秩序との決着
「エンシェントは、仲間を再生させる波動、こちらの力を暴走させる波動、正気を奪う光線を放ってきます! 気をつけなさいエメレイア!」
ロジクマスは無駄に大声を出してエメレイアに忠告してるけど、これはボクとヌルに対して情報をくれているんだね。ヌルがアイムを消滅させずに、動きを止めたものだから、エンシェントはこっちの戦闘が終わった事を把握できてない。今の内に何か作戦を考えられればいいんだけど。
「ロウタ、作戦がある」
「えぇ、ホントにやるの? その作戦」
「お待たせ、エメレイアがピンチみたいだったから加勢にきたよ」
「ロウタさん、助かります。ヌルさんは?」
「アイムを抑えてるよ」
エメレイアはエンシェントの暴走の波動を受けてしまったのか、少しずつ増える傷のせいでかなり動きが鈍ってきてる。まだ大丈夫そうではあるけど、長期戦になると命に関わってくるね。
「助かるわー。これ、どうにかならないのー?」
「すいません。スキルブレイクで解除できないとなると、術者であるエンシェントを倒すなり封じるなりしないといけませんね」
「エンシェントを倒すには、周りの妖精を倒さないといけないんだよね」
「はい。ですが、倒してもエンシェントが再生させてしまうのです」
「
もう、相談してるところなのに光線なんて撃って来ないでよ。ボク達はバラバラに回避、とりあえずは作戦通りに動くしかないね。タブレットの中にあるハンドガンの画像データを実体化、妖精を撃ち落していく。
「こうなったらやけなのよー。
エメレイアは高く飛び上がって、妖精を殴りつける、ついでに地面も陥没する。って、それはオーバーキルだよ。どこにそんな力があるんだよ。びっくりしちゃったじゃん。
「自ら滅べ。
「ロウタさん。それは力を暴走させる波動です!」
ボクは比較的エンシェントに近い位置に居たから、暴走の波動を撃ってきたか。だけど、ボクは本来データ上の存在。出力機オーバーエフェクターは、境界線を越えただけのエフェクトに過ぎないのだから……。
「ボクには効かないよ。本来は身体さえも持たないデータだからね」
妖精を撃ち落としながらエンシェントに接近していく。妖精はある程度倒した、だけどこのままだとエンシェントは回復の波動を使って妖精を復活させるはず。ここまでやったんだから失敗しないでよ!
「我等、共有し一つの命。故に個には負けぬ。宣げ……」
「させないよ」
タブレットをエンシェントに向ける。実はこの中にヌルが潜んで居たんだ。タブレットから飛び出たヌルはそのまま、持っていた剣をエンシェントに突き刺す。唐突な攻撃にエンシェントの能力発動は中断される。
「何、小癪な」
「くらえ」
ヌルは更に剣を振るって、エンシェントにダメージを与える。いつもだったら、このダメージもすぐ再生されるんだろうけど、エンシェントは再生できない。
「何故」
タブレットの中で、ヌルは氷の動物を精製していた。それをヌルの解放と同時に一気に放出して残りの妖精を襲わせた。ここまで妖精の数が少なくなってしまうと、エンシェントの共生の力も殆ど発揮しなくて、再生だって出来ない。
「追い詰めたぞ」
ヌルは更に攻撃を加える。このまま攻撃を続けていれば倒せるはず。エメレイアもこっちに向ってきた。このまま攻撃を加えていけば倒せる。
「これで終わりよー。
エメレイアのあの攻撃が炸裂したら、いくらエンシェントでもこの弱ってる状態じゃ防げない、勝ったかな!
「うわー!?」
「えっ?」
「何故」
エメレイアが攻撃を加えようとしたら、何かに弾かれた。これは結界みたいなものかな。だけど、エンシェントがやった訳では無いみたい。力の発生地点は最初にヌルが矢で打ち込んだ杭?
「これは、力を拡散させ、封印する道具らしい」
そんなのどうやって手に入れたの? というか、どうしてわざわざ封印したの? まぁ、エンシェントを見た感じ、封じられてる上に、力も拡散されてしまって誰かに出してもらわないとな感じになってる。しかも、エンシェントが封印されたせいで力の譲渡が途絶え、アイムの存在も消えてきてる。エンシェントを助けるような人も居ないね。そういえば、グリアは大丈夫なのかな、肉体を持ってるから大丈夫だったりするのかも。
「どうやって手に入れたのですか?」
あ、ロジクマスも来た。エンシェントが封印されたから、気になって来たのかな。
「ジダイガと名乗る男に貰った」
「……。調べた方がいいかもしれませんね」
あ、そういえば。エルフェに頼まれたことを終わらせておかないと。
「そういえば、エルフェがジダイガはやっぱり混沌側じゃないって言ってたよ。後ね、エルフェのナイフ出してくれない?」
「これか」
ナイフを受け取とって〈イズンプ〉に行かないと。ボクは別に手伝うつもりは無かったけど、レアルのやりたいことを潰してやれるなら、協力してあげてもいいからね。
「じゃあ、ボクはもう行くね」
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