウルセェよ! なんもデキネェくせにな!
三度目の攻撃、こんなの当たらない。もう無理、もう限界だねぇ!
「アハハハ! 貴方の持っているものはなんだろうねぇ! 私の能力はなんだったんだろうねぇ! これだけ言えば愚直な悪魔でも答えが見えちゃうよねぇ! アハハハ! ついでに封印まで解いてくれちゃうなんて本当に嬉しいなぁ!」
「なっ……!」
気がついたみたいだねぇ。慌てて持ったままの私の腕を投げ捨てようとするけど、もう遅いんだよねぇ!
「竜の逆鱗に触れてしまったら、ここから先は決定事項なんだよねぇ!
呪体能力というのは、切り離された肉体を変化させ操る能力。そして、破壊者の影響力が弱まっていたのか知らないけれど、私の腕が切り離された事で、この腕だけ封印から解放された。つまり、本来の腕に戻す事が可能。本来の腕とは竜の腕であり、人の頭なんて握れる位の大きさ、そして呪体能力によって操って、グネデアの頭を握ってる訳なんだよねぇ!
「ぐぐぅ……」
「さっさと貴方が私の腕を捨てて、距離を取っていれば対処法があったかも知れないのにねぇ! アハハハ! 面白いなぁ、こんな結末になるなんて誰が予想したんだろうねぇ」
それにしても、一部とはいえ、封印から解放されて気分が高揚してしまうねぇ! とりあえず、この悪魔はこのままぐしゃってしてしまおうかなぁ!
「それじゃぁ、貴方には退場してもらおうかなぁ。潰すよぉー、つぶしちゃうよぉー? 良いのー? ホラホラ、逃げないとねぇ?」
「ぐぐ……」
呻くだけで何も解らないなぁ。まぁ、宣言できない様に指で口を押さえてるからなんだけどねぇ。さて、そろそろ終わりにしないとねぇ。こんな所をヌルに見られる訳にいかないしねぇ。
「ぐしゃっとねぇ」
グネデアの頭が潰れて、トマトみたいだねぇ! 鮮血がびしゃっと飛び散ったよ! おっと、ヌルが起きそうな気配がする。気持ちを静めないと、こんなハイテンションだと、疑われてしまうよね。
「うん。冷静になろう。僕は冷静僕は冷静……」
よし。僕は冷静だ。そういえば、僕の右腕、千切れて血がぼたぼた出てるけど、マズイよね。グネデアの死体と、竜の腕があるのもマズイよね。うん、今の内に違う場所に移動しよう。僕の腕は、アトムビジョンにやられたことにするかな? いや、ばれたら疑われるから、仮面を使って認識阻害してしまおう。ちょうどヌル君と会ったときに仮面付けてたから、ちょうど良かったね。
「さて、〈ユアタウ〉辺りにでも……?」
なんか半透明の氷像があるね。消えかかってるけど、凍っていることによって何とか存在を保っているのかな? あ、なるほど。拒絶の力を使ってこれ以上拡散しないようにして、ちょっと協力してもらおうかな。
「いやー、悪くは無い流れなんじゃないかなー」
ヌル君は第2の破壊者になってしまうのかな。それとも新しい何かを見つけるのかな。どちらにしても、それが君の道なんだ。早くおいでよ、中立の管理者、フォルフルゴートに所にね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます